妹転生!~妹への愛が止まらないのに、何故か僕には妹がいない~

百円玉

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四章

第57話 格の違いを見せつけるのは気持ちいい

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 恐ろしいほどの勢いで突っ込んだにも関わらず、奇跡的にほぼ無傷という状態で生還できた。
 僕が突っ込んだことで発生した土煙が次第に晴れていく。

 するとアーサーの野郎が僕に声をかけてくる。

「き、君は一体……? お、俺たちを助けてくれたのか……?」

 ちっ……!今の爆発で吹き飛んでいれば良かったのに、僕のリアクティブアーマーが優秀すぎたせいで、リッチさんの魔法を相殺してしまっていたようだ。
 しかし、僕はアーサーの野郎を助けたつもりはないのだが、ここは僕が助けてやったことにして、格の違いというものを叩き付けておいても損はないだろう。

「ふふふ……僕はただ歩いていただけさ」

「なっ……!つまり今のは君にとってはただ歩いているのと変わらなかった……ということか……?」

「……正確には、早歩きぐらいかな……?」

 アーサーが僕の規格外な立ち回りに目を剥いて驚いている。
 うんうん、意外と気分が良いものだね。

「早歩き…… 俺たちと同じ学年にこんな生徒がいたなんて…… 俺の今までの努力は何だったんだ……!」

 あぁ!いい気味だ!
 君の努力は僕の早歩きにすら劣るのだよ……!ふはははは!!

 僕がアーサーを見下していると、冒険者の人が声をかけてくる。

「君、学生だな? 今のは一体どういう魔法……いや、詮索するのはやめよう。 とにかく助けてくれてありがとう」

 冒険者の人に続くようにして、女の子二人も僕に感謝の言葉をかけてくる。

 うぅ……!遂に目を覚ましてくれたんだね……フランちゃん!
 涙が零れそうになるのを必死に抑えつける。
 僕は泣いてしまうと人より体液が流れ出やすいのだ。
 そんなかっこ悪い姿を見せるわけにはいかない。

 そこで、ふとリッチさんの安否が気になった。

 とてつもない爆発をゼロ距離で受けたのだ。
 光属性を克服したリッチさんといえど、流石に無傷で済むことはあるまい。

 もしかしたら人を殺してしまったかもしれない……。
 い、いやあれは事故なのだ……!急に僕の背後で爆発が……!
 その爆弾を仕掛けたのは僕だということと、僕の工作したアーマーが死因だということについては、今は忘れるしかない。僕の心を守るためなのだ。

 いやいやまだ死んだと決まったわけではないはずだ……。
 リッチさんの方に恐る恐ると顔を向ける。

 周辺にいた魔物たちも爆発に巻き込まれて死体の山になっており、その頂点には黒いぼろ布をはだけさせ、横たわるリッチさんの姿があった。

「し、死んだ……のか……?」

 アーサーが僕の肩越しに覗き込んでくるが、今はそれどころではない。

 あ、あぁ……僕はどうやら遂に人をやってしまった……。
 リッチさんは無残にも肉が削ぎ落されて、骨だけになってしまっていた。

 違うんだ……!リッチさん……!
 僕はそんなつもりはなかったのだ!こんなの悪い夢だ!

 事故だ!!!!事故なんだ!!!!
 くそう……!こんな悲しい事故があるのだろうか……!
 誰も悪くない、ただ運が悪かっただけなのだから……!
 目的を同じくする同志であるリッチさんが死んでしまった……!
 僕は一体誰を恨めばいいのだ!!

 僕が自身の心を守るために、リッチさんの死から必死に目を逸らそうとしていると、リッチさんの死体がピクリと僅かに動いたのを見た。

「……っ!! こいつまだ生きているぞ!!」

 アーサーたちが後ろで騒ぎ立てているが、僕はリッチさんが生きていたことに深く安堵していた。

「あぁ、リッチさん生きていたんですね……良かった……」

 骨の状態でも生きているとは流石はリッチさんだ。

「な、何を言っているんだ!気が狂ったのか!」

 冒険者の人が僕を叱りつけてくる。

 なんなのだ!この冒険者野郎は!リッチさんが死んでた方が良かったとでも言うのか!!

 しかし、リッチさんは大丈夫だろうか。
 なんだかすごくボロボロで動きも結構遅くなっている。

「……っ! 今なら逃げられるかもしれない……!」

 逃げるなら一人で無様に逃げるがいいさ、アーサー!

 僕はリッチさんの協力者だからね。
 事情を説明して、やられたふりをしてもらえば、フランちゃんの尊敬を集めることは容易なはずだ。
 そして、無様なアーサーはパートナーとして相応しくないと気付き、ゴミのように捨てるのだ。
 なかなか良いシナリオだね。これが、いわゆる“ざまぁ”というやつなのかな。

 僕は不敵な笑みを浮かべながら、リッチさんを見下ろす。
 これで気付いてくれるよね?
 無口な人ほど、他人の感情の機微に敏感なはずだ。
 そうじゃなければ、無口キャラを貫くことなどできないのだから!

「君も早く逃げるんだっ! 君がいくら強くとも光属性の魔法で仕留める以外に奴を倒す方法はないんだ!」

 ふふふ……僕にかかればリッチさんを倒すのは簡単だ。
 そうですよねー?リッチさん?
 リッチさんの何もない眼孔が怪しく光るのを見た。
 よしよし、しっかりと僕の意図が伝わっていようだ。

 するとリッチさんがまたしても詠唱を始めた。

 あれ?演技だよね?
 いやいや、そうじゃないとさっきのアイコンタクトはなんだったというのか。

 なんだか殺気に満ち溢れている気がするけど、演技だよね?
 さ、流石はリッチさんだなぁ……。迫真の演技……。
 まあ、敵を騙すにはまず味方からという格言もあることだし、そういうことだよきっと……。

 …………なんかさっきより魔力込めてない……?
 もしかして、さっきの爆発で結構怒ってるのかな……?
 いやいや冗談じゃないですかぁ!もうやだなぁ!
 なに本気になってるんですかぁ!
 ちょっと!!本当に洒落になってないっすよぉ!!リッチさん!!

 泣きそうになりながらも演技だと信じて、不敵な笑みを崩さない。

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