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アンナ③
「大丈夫です、お嬢様」
「…フェル」
「こちらまで来れば対処します」
その前にすっととなりにきて、跪いて視線を合わせてくるフェルにうなずく。
誰か来るのは確定なんだね、わかったよ。
誰が来たのかも、わかったよ。たぶんね。
思わずため息が出た。
ーー騒めきが大きくなって、護衛さんたちの囲いのなかからそれを振り切るみたいに金髪の男が飛び出す。
「…どいてくれ…ッ!ーーアン…ッ!」
ハイ出たークズ王子ー。
嫌な予感て当たるんだよな、まじで。
ほんとどのツラ下げてって、神経疑うよ。
またため息。
だってむかつくけど腐ってても王族。座ってらんないじゃん。身体だるいのに。
支えてもらって立ち上がる。ありがとうイケメン。
「申し訳ありませんお嬢様、…近寄らせないので少しのあいだご辛抱を」
「フェル、でも…」
向かってきてるよ?クズ王子。躊躇なく。
とか思ってたらそのままあたしの前に立って、今度はクズ王子に声をかける。
「王太子殿下、それ以上はどうかお控えください。両陛下と我が当主との取り決めをお忘れですか。
当家への訪問もお嬢様への接近も禁止されており、無体をなされば排除止むなしとの指示があることもご存知のはずです。
ーー何卒賢明なご判断をお願い申し上げます」
イケメンフェル。かっけぇぇ…。最後のは嫌味?さいっこう。
「……わかっている。すまない。罰は受ける。……だが少しでいい、話をさせてくれないか」
「その命令はお受けできません」
「命令ではない!っ……すまない、……頼む話を、……アン、」
「…」
「お嬢様は快癒しておりません。そのような状態のお方に無理強いなさるのでしょうか。……王太子殿下に再度申し上げます」
うしろにいるから、視界に入る。
「恐れながら強要も無体となり得るのではないかと愚考いたしますが、……お聞き届け、いただけないでしょうか」
「っ」
「……フェル、」
ありがとう。
察せる男らしかったフェルが素直にとなりに戻ってきて、危ない両手をうしろで組んだ。
あたしが思うに。
当然ケンカも恋愛も一対一でやるものだと思うのよ。
だってそうじゃなかったらさ、ケンカならリンチになるし、恋愛なら浮気か不倫になるでしょ。
それを何、三人でーとか?キモすぎだって。
それもうただの癖だから。押しつけるもんじゃないのよ。
どんだけ最低なことしてるかわかってる?
そんなん勝手におっ始められてよろこぶのは同類だけなんだよ。
「…………顔を、上げてくれないか…………」
そんな基本的なことすら理解できない数多いるクズの一員王子サマ初めまして。
「王太子殿下にご挨拶申し上げます」
お前の婚約者だったアンの身体を乗っ取ってる、異世界の一般人です。
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※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。