74 / 247
王位交代開始編
カウントダウンフェス ー王宮②ー 番外
「ワイアットーーー!」
「クリフッ!」
考えるより先に体が動いていた。
その場にいた誰もが私の最悪を覚悟したその瞬間。
ビキィィィィ
何かの破壊音とともに私の目の前でピンクベージュの火花がはじけ飛んだ。
「これは…?」
「皆!呆けるのは後だ!」
怪我もなく支えあう私たち。それを瞬時に確認した反乱軍は、火花の閃光に動きの鈍った聖騎士団をここぞとばかりに退けた。
そして近衛を引き連れ陛下は奥へと走り去る。逃げ遅れた宰相はワイアットの助けを借り私が自ら捕縛した。
「さぁ、みんな最後の戦いだ。欠けた者はいないね。…ここまでついて来てくれたこと本当に感謝する。だがあと少しだけ力を貸してほしい」
手の中にあるのは…胸の中央に大きな穴を開けた人形。私を模したその人形は…己の役目を終えどこか満足そうな顔をしていた。
陛下の氷結魔法で凍り付いた、居室へと向かう長い長い廊下。
最奥、ひときわ豪奢な扉の前では近衛兵が守りを固めている。
兵士たちにこの場の相手を任せ部屋への侵入を試みる。そこへすでに城へ潜入していたバーガンディのマーカス殿が合流された。
「陛下はいつもここぞという時、術師を供回りに置くのですよ」
厚い氷で閉じられた扉。私の光魔法で溶かせるだろうか…
「自信をもって殿下。力を抜いて教えたとおりに。貴方なら出来る、そうでしょう?」
「ふぅ…お願いだ、支えていてくれぬかワイアット。そうだ出来る…出来るとも…」
無事魔法の発動を確認し氷の溶解した扉から部屋へと押し入った私達に憎々し気な声がかけられる。
「クリフト…まさかお前が…。とんだ伏兵が居たものだ。お前のような役立たずが大それた真似をしおって!さぁ、今すぐ茶番をやめるのだ。跪き詫びて服従を誓え!さすれば命だけは助けてやろう!」
「国王陛下…いえ父上。なんと醜悪な…あなたへの憎悪が国中を覆いこの国を転覆させる前に…どうぞ退いていただきたい」
「お前に何が出来る!何も出来ぬわ!知っておろう、お前には何の力も」
「出来ます!」
初めてと言っていい私の反抗に一瞬たじろぐ父上。
そうだ。これは私が初めて見せた意思。己の意思で立つ姿だ!
「なんだって出来ますとも。大切なものが何か、私にはもうわかっている。譲れないものは…この手の中に。…ふふふ、なんだって出来るのですよ父上、今の私は!」
横を見上げればいつもそばにあった強く涼やかな瞳。それが私の勇気となる。
「…無能と思い侮っておったわ。お前たち何をしている!術だ!昏睡の術をかけぬか!」
マーカス殿の工作の甲斐あり術師は王に叛意をみせた。カマーフィールド卿からの解呪の札はすでに術師を開放へと導いている。
「おのれ、おのれおのれおのれ!!!ならばくらうがよい」
王の放った冷気が部屋中を覆い足元から凍りつかせんとせり上がってくる。
私は手のひらに作った小さな太陽ですべてを溶かす。
「ぐぅっ!…もうよい!道連れじゃ!皆死ぬがよい!」
最後のあがきで放たれたのは大きな氷塊を含んだ荒れ狂う暴風。私たちは立っていることすらままならぬほど翻弄されなすすべもない。
「【氷結の暴風】は魔力消費が激しいっ、くっ、陛下の力が尽きるまで耐えきればっ」
「マーカス殿、それを待っては皆持ちませぬ!殿下、私に力を!」
「ワイアット、何をすればいい?氷塊だけなら光で溶かせる。だが暴風を抑え込む術が私には」
「いいえ、いっそ暴風にはさらなる暴風をぶつけるのです!私の作り出す水と殿下の光で」
「そうか、水蒸気を発生させ渦をつくるのかっ!ならば術師は私が盾となり守りましょう。殿下!思う存分おやりなさい!」
ワイアットの水魔法と私の光魔法が混ざり合う。そしてそれは大きな渦となりやがて暴力的な風となる。
だが王の【氷結の暴風】を撥ね退けるにはまだ威力が足りない!
