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番外編 第二世代の恋模様
グレンの初恋は…
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歌劇団のキャンディーを目当てに王都から第一王子、ルミエールがやって来た。
ルミエールは僕らの従兄弟。この国リーガル王国の陛下の叔父が父様で王妃様の弟が母様だ。
僕には2歳上にアベニア兄さまが、5つ下に弟のミルドレッドがいる。そしてつい先日生まれたのが一番下のウィニーだ。
「父様とそっくりな真っ赤な瞳だ。僕も父様似って言われてるけど、父様の赤は受け継げなかったのに…いいな、ウィニー父様と一緒。」
「アベニア、お前は母様と父様の色を合わせたラベンダーを持っている。私にとって何よりの宝だ。何を羨む必要があるというのか。」
「そうだよ、アビー。僕とグラナダ様はね…アベニアをこの手に抱くためにいろんなことを頑張ったの。アベニアはこの国の真の救世主なの。アベニアがこの国を救ったと言ってもいい!」
「え…えへ。そうですか?父様、母様…僕、ウィニーの良き兄さまになりますね!」
「それにしても…ウィニー坊ちゃまは本当にご当主様にそっくりですね。ほら見てください。幼少はハッキリしないはずの属性ですが、坊ちゃまは生まれつき炎を持ってお生まれですよ」
「炎?確かに炎のような赤い瞳だが…」
「いえ、その奥をよくご覧になって下さい。小さな炎に気づきませんか?」
「え、本当ですか?ええー、嬉しい!僕の大好きなバーガンディレッドの炎だ。炎が灯ってますよグラナダ様。すごい…やっぱり生誕珠賜に念を飛ばしたのが良かったのかも。」
「邪念…」「何言ってんのジョッシュさん!思念だよ!思念!」
「執念…」「ちょっとマカフィーさん!あ、いいのか。」
「うむ、しかと見た。瞳の奥の小さな炎…アデルよ。お前は何を飛ばしたのだ。念だけではないのだろう。何をしたのだ、言って見よ」
「えへへ、実はグラナダ様の真っ赤な瞳のお子が良いって、生誕珠を賜ってから受精までの1週間、毎日祭壇に供えて祈祷したんですけど…願いが通じて良かった。」
「祭壇…?ここにそのようなもの…」
「僕のグラナダ様ミュージアムにはグラナダ様を祀った祭壇がちゃんとあるんですよ。知りませんでした?」
「アレの事だな…まったくお前と言う奴は…」
「ええー、だって想いの強さで勝負して僕のグラナダ様への愛が負けるなんて…勝負相手がグラナダ様でもこればっかりはゆずれませんよ?」
こんな愛情あふれる両親だから、当然血を引く兄さまも僕も〝運命の相手”に憧れがある。
兄さまは僕からラフを独り占めしていつかお嫁にもらうみたいだ。この間やらかしたちょっとした騒ぎのせいで、お兄様が本気なのはすでに邸中が知っている。
父様も母様も高貴な家にはめずらしく、好きな人と結ばれるべきって思っているからラフの気持ちがおんなじなら、それで良いってお考えだ。
生まれる前からの運命だって兄様は固く信じてる。母様のお腹にいるときからずっとラフからの愛情を感じてたって。母様とはまた違う柔らかく甘いその声にいつも癒されていたんだって。その話を聞いたマカフィーは、「生誕珠の中に居てさらに癒しが必要なのか?」って怪訝そうな顔してた。僕もそう思う。
それにしても…それならぼくの運命は?運命の人はどこだろう?
