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二人は予定通り収穫する
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朗読の始まった隣室に姿を見せなかったイヴァーノ。一話目が終わりサロンへ戻れば、いつの間にか彼は旧知と思しき貴公子と何やら話し込んでいた。
背中を向けたイヴの表情は分からない。だが貴公子の表情はひどく憎々し気だ。
もしや、庶民街でイヴに刃のような言葉を投げつけたあの青年のように、この貴公子もまたイヴを傷つけているのだろうか?
だが今まさに割って入ろうとしたその時、彼は二番手の語り部として隣室へと姿を消した。
「イヴ」
「あ、フラヴィオ!お話どうでした?」
「それより今の御仁は誰なのだい?彼は随分怖い顔をしていたようだが…」
「フラヴィオ…心配してくれたんですか?嬉しいな。でも大丈夫。単なる学生時代の先生ですから」
「では学院の…」
「ええ。それでまあ色々と苦言を…ね。まあ三倍にして苦言返ししておきましたけど」
「そういうことか…」
教鞭に立つ者の苦言であれば理不尽な罵倒では無いのかもしれない。
それにしても「苦言返し」などと…イヴにも困ったものだ。恐らくはまた手痛く遣り込めたのであろうが。
「どうしましたフラヴィオ」
「…気丈さは君の魅力だが…私はこれ以上君が誤解されるのを見たくはない」
「……」
「イヴ」
「ふー、わかりました。じゃあフラヴィオのために一ミリくらい心掛けますね」
ミリというのがどの程度かは分からぬが、寛大にして愛に溢れたイヴのことだ。きっと私の言葉は届いたと信じよう。
「ところでイヴ、子爵とそのご友人たちがこの衣装を仕立てたいと望んでおられるのだが…何と答えれば良いだろうか」
「待ってました!えっと、ギルドにデザインの型帳が置いてあります。使用料払えば好きに作っていただいて構いませんって、そうお伝えください。あ、勝手に模倣すると捕まって罰せられますからね、そこを強調してお伝えください!」
ギルド…、そういうことか。
私はフェリーニ子爵から衣装について尋ねられた時、気の良いイヴのことだ。病院から頼まれた内職のように、その仕事を引き受けまた自ら針仕事をするのではないかと危惧していた。
だがイヴはその意匠だけを売るというのだ。
それも型紙を売って終わりではない。その意匠を使うたびに使用料が入る仕組み…私では考えもつかなかった発想、なんと聡明なことか。
「イヴ…君はなんと素晴らしいのだ。私の妻は美しく優しく、そして賢い。ああ…私は己の幸運を神に感謝せずにはおられないよ」
---------------------
「大げさですねフラヴィオ」
「だがそうだろう?イヴ、これは衣装の話ではないのだよ。この考えを基にすれば何の資源も持たぬ貧しいアスタ、…貧しい国でさえ他国に肩を並べられる。これは可能性だ」
国ぃ!? フラヴィオはグローバル志向だと気付いていたが、またえらい大きく出たな。けど国…国か。
つまり世界初、的な何かを発明してその知識なり技術なりを他国に高く売りつける、ってこと?…ウォシュレットとか?ホカロンとか?
違う分かった!マンガとアニメとコスプレだ!日本が世界に誇る知的財産…これか!これだな?これに違いない!そうときたらこれだ!
「いいですかフラヴィオ、模倣は絶対許しちゃいけません!あと色々流出しないよう保護しないといけません。これ大事だから!」
「あ、ああ!その通りだ!知識の流出、技術の模倣…うむ、そこを守らねば…大切な事だ。覚えておこうイヴ」
著作権は大事だからね!
