イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

文字の大きさ
226 / 247
番外編 第二世代の恋模様

一番弟子ルミエ①

しおりを挟む
この国、リーガル王国の頂点は銀の髪がキラキラと眩しいクリフト国王陛下。そしてその横にはカメオカラーが柔らかく揺れる微笑みの聖母ことワイアット王妃。
なんとこのお二人は僕、ルミエール・リーガル12歳の両親だ。そう僕はこの国の第一王子なのである。
今僕たちは一段高いその場所に弟の第二王子エスパールを含め4人で並び立っている。
今から始まる大勢の、祝いの挨拶という名の苦行を受けるために…




今では平和なこの国だけど僕が生まれるその前に、大きな乱があったと聞いた。それは僕の親友、従兄弟のアベニアが住むバーガンディの大叔父上たちが、父上の為に成し遂げられたとても大切な改革だったのだとカマーフィールドのおじい様から伺った。
そしてその改革の発起人は、なんとあの可愛らしいバーガンディのアデル様、大叔父上の奥方だったと聞いた時には開いた口が塞がらなかった。

だってなにしろアデル様は、柔らかなピンクベージュの髪が良く似合う向日葵のような方なのだ。
そして、そんなアデル様によく似ているのが次男のグレン…だけでなく、アベニアの従者であるフラッフィその人だ。
笑顔の可愛いフラッフィには悲しい過去があるという。
アデル様に懸想した倒錯者、その悪人がアデル様に似た子供を集め良からぬ事を企てた事があったらしい。その時に保護された子供の一人がフラッフィ。帰る家を持たずバーガンディに残った4人の子供、フラッフィ以外は合唱団に居る。いや、大人になり今は歌劇団にいるそうだ。
12歳になったら歌劇場に連れて行ってくれるとはアデル様との約束だ。

ともかくそんな可愛いフラッフィが僕は昔から大好きで…だけどフラッフィにはアベニアが居る。

アベニアは昔から独占欲が強く、フラッフィが誰かと話したり遊んだりするのをとにかく嫌がる。そんな姿を見た母上は、閣下にそっくりだって笑っていた。
それにしてもアデル様に似たフラッフィが好きだなんてアベニアは随分とママっ子だ。そう言ったらアベニアに「ラフはワイアット様にも似てるからルミエも同じくらいママっ子だ」って言い返された。

あ~あ、僕もアデル様やフラッフィみたいなふわふわの砂糖菓子みたいな人と一緒に居たいな。そうしたら勉強や剣の稽古ばかりでつまらない毎日がぱぁっと明るくなるに違いないのに。




そんな僕もアベニアに半年遅れてついに12歳の誕生日を迎えたんだ。
12歳の誕生日は特別な意味を持つ。今夜の夜会をもって僕は社交界へとデビューする。そしてこれから剣の稽古も騎士団と共に受けるのだ。

そう、大人になる準備が始まるのだ。



そうして始まった僕の誕生日を祝う夜会。そこにはバーガンディからアデル様に大叔父上に、そして仲良しのアベニアも、いつものようにフラッフィを伴いやって来た。

「おめでとうルミエ。これで大人に近づいたね。今日はお祝いいっぱい持って来たんだよ。あとでワイアットお兄様から受け取ってね。それからもう一つ。今日は特別なプレゼントもあるからね。えへへ、楽しみにしていて」

こうやってアデル様が笑う時はいつも何かを企んでいる。だけどその企みはいつでも刺激的で楽しいものなのだ。

「ルミエよ。アベニアは王都の騎士団でなくバーガンディで修業をつけることと相成った。お前はどうする?考えておくがいい」

えぇ~!アベニア~…フラッフィから離れないって言ってたけど実行するなんて…つまらないよ、これからいっぱい遊べるって思ったのに。

「ルミエっ!聞いた?父様に。僕領地で修業するよ。だってバーガンディの警備隊は王国一の強さを誇る精鋭だからね」
「うそばっか!そんな理由じゃないくせに!ひどいよ…楽しみにしてたのに…」
「じゃぁルミエがうちにおいでよ。陛下もワイアット様もダメとは言わないでしょ?だってバーガンディでの修行だよ?」
「そうだけど…」


その後も挨拶の列は続き、ようやくその列が途切れた時いきなり照明が暗くなった。
皆が驚いて騒めき始めたその時、中央に一筋の照明があたる。その中には一人の人が…ふわふわの髪をしたとても可愛らしい人が立っていた。

えっ…フラッフィに似てる…

照明を浴びながらその人が歌いだす。なんてキレイな声だろう…あ、あれなんか見覚えが…
ああっ!もしかして合唱団のキャンディ⁉僕がまだ小さい頃、何度か中央神殿で歌声を披露してくれたキャンディス君だ!
あの頃はまだ自分が幼すぎて…この歌声にこんなふうに聴き入るなんてこと出来なかった…
そう、それに、あの頃はとてもおごそかな合唱しか聴いたことなくて…こんな雰囲気のある曲を歌うとこ初めて見た…
すごい…とても…情感がこう…それに色気?可愛いのに色っぽい…何これ?あっこっち見た。ええっ!こっち来る!

そうしてキャンディスは僕の目の前までやってきて…僕の手を取り僕の目を見て切々と歌い上げたのだ、恋の歌を…



割れんばかりの拍手喝采。だけど今の僕にはキャンディスの声以外もうなにも聞こえなかった。

「どう?どうだったルミエ。歌劇に興味ありそうだったから一場面再現してもらったんだよ。素敵でしょっ…て、ルミエ?おーいルミエ~ル?」




アデル様のよく言う沼にハマる…その言葉の意味を僕は身をもって知ったのだった…



しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。 するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。 だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。 過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。 ところが、ひょんなことから再会してしまう。 しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。 「今度は、もう離さないから」 「お願いだから、僕にもう近づかないで…」

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

【完結】薄幸文官志望は嘘をつく

七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。 忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。 学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。 しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー… 認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。 全17話 2/28 番外編を更新しました

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

優秀な婚約者が去った後の世界

月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。 パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。 このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。

処理中です...