そんな思いを持て余してる頃、その人は目の前に現れたのだ。
「アベニア様、グレン様、ルミエール殿下の側近として共に修行に参りました。今日より一年お世話になります。」
父様と母様に挨拶を済ませたルミエの側付き、タウンゼン伯爵家のモデーロさまが兄さまの部屋へとやってきて丁寧に、そして品よくボウアンドスクレイプを決めて見せた。
ふぅん…きれいな横顔。
こんな感想を持ったのはいつぶりだろう…。何しろ僕は美形の顔は見慣れているのだ。
王族はそもそも美男美女が多い。歴史的にもそういった美しい男女が多く選ばれ集められた。もはやすでに遺伝子レベルで美形しか生まれないのだ。
そして母様や王妃様。
カマーフィールドのおばあ様はいまでもたいそうお美しいし、おじい様も今だってとても整ったお姿だ。そんな二人から生まれたカマーフィールド家の3兄弟はトールキン伯父様も含めみんな揃って見目が良いって評判だ。
そんなわけで…美形×美形の混成で僕の周りは美男美女だらけ。
それに加えて、せっかくの容姿の無駄使いと言うか…ルミエールがなんだかあんな風なので、僕は美形には免疫がついている。
そこに現れた兄さまたちより3つ年上のモデーロ君。今まで僕の周りに居たどの子とも違って見える。
この雄々しく賑やかなバーガンディではあまり見ない貴族然としたその立ち振る舞い。だけど全然嫌みじゃなく、薄く笑みを張り付かせ感情を抑えたその顔は、ルミエールの従者としてはとても様になって見えた。
「よろしくね、モデーロ。ルミエはいつもあんなんで君も大変だとは思うけど、ああ見えてもとても頭の良い従兄弟だからお願いね。」
「ふふ、存じておりますアベニア様。心配は無用です。殿下の発案した水路のおかげで物資の運搬が大変便利になりした。その聡明さに陛下も大変お喜びでしたよ」
「はじめましてモデーロさま。ルミエはクセが強いけど、ほんとはとても立派な王子なの。どうか見捨てないであげて。」
「そうですね。たいへん道義心に厚い素晴らしい方でいらっしゃいます。かと言って融通が利かぬほど頭が固いわけでなく…良い主君に恵まれたと我が身の幸運を神に感謝しておりますよ。ああ、グレン様。私に様は不要です。どうぞモデーロと、そうお呼び捨てください」
差し出された手にそっと手の平を乗せると思いのほか強く、きゅっと握られた。
兄さまと3歳しか違わないのにすごく大人びて見える。
僕はその怜悧な顔を、目を話すことも出来ないままにずっとずっと見つめ続けていた。
ルミエールは僕らの従兄弟。この国リーガル王国の陛下の叔父が父様で王妃様の弟が母様だ。
僕には2歳上にアベニア兄さまが、5つ下に弟のミルドレッドがいる。そしてつい先日生まれたのが一番下のウィニーだ。
「父様とそっくりな真っ赤な瞳だ。僕も父様似って言われてるけど、父様の赤は受け継げなかったのに…いいな、ウィニー父様と一緒。」
「アベニア、お前は母様と父様の色を合わせたラベンダーを持っている。私にとって何よりの宝だ。何を羨む必要があるというのか。」
「そうだよ、アビー。僕とグラナダ様はね…アベニアをこの手に抱くためにいろんなことを頑張ったの。アベニアはこの国の真の救世主なの。アベニアがこの国を救ったと言ってもいい!」
「え…えへ。そうですか?父様、母様…僕、ウィニーの良き兄さまになりますね!」
「それにしても…ウィニー坊ちゃまは本当にご当主様にそっくりですね。ほら見てください。幼少はハッキリしないはずの属性ですが、坊ちゃまは生まれつき炎を持ってお生まれですよ」
「炎?確かに炎のような赤い瞳だが…」
「いえ、その奥をよくご覧になって下さい。小さな炎に気づきませんか?」
「え、本当ですか?ええー、嬉しい!僕の大好きなバーガンディレッドの炎だ。炎が灯ってますよグラナダ様。すごい…やっぱり生誕珠賜に念を飛ばしたのが良かったのかも。」
「邪念…」「何言ってんのジョッシュさん!思念だよ!思念!」
「執念…」「ちょっとマカフィーさん!あ、いいのか。」
「うむ、しかと見た。瞳の奥の小さな炎…アデルよ。お前は何を飛ばしたのだ。念だけではないのだろう。何をしたのだ、言って見よ」