その時聞こえてきたのはヴィットーレの朗読をパスしたご婦人たちのヒソヒソ声。ヴィットーレの朗読はどうやら女性好みの話じゃなかったらしい。
「ご覧になってあのお二人を。イヴァーノ様ときたらすっかり別人のようになられて…本当に睦まじそうね。意外でしたわ」
「ええ全く。だって王家に次ぐ公爵家のパンクラツィオ様から名もなき男爵家の青年でごさいましょ?あの傲慢で派手好きなイヴァーノ様でしたら怒り狂うかと思いましたのに」
「しっ!聞こえましてよ!」
もう遅いっつーの。
なるほど。話のネタは僕たちか。気遣わし気に僕を見るフラヴィオ。どうしたものか…
だってイヴァーノという存在がこの世界にいて、その彼が悪役だったのは事実な訳で…
僕にとってもは風評被害というか流れ弾…みたいなものだが、それでもイヴァーノの全てを否定はしたくない。だって…
僕は原作改変否定派だ。改悪ヨクナイ!
イヴァーノの性格が良いか悪いかは置いといて、それでも彼が居たからこそ『ドキナイ』はエンタメとして成立したんだから。僕は〝悪役令息イヴァーノ”に敬意を払う!
「イヴ、ここで待っておいで」
「え?フラヴィオ、ちょ!ちょっと!」
僕を置いて婦人の輪に歩み寄るフラヴィオ。その背中は隣として、とても田舎の男爵子息とは思えない気品を感じさせる。これは僕の衣装の問題じゃない。
「ご婦人方、あなた方はイヴを誤解しておられる」
「あ、あらビアジョッティ伯爵、聞こえまして?でも本当の事ですわ」
「田舎にいらしたあなたにはお分かりなくても仕方ありませんわね」
「イヴァーノ様に碌な噂は聞きませんのよ?あなた様こそ大丈夫でいらっしゃいますの?」
ご婦人がたはフラヴィオの出自を田舎の貧乏な男爵子息、つまり…ほぼ平民と変らない、そう判断して侮っているのだろう。けどフラヴィオはそんなこと気にも留めずご婦人方に訴えかけた。
「確かにイヴは言葉が強い。率直すぎて不快に思う者がいるのも確かだろう。だが公爵令息との婚約は家同士の決め事であったのだし、事実彼らは婚約していたのだ。イヴが己の立場を主張するのは正当なことだ」
「ま!」
「お庇いになるんですの?」
「いいえ、一理ありますわ」
「イヴは彼の持参金、そのほとんどを自分のためでなく私の暮らしを整えるために使い果たしたのだ。その彼が私憤だけで怒り狂ったりはすまい」
「それ本当ですの!」
「本当の事だ。今も貧しい暮らしの中で彼は文句ひとつ言わず楽しく暮らしている。その彼がどうして傲慢なものか!」
「まぁぁぁ!」
「信じられない!」
…フラヴィオ、僕の持参金を使い果たしたのは僕じゃなくフラヴィオだよ?…という言葉は飲み込んでおこう。今はその気持ちが嬉しいから。
だけど…これ以降「メンクイなイヴァーノ様は抜きんでた美形の夫に骨抜きになり丸くなられた」…と言う新たな噂が駆け巡るのだが…まあ…うん。
「お熱い所申し訳ないがビアジョッティ伯爵、イヴァーノ君を少し借りても良いだろうか」
「学院の教師だったね。イヴは卒業生だが私の妻だ。二人きりで何の話だろうか?」
そこにやってきたのは朗読を終えたヴィットーレ。助教授戦の話をどうしても確認したいのだろう。
「伯爵、警戒しないでもらいたい。卒業前の提出物のことで少し聞きたいことがあるだけだ」
「ここでは出来ない話だろうか」
あれ?もしかしてフラヴィオのこれは…ヤキモチ?ヴィットーレにジェラっている?
