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ロイヤルウエディングロード
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総督の派遣ですらあれほど揉めたサルディーニャの議会だ。宰相の成り手などいるはずもない。
いや…そのような志を持つ者も何処かにはいるのだろうが、少なくとも今ここにいる、混沌を知らぬ大臣の中には居ないということだ。
だが王はアスタリアの統治管理を任せるに足る人材、その選出に時間を割くのは無駄と判断したようだ。
恐らくアレクサ様がこの地に滞在する今のうちに全てをまとめてしまいたいのだろう。
アスタリアのために一刻も早く、その建前も真実ではあるだろうが…
このサルディーニャを含む多くの国々で女性の能力は軽視される傾向にある。
サルディーニャの宰相及び大臣たちは、カステーラの王や力ある貴族が出てくる前に、この女である末妹とサルディーニャ国にとって有利な条約をまとめてしまいたいのだろう。
それだけカステーラの王妹を侮っているということだが、アレクサ様であればカステーラ、そしてアスタリアにとって不利ばかりの条約にはなさるまい。
むしろそれと気づかせぬほど自然に、最も最良な選択へ導かれるだろう。
とにもかくにもそのような経緯から、王と王妃はもっとも信頼おける人物をもっとも友好的な手段でアスタリアの地に送ることを決定された。それが…カタリーナ姫殿下である。
彼女とルイージの婚姻は王と王妃、そして本人の同意をもって決定された。
正しくは、ルイージの身元は未だ明かしていないため、ここには居ないアスタリアの王族公爵である、モンテシノーシス公爵子息との婚姻が決まったというべきか…
驚くべき展開だが、それにしてもなんという鮮やかな手際。あれだけまとまりのなかった議会が嘘のように進むではないか。
アレクサ様…やはり才女であられる。
その傍らにお立ちになるカタリーナ様。
「アスタリアとこのサルディーニャの懸け橋となるべく精一杯尽力いたしましょう」
彼女はそう言って微笑まれた。
何も知らぬ姫殿下の胸には微笑みの下で今どれ程の不安が押し寄せているだろう。
教えて差上げたい。あなたが嫁がれる相手は慣れ親しんだあのルイージである、…と。
退室間際、末席の私に近寄るとカタリーナ様は小さく囁かれた。
「色々と心配をおかけしましたわね。ですがこれはわたくしにとって思いがけない幸運ですの。イヴァーノにも心配するなと、そう伝えてちょうだい」
「であれば行幸…姫殿下の未来に幸あらんことを」
だがこうして無事アスタリアの行く末が決まり、私の永きにわたる憂いにも漸く決着のつく時がきた…
残る気がかりは…
「カッシオ…」
いや…そのような志を持つ者も何処かにはいるのだろうが、少なくとも今ここにいる、混沌を知らぬ大臣の中には居ないということだ。
だが王はアスタリアの統治管理を任せるに足る人材、その選出に時間を割くのは無駄と判断したようだ。
恐らくアレクサ様がこの地に滞在する今のうちに全てをまとめてしまいたいのだろう。
アスタリアのために一刻も早く、その建前も真実ではあるだろうが…
このサルディーニャを含む多くの国々で女性の能力は軽視される傾向にある。
サルディーニャの宰相及び大臣たちは、カステーラの王や力ある貴族が出てくる前に、この女である末妹とサルディーニャ国にとって有利な条約をまとめてしまいたいのだろう。
それだけカステーラの王妹を侮っているということだが、アレクサ様であればカステーラ、そしてアスタリアにとって不利ばかりの条約にはなさるまい。
むしろそれと気づかせぬほど自然に、最も最良な選択へ導かれるだろう。
とにもかくにもそのような経緯から、王と王妃はもっとも信頼おける人物をもっとも友好的な手段でアスタリアの地に送ることを決定された。それが…カタリーナ姫殿下である。
彼女とルイージの婚姻は王と王妃、そして本人の同意をもって決定された。
正しくは、ルイージの身元は未だ明かしていないため、ここには居ないアスタリアの王族公爵である、モンテシノーシス公爵子息との婚姻が決まったというべきか…
驚くべき展開だが、それにしてもなんという鮮やかな手際。あれだけまとまりのなかった議会が嘘のように進むではないか。
アレクサ様…やはり才女であられる。
その傍らにお立ちになるカタリーナ様。
「アスタリアとこのサルディーニャの懸け橋となるべく精一杯尽力いたしましょう」
彼女はそう言って微笑まれた。
何も知らぬ姫殿下の胸には微笑みの下で今どれ程の不安が押し寄せているだろう。
教えて差上げたい。あなたが嫁がれる相手は慣れ親しんだあのルイージである、…と。
退室間際、末席の私に近寄るとカタリーナ様は小さく囁かれた。
「色々と心配をおかけしましたわね。ですがこれはわたくしにとって思いがけない幸運ですの。イヴァーノにも心配するなと、そう伝えてちょうだい」
「であれば行幸…姫殿下の未来に幸あらんことを」
だがこうして無事アスタリアの行く末が決まり、私の永きにわたる憂いにも漸く決着のつく時がきた…
残る気がかりは…
「カッシオ…」
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