「えへへ、実はグラナダ様の真っ赤な瞳のお子が良いって、生誕珠を賜ってから受精までの1週間、毎日祭壇に供えて祈祷したんですけど…願いが通じて良かった。」
「祭壇…?ここにそのようなもの…」
「僕のグラナダ様ミュージアムにはグラナダ様を祀った祭壇がちゃんとあるんですよ。知りませんでした?」
「アレの事だな…まったくお前と言う奴は…」
「ええー、だって想いの強さで勝負して僕のグラナダ様への愛が負けるなんて…勝負相手がグラナダ様でもこればっかりはゆずれませんよ?」
こんな愛情あふれる両親だから、当然血を引く兄さまも僕も〝運命の相手”に憧れがある。
兄さまは僕からラフを独り占めしていつかお嫁にもらうみたいだ。この間やらかしたちょっとした騒ぎのせいで、お兄様が本気なのはすでに邸中が知っている。
父様も母様も高貴な家にはめずらしく、好きな人と結ばれるべきって思っているからラフの気持ちがおんなじなら、それで良いってお考えだ。
生まれる前からの運命だって兄様は固く信じてる。母様のお腹にいるときからずっとラフからの愛情を感じてたって。母様とはまた違う柔らかく甘いその声にいつも癒されていたんだって。その話を聞いたマカフィーは、「生誕珠の中に居てさらに癒しが必要なのか?」って怪訝そうな顔してた。僕もそう思う。
それにしても…それならぼくの運命は?運命の人はどこだろう?
そんな思いを持て余してる頃、その人は目の前に現れたのだ。
「アベニア様、グレン様、ルミエール殿下の側近として共に修行に参りました。今日より一年お世話になります。」
父様と母様に挨拶を済ませたルミエの側付き、タウンゼン伯爵家のモデーロさまが兄さまの部屋へとやってきて丁寧に、そして品よくボウアンドスクレイプを決めて見せた。
ふぅん…きれいな横顔。
こんな感想を持ったのはいつぶりだろう…。何しろ僕は美形の顔は見慣れているのだ。
王族はそもそも美男美女が多い。歴史的にもそういった美しい男女が多く選ばれ集められた。もはやすでに遺伝子レベルで美形しか生まれないのだ。
そして母様や王妃様。
カマーフィールドのおばあ様はいまでもたいそうお美しいし、おじい様も今だってとても整ったお姿だ。そんな二人から生まれたカマーフィールド家の3兄弟はトールキン伯父様も含めみんな揃って見目が良いって評判だ。
そんなわけで…美形×美形の混成で僕の周りは美男美女だらけ。
それに加えて、せっかくの容姿の無駄使いと言うか…ルミエールがなんだかあんな風なので、僕は美形には免疫がついている。
そこに現れた兄さまたちより3つ年上のモデーロ君。今まで僕の周りに居たどの子とも違って見える。
この雄々しく賑やかなバーガンディではあまり見ない貴族然としたその立ち振る舞い。だけど全然嫌みじゃなく、薄く笑みを張り付かせ感情を抑えたその顔は、ルミエールの従者としてはとても様になって見えた。
「よろしくね、モデーロ。ルミエはいつもあんなんで君も大変だとは思うけど、ああ見えてもとても頭の良い従兄弟だからお願いね。」
「ふふ、存じておりますアベニア様。心配は無用です。殿下の発案した水路のおかげで物資の運搬が大変便利になりした。その聡明さに陛下も大変お喜びでしたよ」
「はじめましてモデーロさま。ルミエはクセが強いけど、ほんとはとても立派な王子なの。どうか見捨てないであげて。」
「そうですね。たいへん道義心に厚い素晴らしい方でいらっしゃいます。かと言って融通が利かぬほど頭が固いわけでなく…良い主君に恵まれたと我が身の幸運を神に感謝しておりますよ。ああ、グレン様。私に様は不要です。どうぞモデーロと、そうお呼び捨てください」
差し出された手にそっと手の平を乗せると思いのほか強く、きゅっと握られた。
兄さまと3歳しか違わないのにすごく大人びて見える。
僕はその怜悧な顔を、目を話すことも出来ないままにずっとずっと見つめ続けていた。
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