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2 レベル10

葵のレベルアップ

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三学期が始まってから2週間が過ぎたが、サバイバーの依頼も順調にこなしている。
レベル9になりスキルの使用回数が増えかなり戦闘にも余裕が出てきている。
そしてこの前のレイドで葵のレベルが上がる事は無かったが、昨日の戦闘で葵のレベルは13へと上昇した。
レイドでの経験値の貯金と、二人で依頼を受けているおかげで、回数と敵の数が増えたのが要因でレベルアップのペースが加速している。
俺も次でレベル10なのでようやく葵と同じEランクに上がれると思っていたが、この調子なら葵はすぐにDランカーに上がってしまいそうだ。
葵がレベルアップするのは大歓迎だが、いつまで経っても横に並び立つ事が出来ない気がして少しだけ複雑だ。

「葵、レベルアップおめでとう。何か変化はあった?」
「はい、スキルの回数が増えました。これで今までより数を相手にしても対応できます」
「葵がスキルを使い切る場面はそうそうなさそうだけどな」

俺と違い、葵は高火力のスキルをかなりの回数使用出来るので、俺と戦っていてスキルが尽きたという事はまだ一度も無い。
俺は威力に劣る分回数で勝負しているので常にスキル回数の残数には気を配らなければならない。

『『ピピッ』』

サバイバーの端末に依頼の知らせが入る。

「それにしてもお正月から急に依頼が増えた気がするけど」
「冬にだけモンスターの出現頻度が増えるという話は聞いた事がないので、多分お正月からペースを落としたり、寒いので依頼を断る人が増えたのかもしれません」
「そんなものかな」

俺に通常の依頼を断るという選択肢は無いが、余裕がある人達はそこまで無理する必要もないのかもしれない。
俺達は準備を済ませてロードサイクルで現場へと向かおうとするが、遂に恐れていた事態が起きてしまった。
朝から空模様が怪しいとは思っていたが、学校にいる間はなんとか大丈夫だった。
それが今家を出ると、あたり一面がうっすらと白くなっている。

「雪……」

外に出ると今シーズンの初雪が降っていて、地面にうっすらと積もっている。
普段であれば、綺麗で済む光景だが、自転車で討伐に向かう俺達には大問題だ。

「葵、どうする?」
「まだそれほど積もっている感じでは無いので、とりあえず向かってみませんか?」
「そうしようか。もしダメなら途中で降りて、押して行こうか」
「はい」

結果としてこの選択は間違いだったかもしれない。
この雪の影響で、他のサバイバーは依頼を断っていたのかもしれない。
そのせいか思いの外現場が遠距離にあり、途中まではなんとかロードサイクルで進めたが、降る雪の影響でスリップして歩く事を余儀なくされてしまった。

「葵、大丈夫?」
「はい、大丈夫です。わたし雪も結構好きなんですよ」

葵は明るくそう答えてくれたが、これは思ったよりも結構辛い。
寒い上に足元がドロドロで滑るので、進む速度が上がらない。
思った以上に雪の中を進むのはきつい。やっぱり自転車移動の俺達にとって雪は天敵だった。

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