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第3章・風雲竜虎編
第213夜・『シベリア抑留を経験したおじいちゃん』
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昨夜の三世代の家族連れの中に、年配のおじいちゃんがいた。
おじいちゃんは、その息子さんが言うには「90年、お酒を飲まないで生きてきたから、このような小洒落た店には緊張しているんだ^^」と言っていた。
年齢は、御歳91歳だそうだ。
おじいちゃんは、途中で、その場に飽きてきて、義理の娘さんに連れられて帰ってしまった。
が、後から、息子さんやお孫さんに話を聞くに、「おじいちゃんは21歳で中国戦線に赴き、そこで終戦。4年間のシベリア抑留を経験した」のだそうだ。
「ああ、僕、そのような話には興味があるので、是非、帰る前に話を聞きたかったなぁ・・・」
「そうだったのか。おじいちゃん、過酷な話を笑顔で語るので、聞いてるこっちは何とも言えない心地にさせられるんだけどね^^;」
「黒パンを、翌日に残した仲間がいたそうで・・・」と孫が、短い話を聞かせてくれる。
「ええ・・・」
「明日に残すという、翌日への楽しみを持っていながら、その夜に死んでしまった仲間がいたとか、繰り返し話すんですよね」
「ふ~む」
「で、その仲間を埋めなくちゃならないんだけど、極寒なので、土が固まっていて、穴が掘れないんで、地面の上でたき火をして、土を溶かして、そして穴を掘って埋めたそうで・・・」
この時、私の顔が、「凍土がたき火で溶けるのかなぁ」と言う表情をしたと見た息子さんは、「大きなたき火をしたそうです」と付け加えた。
「10年ほど前、ボリショイサーカスが来日して、家族で観に行ったとき、休憩時間に、ピエロがチラシを配っていたんです」
「はい」
「そしたら、おじいちゃんがロシア語で話し始めたので、ロシア人のピエロも、周囲にいた近親者も一様に驚いたものです^^」
「おじいちゃん、抑留生活の中で、例えば、収容所から作業場に出るとき、ゲートで、『○○班8人、○○現場に向かいます』とかロシア語で言わされていて、そんなうちに、徐々に実用ロシア語を覚えていったみたいで」
「そうですか。辛かったでしょうが、今、こうして家族に囲まれて幸せでしょうね」
「うん、今が一番、幸せかもしれない」
「だね、本人は^^」
「うん、本人は^^;」
「あと9年、まだまだ元気に、市から表彰されましょうよ! ともあれ、また、連れて来て下さい、僕、聞きたいことがいっぱいあります^^」
・・・(2014/05/07)
おじいちゃんは、その息子さんが言うには「90年、お酒を飲まないで生きてきたから、このような小洒落た店には緊張しているんだ^^」と言っていた。
年齢は、御歳91歳だそうだ。
おじいちゃんは、途中で、その場に飽きてきて、義理の娘さんに連れられて帰ってしまった。
が、後から、息子さんやお孫さんに話を聞くに、「おじいちゃんは21歳で中国戦線に赴き、そこで終戦。4年間のシベリア抑留を経験した」のだそうだ。
「ああ、僕、そのような話には興味があるので、是非、帰る前に話を聞きたかったなぁ・・・」
「そうだったのか。おじいちゃん、過酷な話を笑顔で語るので、聞いてるこっちは何とも言えない心地にさせられるんだけどね^^;」
「黒パンを、翌日に残した仲間がいたそうで・・・」と孫が、短い話を聞かせてくれる。
「ええ・・・」
「明日に残すという、翌日への楽しみを持っていながら、その夜に死んでしまった仲間がいたとか、繰り返し話すんですよね」
「ふ~む」
「で、その仲間を埋めなくちゃならないんだけど、極寒なので、土が固まっていて、穴が掘れないんで、地面の上でたき火をして、土を溶かして、そして穴を掘って埋めたそうで・・・」
この時、私の顔が、「凍土がたき火で溶けるのかなぁ」と言う表情をしたと見た息子さんは、「大きなたき火をしたそうです」と付け加えた。
「10年ほど前、ボリショイサーカスが来日して、家族で観に行ったとき、休憩時間に、ピエロがチラシを配っていたんです」
「はい」
「そしたら、おじいちゃんがロシア語で話し始めたので、ロシア人のピエロも、周囲にいた近親者も一様に驚いたものです^^」
「おじいちゃん、抑留生活の中で、例えば、収容所から作業場に出るとき、ゲートで、『○○班8人、○○現場に向かいます』とかロシア語で言わされていて、そんなうちに、徐々に実用ロシア語を覚えていったみたいで」
「そうですか。辛かったでしょうが、今、こうして家族に囲まれて幸せでしょうね」
「うん、今が一番、幸せかもしれない」
「だね、本人は^^」
「うん、本人は^^;」
「あと9年、まだまだ元気に、市から表彰されましょうよ! ともあれ、また、連れて来て下さい、僕、聞きたいことがいっぱいあります^^」
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