イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

推し活満喫編

お腹すいたなぁ

気が付いたらふかふかのベッドの中にいた僕。
あぁ、ドキドキしすぎて気が遠くなったのなんとなく覚えてる。
でも多分それだけじゃなくて心身ともに限界だったの。いきなり見知らぬ異世界にやってきて訳も分からないまま3日間ずっと馬車に揺られ馬車の中で寝てたからほんとに身体つらかったんだよね。
ちゃんとした寝具で眠ってようやく疲れが取れた気がする。

っていうか、ここどこ？メイドさんや辺境伯様は？誰かいないの？
よそのお宅で見知らぬ部屋で、出歩くのも何だかはばかられて誰か来てくれるのをじっと待ってた。

…来ない
…誰も来ない
…気配もない

なんだか色々不安になってきたその時

キュ～クルクルル～

お腹が鳴った。

そういえばご飯いつ食べたっけ？
最後の野営場所で朝出発前にぼそぼそのパンとうっすい味のスープ飲んだのが最後だ。
もう外は真っ暗だよ。到着が昼過ぎくらいのはずだから半日くらい寝てたのかな？
いやいや、坂下クンに似たイケメン辺境伯様の顔見て気を失うとかｗｗｗマジで尊死するとこだったよ。





………ちょっともう限界！
確か辺境伯様…言いずらいな、もぅ…グラナダ様でいっか。
グラナダ様が確か離宮を与えるから好きにせよって言ってた気がする。
つまりここが離宮なんだよね？好きにせよってどの程度？でも僕奥さんなんだよね？てことはここの家の人ってことでしょ？我が家と思っていいのかな？
そう結論づけて誰かを探しに部屋をでた。
とにかくご飯が食べたいんだけど。こういう大きなお屋敷って専属のシェフとか居て時間になったら呼びにきてくれるんじゃないの？
日本の庶民だった僕には異世界の常識も貴族の常識もわかんない。まぁいいや、見つかってもし怒られたら元気よくごめんなさいってあやまろう。

建物の外にでると庭は草ボーボーだった。
草をかき分けかながらこっちの建物の何倍もの大きな大きなお屋敷に向かって歩いていく。古ぼけた木戸をくぐるとキチンと手入れされた庭が現れた。そっか、自分の住むとこは自分で草取りしろって事ね。明日からの日課にしようか。

ちょっと行くと到着時の大きな入り口とは違う小さめの出入り口があった。
何人ものいかつい兵士？の人がそこかしこに居る。

「こんにちは」
「！」
「僕辺境伯様にお嫁入したアデルって言います。辺境伯様中にいますか？」

なんか皆すごく変な顔して僕を見るけど何かおかしいのかな？
向こうのお父さんを会社の受付に呼びに行ったときみたいに声かけたんだけど変だったかな？

何人かの兵士さんが小声でやり取りした後、ひときわ大きな人が代表で執務室にいらっしゃるからご自由にどうぞって言われて話おわっちゃった。
えぇ～付いてきてくれないんだ～。ちょっとだけ案内してほしかったな。
仕方ない、お屋敷の中でほかの人探して聞くしかないな。
いつの間にかお腹の事よりもイケメン辺境伯様に会うのを最重要任務にしながら僕はお屋敷の中に突入した。