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さぁてその後のおふたりさんは
しおりを挟む『親愛なるパリス。
お元気ですか。
雨の被害は大丈夫だったようで安心しています。
以前話していたように、いくら建物を頑丈にしても支える土が脆くては意味がない。
平民街などでは特に顕著にあらわれると思います。
穏やかな川の流ればかりを見ているから忘れがちになりますが、
嵐に見舞われれば川も生きているんだと実感させられます。
氾濫する勢いに、眩暈がするほどの速さに、自然の恐ろしさを見せつけられます。
上手く共存していかなければならない。
俺もその通りだと思っています。
事業についてはまだわからないことばかりですが、父や侯爵閣下に教わりながらなんとか学んでいます。
心配してくれてありがとう。
追伸。
閣下が顳顬を指で叩きだすと、俺はすぐ算術の計算をします。
きみが教えてくれた方法、大変役に立っています。』
『親愛なるパリス。
お元気ですか。
前回の手紙で領地に行くことを伝えましたが、三週間の視察を終え無事戻ってきました。
王都から然程離れていないのに、一度も案内をすることができませんでしたね。
いつか、叶えられるでしょうか。
新しい鉱山も漸く整備が整い、稼働し始めました。
同封した髪飾りは採掘した新種の鉱石で誂えたもので、名前はまだありません。
夜会や茶会に招待されることが多くなっていると、閣下が教えてくれました。
髪飾りを贈る許可も、もちろんいただいています。
どうか光に翳してみてください。
星屑をつめたような銀色は、きみの優しい菫色に似合うと思う。』
『親愛なるパリス。
お元気ですか?
髪飾りを気に入ってくれてありがとう。
夜会で踊るきみのうつくしさは誰より知っているつもりです。
きみが留学してから一年が過ぎました。
充実した毎日を送っていること、綴られる文字からも溢れてきます。
先日、父と王宮に行く用事があり偶然ラスト様にお会いしました。
ご卒業されて以来でしたが短い時間、お話させていただいたのです。
ラスト様ほどの地位のある高貴なお方が、婚姻せず伴侶を選ぶという決断は、多少の生き辛さを感じていた者たちにとって明るさを示されたのではと思います。
幸になれとも不幸になれとも思わない。
自分の愚かさと冷淡さに呆れるばかりです。
俺が知り得ないきみのことを、閣下が教えてくれます。
きみほど素敵な女性を俺は知らない。
ほうっておかれるわけがありません。
きみは誰よりも、しあわせになる権利がある。
それをわかっているのに、心が叫ぶのを止められない。』
『親愛なるパリス。
今でもずっときみを愛している。』
『親愛なるパリス。
お元気ですか。
前回の手紙はきっときみを混乱させてしまったことと思います。
時間が空いてしまいましたが少し忙しくしていたのには理由があり、ひとつ、大きな仕事を任されていました。
以前きみに贈った新鉱石の加工・販売ルートの確立です。
父や兄、閣下にも助けてもらいながらですが大まかな交渉は任され、やっと契約が成立しました。
"及第点"
閣下からいただいたお言葉です。
パリス、俺はきみに婚約を申し込みたい。
驚かせてすまない。もちろん大事なのはきみの気持ちで、決めるのはきみ。
俺は申し込む許可をもらっただけ。
打診が多くあるのも知っているし、自分は選ばれないだろうということも知っていて、諦められないでいる。
堪えきれずあのような手紙を送ってしまったけれど、偽りない本心です。
パリス、愛しています。
もう一度、きみのそばにいさせてください。
正しい行いをするチャンスをください。
俺が歩く正しい道はきみです。
追伸。
もしかしたら手紙より先かもしれませんが、続きは直接言いに行きます。
逃げずに会ってくれるとうれしい。』
「…………ふむ。」
さぁて、どうしようかしら。
END.
※こんにちは作者です。
お読みいただきありがとうございました。
しおり、コメント、エール、お気に入りいつも感謝しております♡
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