25 / 30
EX.love letter
キャメリアへ
きみがこの手紙を読んでくれるのはいつになるだろう。
どうか傷つかないでほしいと願うが、私は最初から最後まで、きみを傷つけるしかできなかった。
かろうじて繋がれていた婚約という糸が切れてしまった今ではもうそれを償うこともできない。
過去を思えば恥じ入るしかない。
私は幼稚で、どこか自惚れ、そして傲慢だった。
後悔ばかりの私は、だが、きみが目の前から消えてしまったとき以上の後悔など、感じることはないだろうと思っていた。
楽観的に考えていたのではなく、今思えばただの願望だったのだろうと思う。
きみが隣国で犯してしまった過ちについて述べるつもりはない。きみを責める資格など私にはない。
ただ私は、きみに会いたかった。きみへの想いは変わらなかった。
きみに一目会いたくて、周囲の反対を押し切り隣国にいるきみに会いに行った。
接触は許されなかった。それでも会いたいという感情を抑えることができなかった。
そこで、私はきみを見た。
きみの笑顔を見た。
きみが、騎士に向ける笑顔を見た。
キャメリア。
私は、きみに見惚れていたよ。
きみに見惚れながら、もう何度もくり返した後悔に塗れながら、きみを見つめていた。
もしも私が手段を違えなかったら、もしも私が正しいやりかたを選べていたら、
もしかしたらその笑顔を私に向けていてくれたかもしれない。
そんな未来があったのかもしれない。
私が感じていたのは嫉妬などではなく、言い表せない後悔と羨望だった。
きみを諦めてしまうことは、私にとって地獄のような決断だった。
足掻いてもどうにもならないと理解したとき、受け入れるしかないと悟ってしまったとき、地獄のような苦しみだった。
しかしそれが間違え続けた私に残された道だ。
きみともう二度と交わることのない道があるのは、私が誤った選択をした結果だ。
ほんとうにすまなかった。
キャメリア、どうか最後に伝えさせてほしい。
キャメリア。
愛している。
愛している。
愛している。
二度と言葉にはできず、口に出すこともない。
きみのしあわせを祈っている。
それが許されないことだとしても、そうであっても、
キャメリア、私は、きみのしあわせを祈り続ける。
クリステン・フォン・アドベール。
あなたにおすすめの小説
真実の愛の裏側
藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。
男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――?
※ 他サイトにも投稿しています。
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした
ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
身代わりーダイヤモンドのように
Rj
恋愛
恋人のライアンには想い人がいる。その想い人に似ているから私を恋人にした。身代わりは本物にはなれない。
恋人のミッシェルが身代わりではいられないと自分のもとを去っていった。彼女の心に好きという言葉がとどかない。
お互い好きあっていたが破れた恋の話。
一話完結でしたが二話を加え全三話になりました。(6/24変更)
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月@騎士の夫〜発売中です
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。
そしてヒロインは売れ残った
しがついつか
恋愛
マーズ王国の住民は、貴賤に関係なく15歳になる歳から3年間、王立学園に通うこととなっている。
校舎は別れているものの、貴族と平民の若者が一か所に集う場所だ。
そのため時々、貴族に対してとんでもないことをやらかす平民が出てきてしまうのであった。
リーリエが入学した年がまさにそれだった。
入学早々、平民の女子生徒が男子生徒に次々とアプローチをかけていったのだ。
【完結済】25年目の厄災
紫
恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。
だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは……
25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。