81 / 247
王位交代開始編
応援上映 ①
南のグリーンバルト侯爵領には友人でもあるカマーフィールド伯爵が多くの支持者を率い援軍へとかけつけた。
西のグレインジャー子爵領、穀倉をも守るその地を燃え上がらせることは出来ない。
王都に最も近い重要拠点でもあり、また王国軍の出兵数も多いこの地には、バーガンディでも屈指の力量を持つ、討伐軍大隊長グレゴリー殿とその直轄が派兵された。
南南東のリブストック子爵領は討伐隊副隊長のスコットが第二部隊を率いて援護に入る。家畜小屋にはバーガンディからもたらされた盾の護符が貼られすでに発動を済ませている。
そしてここ鉱山に囲まれた北東のヒックマイン伯爵領。幸いにして王都から距離のあるこの地に投入されるのは王国騎士団の中でも番号の低い第六騎士団だ。国王派の領地貴族が寄せ集めた200の騎馬兵ととも武具を構える。
それにぶつかるのは伯爵家の抱える防衛軍と我らバーガンディ討伐第三部隊。総数にして150程だ。だが我々には強力な護符がある。十分相手取れると閣下がお決めになられた配置だ。
そして我がバーガンディ領主であられる辺境伯閣下の奥方であられるアデル様が王位交代をかけた蜂起に間に合わせ、完成させたこの双方性魔道映像投射機。
この国の抱える懸念材料、スタンピードの恐怖を刷り込むことで、同一国内の民同士で戦う事の愚かさと浅はかさを考えるに至ってもらいたいという考えがおありのようだ。
そして、先だって流したドノヴァン国王陛下とクリフト王太子殿下の映像をも含め、これには誰が国を想い、誰が国を傾け、誰が国を護っているのかを知らしめる狙いがある。
-ーーーーーーーーー
敵は第六、だが腐っても王国騎士団である。一筋縄で制圧とはいかないようだ。
だが圧倒しているのはこちら。王国軍の焦りが垣間見える。
その時、王都の戦況を投影していた北の空からひと際大きな歓声が上がった。その声を上書きするように我らが陣営からも歓声が上がる。
ーやった!王が倒れたぞー
ークリフト王太子殿下万歳!ー
ー新王の誕生だ!ー
魔道映像投射機の中から外から絶えぬ喜びの声。その声に王国軍の士気が下がる。
…勝敗はついたとばかりに、一人、また一人と暗闇の中投降する寄せ集めの徴収兵。
そんな中、矜持を胸に背水の陣に打って出ようとする王国騎士団、その残兵が急に動きを止めた。
…空に浮かぶのは先ほどまでと打って変わってバーガンディから送られてきた緊迫した場面。
いまだ夜が明けきらぬ中、そこには衝撃的な映像がひたすら続く。
大型の強大な魔獣相手に誰もが深手を負い、それでも戦い続ける討伐第一部隊。そして先頭に立ち続ける満身創痍の辺境伯閣下。その背後で援護を続ける奥方様。皆が一様に疲弊している。
そしてその状況のさなか現れた、絶望を体現する存在。
「ヴィーヴル…」
「そんな…」
閣下の戦装束が赤く染まり続ける。傷一つ入らぬ硬質な鱗。火も風も水も通らぬ、まさに規格外の化け物。
敵陣営も味方陣営もなく皆が一様に声を上げ続ける。想いだけでも届けとばかりに…
そして…炎に雷をまとわせた神々しいほどの輝きを放つ閣下の剣が奴の巨体を貫いた時!
空を見上げるこちらにまで届かんばかりの衝撃とともに映像は途切れた…
「…魔石が割れたのか⁉」
呆然と誰もが空を見上げたまま立ち尽くす…
次元が違う…
その映像はこの場にいる全ての者から気力を奪い、そうして戦いは幕を閉じた。
西のグレインジャー子爵領、穀倉をも守るその地を燃え上がらせることは出来ない。
王都に最も近い重要拠点でもあり、また王国軍の出兵数も多いこの地には、バーガンディでも屈指の力量を持つ、討伐軍大隊長グレゴリー殿とその直轄が派兵された。
南南東のリブストック子爵領は討伐隊副隊長のスコットが第二部隊を率いて援護に入る。家畜小屋にはバーガンディからもたらされた盾の護符が貼られすでに発動を済ませている。
そしてここ鉱山に囲まれた北東のヒックマイン伯爵領。幸いにして王都から距離のあるこの地に投入されるのは王国騎士団の中でも番号の低い第六騎士団だ。国王派の領地貴族が寄せ集めた200の騎馬兵ととも武具を構える。
それにぶつかるのは伯爵家の抱える防衛軍と我らバーガンディ討伐第三部隊。総数にして150程だ。だが我々には強力な護符がある。十分相手取れると閣下がお決めになられた配置だ。
そして我がバーガンディ領主であられる辺境伯閣下の奥方であられるアデル様が王位交代をかけた蜂起に間に合わせ、完成させたこの双方性魔道映像投射機。
この国の抱える懸念材料、スタンピードの恐怖を刷り込むことで、同一国内の民同士で戦う事の愚かさと浅はかさを考えるに至ってもらいたいという考えがおありのようだ。
そして、先だって流したドノヴァン国王陛下とクリフト王太子殿下の映像をも含め、これには誰が国を想い、誰が国を傾け、誰が国を護っているのかを知らしめる狙いがある。
-ーーーーーーーーー
敵は第六、だが腐っても王国騎士団である。一筋縄で制圧とはいかないようだ。
だが圧倒しているのはこちら。王国軍の焦りが垣間見える。
その時、王都の戦況を投影していた北の空からひと際大きな歓声が上がった。その声を上書きするように我らが陣営からも歓声が上がる。
ーやった!王が倒れたぞー
ークリフト王太子殿下万歳!ー
ー新王の誕生だ!ー
魔道映像投射機の中から外から絶えぬ喜びの声。その声に王国軍の士気が下がる。
…勝敗はついたとばかりに、一人、また一人と暗闇の中投降する寄せ集めの徴収兵。
そんな中、矜持を胸に背水の陣に打って出ようとする王国騎士団、その残兵が急に動きを止めた。
…空に浮かぶのは先ほどまでと打って変わってバーガンディから送られてきた緊迫した場面。
いまだ夜が明けきらぬ中、そこには衝撃的な映像がひたすら続く。
大型の強大な魔獣相手に誰もが深手を負い、それでも戦い続ける討伐第一部隊。そして先頭に立ち続ける満身創痍の辺境伯閣下。その背後で援護を続ける奥方様。皆が一様に疲弊している。
そしてその状況のさなか現れた、絶望を体現する存在。
「ヴィーヴル…」
「そんな…」
閣下の戦装束が赤く染まり続ける。傷一つ入らぬ硬質な鱗。火も風も水も通らぬ、まさに規格外の化け物。
敵陣営も味方陣営もなく皆が一様に声を上げ続ける。想いだけでも届けとばかりに…
そして…炎に雷をまとわせた神々しいほどの輝きを放つ閣下の剣が奴の巨体を貫いた時!
空を見上げるこちらにまで届かんばかりの衝撃とともに映像は途切れた…
「…魔石が割れたのか⁉」
呆然と誰もが空を見上げたまま立ち尽くす…
次元が違う…
その映像はこの場にいる全ての者から気力を奪い、そうして戦いは幕を閉じた。
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
表紙は、Pexelsさまより、Julia Kuzenkovさまによる写真をお借りしました。ありがとうございます!
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。