23 / 23
さぁてその後のおふたりさんは
しおりを挟む『親愛なるパリス。
お元気ですか。
雨の被害は大丈夫だったようで安心しています。
以前話していたように、いくら建物を頑丈にしても支える土が脆くては意味がない。
平民街などでは特に顕著にあらわれると思います。
穏やかな川の流ればかりを見ているから忘れがちになりますが、
嵐に見舞われれば川も生きているんだと実感させられます。
氾濫する勢いに、眩暈がするほどの速さに、自然の恐ろしさを見せつけられます。
上手く共存していかなければならない。
俺もその通りだと思っています。
事業についてはまだわからないことばかりですが、父や侯爵閣下に教わりながらなんとか学んでいます。
心配してくれてありがとう。
追伸。
閣下が顳顬を指で叩きだすと、俺はすぐ算術の計算をします。
きみが教えてくれた方法、大変役に立っています。』
『親愛なるパリス。
お元気ですか。
前回の手紙で領地に行くことを伝えましたが、三週間の視察を終え無事戻ってきました。
王都から然程離れていないのに、一度も案内をすることができませんでしたね。
いつか、叶えられるでしょうか。
新しい鉱山も漸く整備が整い、稼働し始めました。
同封した髪飾りは採掘した新種の鉱石で誂えたもので、名前はまだありません。
夜会や茶会に招待されることが多くなっていると、閣下が教えてくれました。
髪飾りを贈る許可も、もちろんいただいています。
どうか光に翳してみてください。
星屑をつめたような銀色は、きみの優しい菫色に似合うと思う。』
『親愛なるパリス。
お元気ですか?
髪飾りを気に入ってくれてありがとう。
夜会で踊るきみのうつくしさは誰より知っているつもりです。
きみが留学してから一年が過ぎました。
充実した毎日を送っていること、綴られる文字からも溢れてきます。
先日、父と王宮に行く用事があり偶然ラスト様にお会いしました。
ご卒業されて以来でしたが短い時間、お話させていただいたのです。
ラスト様ほどの地位のある高貴なお方が、婚姻せず伴侶を選ぶという決断は、多少の生き辛さを感じていた者たちにとって明るさを示されたのではと思います。
幸になれとも不幸になれとも思わない。
自分の愚かさと冷淡さに呆れるばかりです。
俺が知り得ないきみのことを、閣下が教えてくれます。
きみほど素敵な女性を俺は知らない。
ほうっておかれるわけがありません。
きみは誰よりも、しあわせになる権利がある。
それをわかっているのに、心が叫ぶのを止められない。』
『親愛なるパリス。
今でもずっときみを愛している。』
『親愛なるパリス。
お元気ですか。
前回の手紙はきっときみを混乱させてしまったことと思います。
時間が空いてしまいましたが少し忙しくしていたのには理由があり、ひとつ、大きな仕事を任されていました。
以前きみに贈った新鉱石の加工・販売ルートの確立です。
父や兄、閣下にも助けてもらいながらですが大まかな交渉は任され、やっと契約が成立しました。
"及第点"
閣下からいただいたお言葉です。
パリス、俺はきみに婚約を申し込みたい。
驚かせてすまない。もちろん大事なのはきみの気持ちで、決めるのはきみ。
俺は申し込む許可をもらっただけ。
打診が多くあるのも知っているし、自分は選ばれないだろうということも知っていて、諦められないでいる。
堪えきれずあのような手紙を送ってしまったけれど、偽りない本心です。
パリス、愛しています。
もう一度、きみのそばにいさせてください。
正しい行いをするチャンスをください。
俺が歩く正しい道はきみです。
追伸。
もしかしたら手紙より先かもしれませんが、続きは直接言いに行きます。
逃げずに会ってくれるとうれしい。』
「…………ふむ。」
さぁて、どうしようかしら。
END.
※こんにちは作者です。
お読みいただきありがとうございました。
しおり、コメント、エール、お気に入りいつも感謝しております♡
33
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」
仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。
安らかにお眠りください
くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。
※突然残酷な描写が入ります。
※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。
※小説家になろう様へも投稿しています。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
完結、お疲れ様でした、そして有難うございました😭(またでた)
パリスはロビンを選ぶのでしょうか、、🥹
ロビンが恋愛に疎いだけで、善人で一途なだけに最後は気持ちを受け止めてもらえたらなぁ、、パリスもロビンが好きだしなぁとまたまた読み返したり、想像したり余韻に浸っております。
キャシディは伴侶となっているのですね、愛情の形は色々ですね😱
作者様を推しと崇めております私は、連載中の作品も、作者様の頭にある作品もまだまだ楽しみにしております。
個人の気持ちを失礼いたしました!!
デッパさま(まってた)
いつもほんっとにありがとうございます😭
キャシディ伴侶にされちゃいました。
後継はコーラルがそのうち産むであろう子どもを養子ってことでナシついてるので心配無用です♡(誰もしてない)
ロビン…。私ですね、無自覚ってばかと一緒だと思っててw(ひどい)
もうちょっと反省してもらいます!
いつも読んでくださりありがとうございます😭
いつも更新を楽しみにしております!
作者様作品ストーカー化してすみません😖
先日、完結されたお話も勿論好きで、今回の作品も更新中の作品も三者三様で惹き込まれ、いつも背景脳内変換漫画化しながら読んでおります!
今回のライバルは、ピンク頭くせ毛テヘペロ少年を妄想してます、、勝手にすみません。
コッチにも初コメありがとうございます😭
デッパさままじ女神😭
すとーかー?ナニソレ異世界語ですか🙃
私あいされてる気しかしません(ストーカー的思考)
ピンク頭はそんな感じです!サスガ♡爪まで磨いてるやつです。
読んでくださりありがとうございます!!