涙袋 ~現代居酒屋千夜一夜物語~

与四季団地

文字の大きさ
297 / 299
第3章・風雲竜虎編

   第298夜・『偉いですね^^(公共心がある幼児)』

しおりを挟む
 昨夜は外泊し、今、帰宅した。
 帰宅時に100円ショップに寄って、会社で皆が使う文房具等を物色した(注:この頃、私は請負現場の責任者をやっていた)。
 ・・・幼児がいた。...
 年の頃2歳ほどの男の子だ。
 お父さんに連れられて、お菓子を二つほど握らされていた。
 そのお父さんは、「まだ買う物あるから、お前、ちょっと待っておけ」てな風情で、店の奥に消えた。
 幼児は、お菓子を両手に握りながら、レジからちょっと離れた場所に立っていた。
 すると、陳列棚から飴の袋が一つドサッと落ちた。
 私は、幼児を黙視した。
 いや、別に、その幼児が落としたわけではない。
 陳列し過ぎで、はみ出ていたのが落ちたのだ。
 だが、その幼児がどういった反応を示すのか知りたかった。
 選択肢の問題なのだが、
 私は、その幼い子にあっては、その落ちたお菓子袋を無視する選択肢しかないだろうと思った。
 それを拾って棚に戻すと言う選択肢は、私の考える2歳児の思考には存在しないはずだった。
 ・・・、・・・しかし、その幼児は、一秒ほど考えた後、自分のお菓子二つを片手に持ち、屈み込んで、落ちたお菓子袋を拾い上げたのだ。
 とても感動した^^
 本来は、2歳の子供が出来ようことではないはずだ。
 男の子は、お菓子袋を拾ったはいいが、それを元に戻そうとする段において、自分の背丈以上の棚であることに気づくだろう。
 そこではじめて、困惑するか・・・。
 だが、そこは「大人」がフォローしなくてはならない。
 私は、男の子が困ってしまう前に、その菓子袋をヒョイと取り上げ、棚に戻すことを引き継いだ。
 すると、そこへお父さんが戻ってきた。
 お父さんは、私を訝しげに見た。
 私は、穏やかに言った。
「この子は偉いですね。自分が落としたわけでもないのに、拾って棚に戻そうとしてましたよ^^」
 お父さんの顔が綻んだ。
      ・・・あなたの教育が偉いんですよ^^
                  ・・・(2007/06/29)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...