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決断の時編
お母様は見た ②
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あれから二人の様子を見ていて分かってきたことがいくつかあるわ。
トールキン…あの子は自分で気が付いているのかしら…。無意識にいつも優し気な目でローランの姿を追っていることを。
そしてその後ため息をつくのよ。必ず。どういうことかしら?
そしてローラン。トールキンの役に立とうと一生懸命なのが見て取れる。
旦那様不在の領地を守ろうと必死に激務をこなすトールキンを要所要所で手助けをし、時には先回りして仕事を減らす。
…よく気の利く子だとは思っていたけど…そう、トールキンのためだったのね。
お互い想い合っているの?あら、ならなにも問題は無いのじゃないかしら?
わたくしと旦那様は貴族間では珍しい恋愛結婚。
とはいえ、旦那様は宮廷貴族だった子爵家の3男、わたくしはこのカマーフィールドの前身となった今より小さな男爵領の一人娘。恋愛結婚を咎められるほどの立場でなかったことも幸いして旦那様はわたくしの生家、田舎の男爵家を継いで下さった。
そうして宮廷からの無理難題をこなすごとに陞爵し、ついには伯爵位を賜ったのだけれどさして領地は広がらず、旦那様には貧乏くじを引かせてしまったと申し訳なく思う事もあるのよ。
そしてそんな貧乏くじは嫡男トールキンにも及び…親としてふがいない思いをしていたけれど…
領地は少しずつ潤い、様々な難事が改善へむかっている今、問題はトールキンの縁組と後継…。
わたくしは本質的に、身分に貴賤などないと思っているわ。
貴族家として恥じぬふるまい、品格を維持することは必要ではあるけれど、貴族に生まれたことが人としての格までも決定づける訳ではない…それは此度の乱をみれば明らかなこと。
トールキンと志を同じくし、このカマーフィールドを守らんとするローランがこの家に相応しくないなどと誰が言いましょう…。
それにしても…想い合っているのなら、早く言ってこれば良いものを。何に遠慮をしているのやら…。
コンコンコン…
「あらハモン、どうかしたのですか?こんな夜更けに」
「奥様…なにやら裏庭から妙な声が聞こえまして…」
「妙な声…?使用人ではなく?領民が入り込んだとでも?」
「いえ、なにやらすすり泣くような…」「ま、まぁ…」
嫌な考えが頭をよぎってしまったけれどこのままにはしておけずトールキンの自室へ向かう。
「トールキン?…いないのかしら。こんな時間に困った子ね」
仕方なくハモンと二人で裏庭へ。
「ハモン、は、離れないで頂戴ね、いいですか、絶対ですよ!」
ーーー…っす…ぐす…ーーーずず…ぐすーーー
ひっ!ひぃぃぃ!!!
いいえ、わたくしはこのカマーフィールドの伯爵夫人!見苦しい姿など晒すわけにはいかないのです。
ハモンを先導してその声のするほうへ歩みを進める。徐々に近づく黒い影。
「あ、あなたっ!誰ですか!ここで何をしているのです!」
「お、奥様……」
「まっ!まぁ、ローラン…ローランじゃないの。あなただったの怪しい声の主は」
「怪しい声…す、すみません、皆さんにご迷惑を…あのっ、すぐに部屋へ戻りますから…」
「何を言っているの?そんな顔をして…さ、いらっしゃい、暖かいお茶でも入れましょう。ハモン支度を」
こうしてわたくしは涙で顔をぐしゃぐしゃにしたローランをダイニングへと連れ戻ったのです。
トールキン…あの子は自分で気が付いているのかしら…。無意識にいつも優し気な目でローランの姿を追っていることを。
そしてその後ため息をつくのよ。必ず。どういうことかしら?
そしてローラン。トールキンの役に立とうと一生懸命なのが見て取れる。
旦那様不在の領地を守ろうと必死に激務をこなすトールキンを要所要所で手助けをし、時には先回りして仕事を減らす。
…よく気の利く子だとは思っていたけど…そう、トールキンのためだったのね。
お互い想い合っているの?あら、ならなにも問題は無いのじゃないかしら?
わたくしと旦那様は貴族間では珍しい恋愛結婚。
とはいえ、旦那様は宮廷貴族だった子爵家の3男、わたくしはこのカマーフィールドの前身となった今より小さな男爵領の一人娘。恋愛結婚を咎められるほどの立場でなかったことも幸いして旦那様はわたくしの生家、田舎の男爵家を継いで下さった。
そうして宮廷からの無理難題をこなすごとに陞爵し、ついには伯爵位を賜ったのだけれどさして領地は広がらず、旦那様には貧乏くじを引かせてしまったと申し訳なく思う事もあるのよ。
そしてそんな貧乏くじは嫡男トールキンにも及び…親としてふがいない思いをしていたけれど…
領地は少しずつ潤い、様々な難事が改善へむかっている今、問題はトールキンの縁組と後継…。
わたくしは本質的に、身分に貴賤などないと思っているわ。
貴族家として恥じぬふるまい、品格を維持することは必要ではあるけれど、貴族に生まれたことが人としての格までも決定づける訳ではない…それは此度の乱をみれば明らかなこと。
トールキンと志を同じくし、このカマーフィールドを守らんとするローランがこの家に相応しくないなどと誰が言いましょう…。
それにしても…想い合っているのなら、早く言ってこれば良いものを。何に遠慮をしているのやら…。
コンコンコン…
「あらハモン、どうかしたのですか?こんな夜更けに」
「奥様…なにやら裏庭から妙な声が聞こえまして…」
「妙な声…?使用人ではなく?領民が入り込んだとでも?」
「いえ、なにやらすすり泣くような…」「ま、まぁ…」
嫌な考えが頭をよぎってしまったけれどこのままにはしておけずトールキンの自室へ向かう。
「トールキン?…いないのかしら。こんな時間に困った子ね」
仕方なくハモンと二人で裏庭へ。
「ハモン、は、離れないで頂戴ね、いいですか、絶対ですよ!」
ーーー…っす…ぐす…ーーーずず…ぐすーーー
ひっ!ひぃぃぃ!!!
いいえ、わたくしはこのカマーフィールドの伯爵夫人!見苦しい姿など晒すわけにはいかないのです。
ハモンを先導してその声のするほうへ歩みを進める。徐々に近づく黒い影。
「あ、あなたっ!誰ですか!ここで何をしているのです!」
「お、奥様……」
「まっ!まぁ、ローラン…ローランじゃないの。あなただったの怪しい声の主は」
「怪しい声…す、すみません、皆さんにご迷惑を…あのっ、すぐに部屋へ戻りますから…」
「何を言っているの?そんな顔をして…さ、いらっしゃい、暖かいお茶でも入れましょう。ハモン支度を」
こうしてわたくしは涙で顔をぐしゃぐしゃにしたローランをダイニングへと連れ戻ったのです。
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