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しおりを挟むそれから幼なじみは何も言わず、「明日な」と
帰って行った。
わたしは甘えている。ひどく子どもじみた態度や言葉遣いになってしまう。
婚約者の前では甘えるなんてできなくなったわたしは
幼なじみにそれを求めている。
それがどんなに彼を傷つけていたのか、いつだって自分のことしか考えていないわたしはいつまでも被害者のように振る舞っていた。
学園でもわたしの存在は婚約者には見えていない。
友人も最初は憤ってくれていたけれど、わたしと同じでいつからか諦めたように何も言わなくなった。
ただ呆れたような視線は変わらず、それに曖昧に応える。
騎士科の幼なじみがわざわざ今日は居残り訓練だと知らせにきた。だから送れない、と。
いつも時間が合うときは友人含め馬車止めまで送ってくれる。特に約束はしていないのだけれど律儀なのだ。
友人は先に帰り、わたしは教師と話をしていたため少し遅い時間に教室を出た。
「…っ、!」
夕日が差し込み、目を眇めた瞬間腕を引っ張られた。
どこかの教室で、口を塞がれたまま悲鳴を飲み込む。
「……今日は一人か」
わたしを見下ろすひとに。
凍えるような冷たい瞳に。
どこかぼんやりと、見つめていたのだろう。
婚約者はイライラしたように、翡翠を歪ませた。
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