「もっと、もっとだ!私なら出来る!」
「ダメだ!やめるんだ!これ以上は危険だ!これでは殿下が助からない!」
「約束したんだアラタと!」
すべて失ったって自分だけは失わないって
「クリフ、ならば…ならば私もともに!」
ゴォゴォと吹き荒れぶつかり合う獰猛な狂風の中、ついに王の断末魔の叫びが聞こえた
力に取りつかれた絶対君主。父王の望んだ世界には一体何が残ったのだろうか。
力尽き抱き合ったまま収まらぬ暴風に巻き込まれかけたその時、私とワイアットの胸に下げた小さな袋から場違いなほどやわらかな光が流れ出してきた。
「ア、アラタの護符が…」
「なんという…アデルの結界がこれほどとは…」
気の抜けるようなピンクベージュのカーテンの中、私とワイアットは顔を見合わせ目を丸くし、そして、ようやく心の底から笑いあった。
「クリフッ!」
考えるより先に体が動いていた。
その場にいた誰もが私の最悪を覚悟したその瞬間。
ビキィィィィ
何かの破壊音とともに私の目の前でピンクベージュの火花がはじけ飛んだ。
「これは…?」
「皆!呆けるのは後だ!」
怪我もなく支えあう私たち。それを瞬時に確認した反乱軍は、火花の閃光に動きの鈍った聖騎士団をここぞとばかりに退けた。
そして近衛を引き連れ陛下は奥へと走り去る。逃げ遅れた宰相はワイアットの助けを借り私が自ら捕縛した。
「さぁ、みんな最後の戦いだ。欠けた者はいないね。…ここまでついて来てくれたこと本当に感謝する。だがあと少しだけ力を貸してほしい」
手の中にあるのは…胸の中央に大きな穴を開けた人形。私を模したその人形は…己の役目を終えどこか満足そうな顔をしていた。
陛下の氷結魔法で凍り付いた、居室へと向かう長い長い廊下。
最奥、ひときわ豪奢な扉の前では近衛兵が守りを固めている。
兵士たちにこの場の相手を任せ部屋への侵入を試みる。そこへすでに城へ潜入していたバーガンディのマーカス殿が合流された。
「陛下はいつもここぞという時、術師を供回りに置くのですよ」
厚い氷で閉じられた扉。私の光魔法で溶かせるだろうか…
「自信をもって殿下。力を抜いて教えたとおりに。貴方なら出来る、そうでしょう?」
「ふぅ…お願いだ、支えていてくれぬかワイアット。そうだ出来る…出来るとも…」
無事魔法の発動を確認し氷の溶解した扉から部屋へと押し入った私達に憎々し気な声がかけられる。
「クリフト…まさかお前が…。とんだ伏兵が居たものだ。お前のような役立たずが大それた真似をしおって!さぁ、今すぐ茶番をやめるのだ。跪き詫びて服従を誓え!さすれば命だけは助けてやろう!」
「国王陛下…いえ父上。なんと醜悪な…あなたへの憎悪が国中を覆いこの国を転覆させる前に…どうぞ退いていただきたい」
「お前に何が出来る!何も出来ぬわ!知っておろう、お前には何の力も」
「出来ます!」
初めてと言っていい私の反抗に一瞬たじろぐ父上。
そうだ。これは私が初めて見せた意思。己の意思で立つ姿だ!
「なんだって出来ますとも。大切なものが何か、私にはもうわかっている。譲れないものは…この手の中に。…ふふふ、なんだって出来るのですよ父上、今の私は!」
横を見上げればいつもそばにあった強く涼やかな瞳。それが私の勇気となる。
「…無能と思い侮っておったわ。お前たち何をしている!術だ!昏睡の術をかけぬか!」
マーカス殿の工作の甲斐あり術師は王に叛意をみせた。カマーフィールド卿からの解呪の札はすでに術師を開放へと導いている。
「おのれ、おのれおのれおのれ!!!ならばくらうがよい」
王の放った冷気が部屋中を覆い足元から凍りつかせんとせり上がってくる。
私は手のひらに作った小さな太陽ですべてを溶かす。
「ぐぅっ!…もうよい!道連れじゃ!皆死ぬがよい!」
最後のあがきで放たれたのは大きな氷塊を含んだ荒れ狂う暴風。私たちは立っていることすらままならぬほど翻弄されなすすべもない。
「【氷結の暴風】は魔力消費が激しいっ、くっ、陛下の力が尽きるまで耐えきればっ」
「マーカス殿、それを待っては皆持ちませぬ!殿下、私に力を!」
「ワイアット、何をすればいい?氷塊だけなら光で溶かせる。だが暴風を抑え込む術が私には」
「いいえ、いっそ暴風にはさらなる暴風をぶつけるのです!私の作り出す水と殿下の光で」
「そうか、水蒸気を発生させ渦をつくるのかっ!ならば術師は私が盾となり守りましょう。殿下!思う存分おやりなさい!」
ワイアットの水魔法と私の光魔法が混ざり合う。そしてそれは大きな渦となりやがて暴力的な風となる。
だが王の【氷結の暴風】を撥ね退けるにはまだ威力が足りない!
「もっと、もっとだ!私なら出来る!」
「ダメだ!やめるんだ!これ以上は危険だ!これでは殿下が助からない!」
「約束したんだアラタと!」
すべて失ったって自分だけは失わないって
「クリフ、ならば…ならば私もともに!」
ゴォゴォと吹き荒れぶつかり合う獰猛な狂風の中、ついに王の断末魔の叫びが聞こえた
力に取りつかれた絶対君主。父王の望んだ世界には一体何が残ったのだろうか。
力尽き抱き合ったまま収まらぬ暴風に巻き込まれかけたその時、私とワイアットの胸に下げた小さな袋から場違いなほどやわらかな光が流れ出してきた。
「ア、アラタの護符が…」
「なんという…アデルの結界がこれほどとは…」
気の抜けるようなピンクベージュのカーテンの中、私とワイアットは顔を見合わせ目を丸くし、そして、ようやく心の底から笑いあった。
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
表紙は、Pexelsさまより、Julia Kuzenkovさまによる写真をお借りしました。ありがとうございます!
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。