確かに…フラヴィオよりも年上のヴィットーレからはそこはかとなく大人の色気が感じられる。でも…
何度も言うが僕には刺さってない。
「フラヴィオ大丈夫。大した話じゃないからちょっとだけ行ってきます。すぐ戻りますね」
その時僕は気付かなかった。
あの人物が…この朗読会に招待客の同伴者として途中から紛れ込んでいたことに。
そしてその人物が、僕とヴィットーレ、そして僕とフラヴィオ、その遣り取りの一部始終を見て悔しそうに唇をかんでいたことに…
背中を向けたイヴの表情は分からない。だが貴公子の表情はひどく憎々し気だ。
もしや、庶民街でイヴに刃のような言葉を投げつけたあの青年のように、この貴公子もまたイヴを傷つけているのだろうか?
だが今まさに割って入ろうとしたその時、彼は二番手の語り部として隣室へと姿を消した。
「イヴ」
「あ、フラヴィオ!お話どうでした?」
「それより今の御仁は誰なのだい?彼は随分怖い顔をしていたようだが…」
「フラヴィオ…心配してくれたんですか?嬉しいな。でも大丈夫。単なる学生時代の先生ですから」
「では学院の…」
「ええ。それでまあ色々と苦言を…ね。まあ三倍にして苦言返ししておきましたけど」
「そういうことか…」
教鞭に立つ者の苦言であれば理不尽な罵倒では無いのかもしれない。
それにしても「苦言返し」などと…イヴにも困ったものだ。恐らくはまた手痛く遣り込めたのであろうが。
「どうしましたフラヴィオ」
「…気丈さは君の魅力だが…私はこれ以上君が誤解されるのを見たくはない」
「……」
「イヴ」
「ふー、わかりました。じゃあフラヴィオのために一ミリくらい心掛けますね」
ミリというのがどの程度かは分からぬが、寛大にして愛に溢れたイヴのことだ。きっと私の言葉は届いたと信じよう。
「ところでイヴ、子爵とそのご友人たちがこの衣装を仕立てたいと望んでおられるのだが…何と答えれば良いだろうか」
「待ってました!えっと、ギルドにデザインの型帳が置いてあります。使用料払えば好きに作っていただいて構いませんって、そうお伝えください。あ、勝手に模倣すると捕まって罰せられますからね、そこを強調してお伝えください!」
ギルド…、そういうことか。
私はフェリーニ子爵から衣装について尋ねられた時、気の良いイヴのことだ。病院から頼まれた内職のように、その仕事を引き受けまた自ら針仕事をするのではないかと危惧していた。
だがイヴはその意匠だけを売るというのだ。
それも型紙を売って終わりではない。その意匠を使うたびに使用料が入る仕組み…私では考えもつかなかった発想、なんと聡明なことか。
「イヴ…君はなんと素晴らしいのだ。私の妻は美しく優しく、そして賢い。ああ…私は己の幸運を神に感謝せずにはおられないよ」
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「大げさですねフラヴィオ」
「だがそうだろう?イヴ、これは衣装の話ではないのだよ。この考えを基にすれば何の資源も持たぬ貧しいアスタ、…貧しい国でさえ他国に肩を並べられる。これは可能性だ」
国ぃ!? フラヴィオはグローバル志向だと気付いていたが、またえらい大きく出たな。けど国…国か。
つまり世界初、的な何かを発明してその知識なり技術なりを他国に高く売りつける、ってこと?…ウォシュレットとか?ホカロンとか?
違う分かった!マンガとアニメとコスプレだ!日本が世界に誇る知的財産…これか!これだな?これに違いない!そうときたらこれだ!
「いいですかフラヴィオ、模倣は絶対許しちゃいけません!あと色々流出しないよう保護しないといけません。これ大事だから!」
「あ、ああ!その通りだ!知識の流出、技術の模倣…うむ、そこを守らねば…大切な事だ。覚えておこうイヴ」
著作権は大事だからね!
