涙袋 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

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第3章・風雲竜虎編

   第211夜・『職業・ストーカー』

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 小3の姪・ピナとの会話。

 ピナちゃんは、小学校の低学年なのになかなか利発で、大人びている。

 子供らしくないので、私はピナちゃんには冗談ばかり言ってふざけた対応をしている。

 ある日、質問してきた。

「団ちゃん(私)はなんの仕事をしているの?」

「団ちゃんはねえ、『ストーカー』って言うカッコイイ仕事をしているんだ^^」

「どんなの?」

「うん、あのね、一人の人間をずっと見て調べるんだよ」

「ん?」

「うん、例えばね。昨日は、ピナちゃんの一日を観察していたんだ。こんな感じ・・・(全て即興^^)。

   六時半、ピナちゃんパパに起こされる。

   六時四十分、でも起きない。

   六時四十二分、パパに怒られる。

   ピナちゃん、泣きながら起きて、トイレに行く。

   寒い。

   ピナちゃん、トイレットペーパーをいっぱい使っておしっこを拭く。

   続いて、洗面台で顔を洗う。

   歯も洗うけど、ゴシゴシ、ゴシゴシと少し磨くだけ。

   六時五十二分、ソーセージと卵の朝ごはんを食べる。

   弟のハルオは、納豆食べてる。

   七時七分、パパは仕事で、その前にハルオを保育園に連れて行く。

   ピナはばあちゃんの家に行く。

   七時十五分、ばあちゃんのベッドでちょっと横になるが、

   ばあちゃんにブラシで髪を梳かれたら痛くて泣く。

   七時二十五分、学校に行くのが億劫で泣く。

   七時四十五分、「おはスタ」見ながらも、嘘泣きを続けていたが、

   ばあちゃんが「パパに言いつける」と言うので、ブツクサ家を出る。

   七時四十七分、途中で、友達のモコちゃんに会い、一緒に学校に行く。

   七時四十八分、通りを渡るときに、緑のおじさんに挨拶する。

   七時五十三分、モコちゃんと石を蹴りながら、学校に向かう。

   八時五分、学校の坂の上で、たくさんの友達に会う。

   「おはよう!」「おはよう!」とピナは言う。

   八時六分、目の前を翔太君が歩いていた。

   ピナ、挨拶したいけど、出来ない。

   八時十分、校舎玄関で、靴から上履きに履き替える。

   八時十一分、階段を上がって、自分の教室へ。

   八時十二分、教室に入る。

   みんなに「おはよう!」「おはよう!」と言う。

   八時十四分、カスミちゃんと折り紙をする。

   八時二十五分、ピナ、先生が来る前に、トイレに行く。

   八時二十六分、トイレに入ると、一番手前のトイレは誰かが使っていたので、二番目を使う。

   八時二十七分、ピナ、トイレットペーパーをいっぱい使っておしっこを拭く。

   八時三十分、イナバ先生がくる。

   上履きを忘れたマダオを、イナバ先生が叱る。

   マダオは怒られながら、ヘラヘラ笑っている。

   ピナ、そんなマダオを格好悪いと思う。

   それに比べて、翔太君は・・・。チラッ。

   八時五十七分、算数の授業中、手を挙げたピナ、イナバ先生に指される。

   ピナは、「答えは32です!」と元気良く答える。

   イナバ先生、「良く出来ました^^」とピナを褒める・・・。

 こんな風に、ピナちゃんの一日を、団ちゃんはずーっと見ていたんだよ^^

 なっ? ストーカーって、格好良いだろう^^v」

 すると、ピナちゃんは、複雑そうな表情で、私の顔をマジマジと見つめ、言った。

   『なんか、怖い・・・』

 ・・・そう思ってくれなきゃ、頑張って長々と語った意味がない^^v

                       ・・・(2009/12/28)
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