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エンタメ充実編
殿下とお兄様 ⑥
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今私たちの前には威勢を失った王だった人が居る。
その全てを恐れ、前に立つだけで私を怯えさせた父王…。魔力を使い果たし枯れ枝のようだ。暴風に巻き込まれ豪華な刺繍や飾りの施された衣装もぼろ布のようだ。
「…せめて衣服は着替えさせてあげましょう。死者への手向けとして」
「そうか、ワイアットはこんな時でも慈悲深いのだな。私は正直…顔を見る事すら不快であるというのに。」
「ク、殿下…。さぁ、表にお出になり勝ち鬨をお上げください。皆が待っておりますよ」
「ワイアット、一緒に」「いえ私は」
手を引いて無理やり表に連れ出す。
「謙虚なのはワイアットの美徳だが今は駄目だよ。其方の尽力と献身、そして得られた成果を皆に知らしめねば」
「あ、殿下…」
「一緒に死のうとしてくれたね。私がどれほど嬉しかったかわかるかい?…これでもう誰にもワイアットを奪われないと、其方の全てを私の物に出来たと、そう思ったのだ。勝手なものだろう。こんな私が本当にこの国の王として立っても良いのだろうか」
「殿下!もちろんですとも!今この国に必要なのは新しい息吹。あたたかな光。クリフでなければならない!私のクリフならばきっと、」
「…ならば、ぬるま湯の国は…どう思う?」
私の為に命すら投げ出そうとした可憐な人は一瞬目を見開き、そして…くしゃりと笑った。
私室に戻れたのは深夜もかなり過ぎた明け方近くであった。
仮眠程度の休息をとったらまたすぐに片付けねばならぬ後始末に追われる。当分は仕方のない事だと分かっているが。
「ワイアット、ここに」
「クリフ…その先ほどの事は…」
「ダメだ、もう答えは受け取った。それに皆の前でクリフと呼んだであろう?もう知られてしまったよ」
「え、まさか、そんなつもりは、ついその…」
「嬉しかった。ねぇワイアット、私の枷になるのが嫌だと言ったね。ならば、むしろ私の為に全てを撥ね退けてはくれないか?身分や立場などと言ったくだらない貴族の声を。それらが今まで私から自由を奪い続けてきたのだよ。私に何も期待せぬ癖に、立場だけは強要する。私を抑えつけてきたのは決して王だけではなかったのだ」
「クリフ…そ、それはそう、なのですが…私は…」
「身分がどうとか、生まれがなんだとか、そういったものを変えていくために私は王となったのだ!そうとも、口さがない奴はごまんと居るだろう。だがワイアットは私なんかよりずっと強いじゃないか!ひどい事を言っている自覚はあるが、私の為に堪えてくれ‼」
ああ、全く私と言う奴は。必死になるあまり声を荒げてしまう。だがその必死さが功を奏したのか…
ワイアットはしばらく逡巡したあと、覚悟を決めた男の顔で真っすぐに私を見る。
そうして彼の柔らかい唇が私のそれに押し当てられた。
「約束…しましたからね。ずっとお傍に居るって。カマーフィールドの男は約束を違えぬのですよ。」
そう言って泣きそうな顔で微笑むワイアット。泣きたいのはこちらのほうだ。この暖かな笑顔がずっとずっと欲しかったのだ。
「そうだワイアット…其方に教えておくよ。…私の、その男性機能なのだが…」
「そんなのどうでもかまわな「治っているのだよ」 えっ?」
「治っているのだ。もうずっとワイアットをみるたび何度もそうなっている。アデルの丸薬が効いたのかな?…それともワイアットの存在が薬になったのか…」
真っ赤になってパクパクと口ごもるワイアット。私の目線の先にワイアットの額がある。緊張の日々を過ごすうち、いつの間にか彼の身長をほんの少し超えていたのだな。
愛する人を護れる自分にまた一歩近づいた。
その全てを恐れ、前に立つだけで私を怯えさせた父王…。魔力を使い果たし枯れ枝のようだ。暴風に巻き込まれ豪華な刺繍や飾りの施された衣装もぼろ布のようだ。
「…せめて衣服は着替えさせてあげましょう。死者への手向けとして」
「そうか、ワイアットはこんな時でも慈悲深いのだな。私は正直…顔を見る事すら不快であるというのに。」
「ク、殿下…。さぁ、表にお出になり勝ち鬨をお上げください。皆が待っておりますよ」
「ワイアット、一緒に」「いえ私は」
手を引いて無理やり表に連れ出す。
「謙虚なのはワイアットの美徳だが今は駄目だよ。其方の尽力と献身、そして得られた成果を皆に知らしめねば」
「あ、殿下…」
「一緒に死のうとしてくれたね。私がどれほど嬉しかったかわかるかい?…これでもう誰にもワイアットを奪われないと、其方の全てを私の物に出来たと、そう思ったのだ。勝手なものだろう。こんな私が本当にこの国の王として立っても良いのだろうか」
「殿下!もちろんですとも!今この国に必要なのは新しい息吹。あたたかな光。クリフでなければならない!私のクリフならばきっと、」
「…ならば、ぬるま湯の国は…どう思う?」
私の為に命すら投げ出そうとした可憐な人は一瞬目を見開き、そして…くしゃりと笑った。
私室に戻れたのは深夜もかなり過ぎた明け方近くであった。
仮眠程度の休息をとったらまたすぐに片付けねばならぬ後始末に追われる。当分は仕方のない事だと分かっているが。
「ワイアット、ここに」
「クリフ…その先ほどの事は…」
「ダメだ、もう答えは受け取った。それに皆の前でクリフと呼んだであろう?もう知られてしまったよ」
「え、まさか、そんなつもりは、ついその…」
「嬉しかった。ねぇワイアット、私の枷になるのが嫌だと言ったね。ならば、むしろ私の為に全てを撥ね退けてはくれないか?身分や立場などと言ったくだらない貴族の声を。それらが今まで私から自由を奪い続けてきたのだよ。私に何も期待せぬ癖に、立場だけは強要する。私を抑えつけてきたのは決して王だけではなかったのだ」
「クリフ…そ、それはそう、なのですが…私は…」
「身分がどうとか、生まれがなんだとか、そういったものを変えていくために私は王となったのだ!そうとも、口さがない奴はごまんと居るだろう。だがワイアットは私なんかよりずっと強いじゃないか!ひどい事を言っている自覚はあるが、私の為に堪えてくれ‼」
ああ、全く私と言う奴は。必死になるあまり声を荒げてしまう。だがその必死さが功を奏したのか…
ワイアットはしばらく逡巡したあと、覚悟を決めた男の顔で真っすぐに私を見る。
そうして彼の柔らかい唇が私のそれに押し当てられた。
「約束…しましたからね。ずっとお傍に居るって。カマーフィールドの男は約束を違えぬのですよ。」
そう言って泣きそうな顔で微笑むワイアット。泣きたいのはこちらのほうだ。この暖かな笑顔がずっとずっと欲しかったのだ。
「そうだワイアット…其方に教えておくよ。…私の、その男性機能なのだが…」
「そんなのどうでもかまわな「治っているのだよ」 えっ?」
「治っているのだ。もうずっとワイアットをみるたび何度もそうなっている。アデルの丸薬が効いたのかな?…それともワイアットの存在が薬になったのか…」
真っ赤になってパクパクと口ごもるワイアット。私の目線の先にワイアットの額がある。緊張の日々を過ごすうち、いつの間にか彼の身長をほんの少し超えていたのだな。
愛する人を護れる自分にまた一歩近づいた。
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