35 / 247
新生活順応編
新たなる朝が来た グラナダ視点
眠るアデルの瞼が小刻みに震えだした。目覚めが近いらしい。
眼をさまし例の枕を自分に引き寄せぎゅっと抱きしめるアデルを見ると、まるで自分が抱きしめられたようでおかしな気分だ。
続いてほほにキスをしている。…枕にするなら私にしたらどうなんだ!
「ほう、それはそのように使うものなのだな。新しい枕の使用方法か?」
ベッドから逃げようとするアデルを目の前に座らせ、今までの謝罪と、そしてできなかった対話を今度こそ私は始めた。
アデルは私の非道な行いを「ちょっとあたった」で済まそうとするが、なんという慈悲深さだ。アデルをこのような優しい天使に育て上げてくれたカマーフィールド卿に心から感謝せねば。
「でも僕使用人さんたちのことはなんとも思ってないですよ。グラナダ様からの命令なんだろうなって思ってたし。雇い主の命には逆らえないですもんね」
………私に対しては思うところがあるのだな。当然だ。
無意識だとは思うがチクリグサリと胸に刺さるアデルの言葉。さりげなく痛いところを突いてくるがすべて身から出た錆。甘んじて受けようではないか。
「剣を振るって汗を流すグラナダ様の姿が大好物で!」
まったくアデルは…いつもためらいなく私への好意を唇にのせる。なんと愛らしい…
だがなんといっても私はひどい態度を取りすぎた。不快にさせていないはずがない。
そうだとも、思うところがあるというのならば今度こそ、他の誰でもない、アデルの口から聞かねばならぬ。
「それよりもあのような酷い仕打ちを受け続けても私を嫌いにはならなかったのか?今までこの邸に押しかけて来た子息子女はあっという間に逃げ出s」
「まさかっ!冷酷なグラナダ様なんてあり寄りのありですよっ!」
「しかし私は相当に酷い言葉も」
「あの冷たいまなざしに射抜かれるなんてむしろご褒美です!」
…………ど、どうやら私への愛はすべてを凌駕するらしい。
なんということか!
私はようやく気づいた!アデルがこの邸へと足を踏み入れたその瞬間から、私はとうにこの大いなる愛に包まれていたのだと!
何も惜しまず、なんの見返りも求めず、ただひたすらに愛を捧げてくれる…こんな存在には未来永劫もう出会えないだろう!
私は領地の財を傾けたカマーフィールド卿に再度心から感謝した。
夫夫とはいえ、私のアデルへの仕打ちを思えば閨への誘いもしばらくは出来まいと思っていたが…今も私の枕を強く抱きしめ続けているアデルの姿を見れば…
ふむ、我慢する必要はないかもしれぬな…まったく…己がこれほど堪え性の無い人間だったとは…
溢れ出る思いのままにアデルの細い腕を引き華奢な体をすっぽりと包みこむ。するとその身体は一気に体温があがる。
鼓動が早い…。不慣れなのがとても好ましい。
アデルの頬を指先でなでる…びくんと一つたじろぎそろそろと私の顔を伺ってくる。
そのまま親指で何度も何度もアデルの頬の感触を楽しむ。ほら、また赤くなってきた。
指先を頬から唇へ。その柔らかい唇を軽く押すと小さくそろった白い歯がみえた。
歯と歯の間に指をこじ入れると戸惑うように指を食む。その指を引き抜くと
私は妻に口づけていた。
眼をさまし例の枕を自分に引き寄せぎゅっと抱きしめるアデルを見ると、まるで自分が抱きしめられたようでおかしな気分だ。
続いてほほにキスをしている。…枕にするなら私にしたらどうなんだ!
「ほう、それはそのように使うものなのだな。新しい枕の使用方法か?」
ベッドから逃げようとするアデルを目の前に座らせ、今までの謝罪と、そしてできなかった対話を今度こそ私は始めた。
アデルは私の非道な行いを「ちょっとあたった」で済まそうとするが、なんという慈悲深さだ。アデルをこのような優しい天使に育て上げてくれたカマーフィールド卿に心から感謝せねば。
「でも僕使用人さんたちのことはなんとも思ってないですよ。グラナダ様からの命令なんだろうなって思ってたし。雇い主の命には逆らえないですもんね」
………私に対しては思うところがあるのだな。当然だ。
無意識だとは思うがチクリグサリと胸に刺さるアデルの言葉。さりげなく痛いところを突いてくるがすべて身から出た錆。甘んじて受けようではないか。
「剣を振るって汗を流すグラナダ様の姿が大好物で!」
まったくアデルは…いつもためらいなく私への好意を唇にのせる。なんと愛らしい…
だがなんといっても私はひどい態度を取りすぎた。不快にさせていないはずがない。
そうだとも、思うところがあるというのならば今度こそ、他の誰でもない、アデルの口から聞かねばならぬ。
「それよりもあのような酷い仕打ちを受け続けても私を嫌いにはならなかったのか?今までこの邸に押しかけて来た子息子女はあっという間に逃げ出s」
「まさかっ!冷酷なグラナダ様なんてあり寄りのありですよっ!」
「しかし私は相当に酷い言葉も」
「あの冷たいまなざしに射抜かれるなんてむしろご褒美です!」
…………ど、どうやら私への愛はすべてを凌駕するらしい。
なんということか!
私はようやく気づいた!アデルがこの邸へと足を踏み入れたその瞬間から、私はとうにこの大いなる愛に包まれていたのだと!
何も惜しまず、なんの見返りも求めず、ただひたすらに愛を捧げてくれる…こんな存在には未来永劫もう出会えないだろう!
私は領地の財を傾けたカマーフィールド卿に再度心から感謝した。
夫夫とはいえ、私のアデルへの仕打ちを思えば閨への誘いもしばらくは出来まいと思っていたが…今も私の枕を強く抱きしめ続けているアデルの姿を見れば…
ふむ、我慢する必要はないかもしれぬな…まったく…己がこれほど堪え性の無い人間だったとは…
溢れ出る思いのままにアデルの細い腕を引き華奢な体をすっぽりと包みこむ。するとその身体は一気に体温があがる。
鼓動が早い…。不慣れなのがとても好ましい。
アデルの頬を指先でなでる…びくんと一つたじろぎそろそろと私の顔を伺ってくる。
そのまま親指で何度も何度もアデルの頬の感触を楽しむ。ほら、また赤くなってきた。
指先を頬から唇へ。その柔らかい唇を軽く押すと小さくそろった白い歯がみえた。
歯と歯の間に指をこじ入れると戸惑うように指を食む。その指を引き抜くと
私は妻に口づけていた。
あなたにおすすめの小説
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?
水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。
断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。
しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。
これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。