その時聞こえてきたのはヴィットーレの朗読をパスしたご婦人たちのヒソヒソ声。ヴィットーレの朗読はどうやら女性好みの話じゃなかったらしい。
「ご覧になってあのお二人を。イヴァーノ様ときたらすっかり別人のようになられて…本当に睦まじそうね。意外でしたわ」
「ええ全く。だって王家に次ぐ公爵家のパンクラツィオ様から名もなき男爵家の青年でごさいましょ?あの傲慢で派手好きなイヴァーノ様でしたら怒り狂うかと思いましたのに」
「しっ!聞こえましてよ!」
もう遅いっつーの。
なるほど。話のネタは僕たちか。気遣わし気に僕を見るフラヴィオ。どうしたものか…
だってイヴァーノという存在がこの世界にいて、その彼が悪役だったのは事実な訳で…
僕にとってもは風評被害というか流れ弾…みたいなものだが、それでもイヴァーノの全てを否定はしたくない。だって…
僕は原作改変否定派だ。改悪ヨクナイ!
イヴァーノの性格が良いか悪いかは置いといて、それでも彼が居たからこそ『ドキナイ』はエンタメとして成立したんだから。僕は〝悪役令息イヴァーノ”に敬意を払う!
「イヴ、ここで待っておいで」
「え?フラヴィオ、ちょ!ちょっと!」
僕を置いて婦人の輪に歩み寄るフラヴィオ。その背中は隣として、とても田舎の男爵子息とは思えない気品を感じさせる。これは僕の衣装の問題じゃない。
「ご婦人方、あなた方はイヴを誤解しておられる」
「あ、あらビアジョッティ伯爵、聞こえまして?でも本当の事ですわ」
「田舎にいらしたあなたにはお分かりなくても仕方ありませんわね」
「イヴァーノ様に碌な噂は聞きませんのよ?あなた様こそ大丈夫でいらっしゃいますの?」
ご婦人がたはフラヴィオの出自を田舎の貧乏な男爵子息、つまり…ほぼ平民と変らない、そう判断して侮っているのだろう。けどフラヴィオはそんなこと気にも留めずご婦人方に訴えかけた。
「確かにイヴは言葉が強い。率直すぎて不快に思う者がいるのも確かだろう。だが公爵令息との婚約は家同士の決め事であったのだし、事実彼らは婚約していたのだ。イヴが己の立場を主張するのは正当なことだ」
「ま!」
「お庇いになるんですの?」
「いいえ、一理ありますわ」
「イヴは彼の持参金、そのほとんどを自分のためでなく私の暮らしを整えるために使い果たしたのだ。その彼が私憤だけで怒り狂ったりはすまい」
「それ本当ですの!」
「本当の事だ。今も貧しい暮らしの中で彼は文句ひとつ言わず楽しく暮らしている。その彼がどうして傲慢なものか!」
「まぁぁぁ!」
「信じられない!」
…フラヴィオ、僕の持参金を使い果たしたのは僕じゃなくフラヴィオだよ?…という言葉は飲み込んでおこう。今はその気持ちが嬉しいから。
だけど…これ以降「メンクイなイヴァーノ様は抜きんでた美形の夫に骨抜きになり丸くなられた」…と言う新たな噂が駆け巡るのだが…まあ…うん。
「お熱い所申し訳ないがビアジョッティ伯爵、イヴァーノ君を少し借りても良いだろうか」
「学院の教師だったね。イヴは卒業生だが私の妻だ。二人きりで何の話だろうか?」
そこにやってきたのは朗読を終えたヴィットーレ。助教授戦の話をどうしても確認したいのだろう。
「伯爵、警戒しないでもらいたい。卒業前の提出物のことで少し聞きたいことがあるだけだ」
「ここでは出来ない話だろうか」
あれ?もしかしてフラヴィオのこれは…ヤキモチ?ヴィットーレにジェラっている?
確かに…フラヴィオよりも年上のヴィットーレからはそこはかとなく大人の色気が感じられる。でも…
何度も言うが僕には刺さってない。
「フラヴィオ大丈夫。大した話じゃないからちょっとだけ行ってきます。すぐ戻りますね」
その時僕は気付かなかった。
あの人物が…この朗読会に招待客の同伴者として途中から紛れ込んでいたことに。
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