イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

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王位交代開始編

応援上映 ①

南のグリーンバルト侯爵領には友人でもあるカマーフィールド伯爵が多くの支持者を率い援軍へとかけつけた。

西のグレインジャー子爵領、穀倉をも守るその地を燃え上がらせることは出来ない。
王都に最も近い重要拠点でもあり、また王国軍の出兵数も多いこの地には、バーガンディでも屈指の力量を持つ、討伐軍大隊長グレゴリー殿とその直轄が派兵された。

南南東のリブストック子爵領は討伐隊副隊長のスコットが第二部隊を率いて援護に入る。家畜小屋にはバーガンディからもたらされた盾の護符が貼られすでに発動を済ませている。

そしてここ鉱山に囲まれた北東のヒックマイン伯爵領。幸いにして王都から距離のあるこの地に投入されるのは王国騎士団の中でも番号の低い第六騎士団だ。国王派の領地貴族が寄せ集めた200の騎馬兵ととも武具を構える。
それにぶつかるのは伯爵家の抱える防衛軍と我らバーガンディ討伐第三部隊。総数にして150程だ。だが我々には強力な護符がある。十分相手取れると閣下がお決めになられた配置だ。

そして我がバーガンディ領主であられる辺境伯閣下の奥方であられるアデル様が王位交代をかけた蜂起に間に合わせ、完成させたこの双方性魔道映像投射機。
この国の抱える懸念材料、スタンピードの恐怖を刷り込むことで、同一国内の民同士で戦う事の愚かさと浅はかさを考えるに至ってもらいたいという考えがおありのようだ。
そして、先だって流したドノヴァン国王陛下とクリフト王太子殿下の映像をも含め、これには誰が国を想い、誰が国を傾け、誰が国を護っているのかを知らしめる狙いがある。




-ーーーーーーーーー




敵は第六、だが腐っても王国騎士団である。一筋縄で制圧とはいかないようだ。
だが圧倒しているのはこちら。王国軍の焦りが垣間見える。
その時、王都の戦況を投影していた北の空からひと際大きな歓声が上がった。その声を上書きするように我らが陣営からも歓声が上がる。

ーやった!王が倒れたぞー
ークリフト王太子殿下万歳!ー
ー新王の誕生だ!ー

魔道映像投射機の中から外から絶えぬ喜びの声。その声に王国軍の士気が下がる。
…勝敗はついたとばかりに、一人、また一人と暗闇の中投降する寄せ集めの徴収兵。
そんな中、矜持を胸に背水の陣に打って出ようとする王国騎士団、その残兵が急に動きを止めた。

…空に浮かぶのは先ほどまでと打って変わってバーガンディから送られてきた緊迫した場面。
いまだ夜が明けきらぬ中、そこには衝撃的な映像がひたすら続く。
大型の強大な魔獣相手に誰もが深手を負い、それでも戦い続ける討伐第一部隊。そして先頭に立ち続ける満身創痍の辺境伯閣下。その背後で援護を続ける奥方様。皆が一様に疲弊している。
そしてその状況のさなか現れた、絶望を体現する存在。

「ヴィーヴル…」
「そんな…」

閣下の戦装束が赤く染まり続ける。傷一つ入らぬ硬質な鱗。火も風も水も通らぬ、まさに規格外の化け物。
敵陣営も味方陣営もなく皆が一様に声を上げ続ける。想いだけでも届けとばかりに…
そして…炎に雷をまとわせた神々しいほどの輝きを放つ閣下の剣が奴の巨体を貫いた時!
空を見上げるこちらにまで届かんばかりの衝撃とともに映像は途切れた…

「…魔石が割れたのか⁉」

呆然と誰もが空を見上げたまま立ち尽くす…

次元が違う…
その映像はこの場にいる全ての者から気力を奪い、そうして戦いは幕を閉じた。




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