そして目が覚めたら

雪乃

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アンナ⑨




異世界貴族の上下関係って明確な力関係すぎて。



友人マーガレットを利用してわたくしを誘き寄せるおつもりだったのでしょうか。
……まったく反省されていないのですね。呆れを通り越して憐れみさえ感じますわ」



でも賢いやりかたならまだしもそれを前面に押し出してくる奴ってロクでもないと思うし。



しかもアンは被害者でコイツは加害者なので。


加害者このブスの人権はこの際ないものとする。



「ッひどい…ッ!ただアンルーさまとお話ししたかったの…でもできなくて…!それだけなのにそんな…ッ」



すごいな。違う、とかひどい、とかくり返して途端に弱い人間のフリしてる。掴みかかろうとしてたよね?演技ヘタすぎ。



「メグ、こちらへ。…ごめんなさい、わたくしのせいで怖い思いをさせて」



マーガレットは涙目で震えながらふるふる首を振ってる。ガチの上目遣い破壊力たっっか。
小動物と化したマーガレットはアリッサに預けてブスに向き直ると、あたしは腕を組んで煽るみたいに首をかしげた。



「伺いますわ」



ニッコリ微笑んで。



「ですがわたくしはキャメリア様と違って暇ではありませんので簡潔に用件だけ手短に、お願いいたしますね。午後の授業もありますしローズウッド先生は時間にとても厳しい方ですもの。
キャメリア様もご存知でしょう?何度か呼び出されていましたものね。
……まぁ僭越ながらお諌めしたことも振る舞い含めすべて無駄だったと言わざるを得ませんけれど。
さすがですわと、内心感心しておりますのよ」

「…はぁッ!?」



フリは止めたらしいブスはまっかな顔で目を吊り上げる。こういう奴って自分がバカにされることには敏感ですーぐ気づくんだよね。



「ーーあら、だって、」



一歩近づく。アンと比べたら身長は変わんないけどあたしは女子では高いほうなんで。

どんどん近づく。精神的に見下ろしてる感。



「このような姑息な手段を選んでまでわたくしと話したかったのですよね?陛下の命令を無視して。
このような卑怯な手段を選ぶことを決めたのですよね?ーー陛下の命令を、無視して。」

「ッ!」

「並々ならぬ覚悟ですわ。どのような処罰が下るかもわかりませんのに」

「それは…ッ…あの、だから…アンルーさまから、ひとこと、」

「お断りですわ」



当然だろとつけ加えてやれば、顔は醜く歪んだ。



「あなたのためになど」



















「…………ねえ、」



こんな風に言われて、こんな言いかたされて衝撃食らってる?アンならしないことだもんね。


アンは言わなかっただろ、お前に。

自分は傷ついてもお前を傷つけるようなこと言わなかった。



でも止めてほしいって言ってただろ。


遠回しでも止めてよってちゃんと言ってただろ。



お前と、クズ王子に。



「因果応報って知ってる?どんなことも自分に返ってくんの、必ずね。それ背負うの自分だけだから。
まわってきたツケは払って償えよ。お前の足りない頭で一生考えて一生謝って過ごしな」



ーーここまで近づけば、さすがに。


キスの距離だもん、他にはきこえない。



「ねえあほヅラしてきーてんのかよ、尻軽」



お前たちのせいで、ひとりの優しい女の子が死んだんだ。












「アン……ッ」








「アンルー様…っ!」



ぱぁん、と耳もとにいい音が響いた。
マーガレットとアリッサの悲鳴と、駆けてくる足音。



見えてたんだよね、こっちに向かってんのが。


でもクズ王子、お前はただ遅れてきた男でヒーローにはなれないよ。


ヒロインアンはもういないから。



「…あ、あ…ちがう…ちがうの…」

「違わねぇよブス」



古今東西騙す奴が悪いし先に手出す奴が悪いって決まってる。



「ざまあ」



ニヤリと笑ったあたしはさしずめ、悪役令嬢?
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