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1 全てを奪う者
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この日俺は勇者秋葉剛を殺した。
俺のいるこの世界には勇者と呼ばれる奴らで溢れている。
奴らは、大昔の大魔導師だかが設置した大魔法陣から毎日のように召喚されこの世界に現れる。
奴らは、異世界からやって来るようで、俺らには無い異能と馬鹿げたステータスを持っている。
当初の召喚の目的は世界に蔓延るモンスターを掃討する事だったようだが、勇者があふれている現在その本質は薄れてしまっているが、今でも召喚魔法陣を管理する世界政府がモンスター退治を条件に勇者を保護して特権を与えている。
勇者と呼ばれる奴らはこの世界の市中では基本的に何をしても許される。
腹が減れば、飯屋でタダ飯を好きなだけ食べ、欲しいものがあれば、勝手に人の家のものを奪って行く。
女が欲しくなれば、好き放題に食い物にする。
俺達は我慢するしかない。どれ程虐げられようとも奴らには各国の王族で構成されている世界政府の後ろ盾があるのだから。
それに、仮に奴らに挑んだとしても勇者達は個人としての能力も桁違いなので抗っても勝つ事は出来ない。
この世界に喚ばれて来る勇者達は一様にこの世界を舐めている。
この世界の人間を物のように扱い、この世界の生活をゴミのように壊して行く。
まるでこの世界が、虚像であるかの如く傍若無人に振る舞う。
俺は勇者を憎んでいる。二年前俺の妹と幼馴染は勇者の一人に凌辱され、良いように弄ばれ、ゴミのように捨てられた。
二人共襲われ攫われた後、家に戻ってからしばらく部屋に引き籠もっていたが、その時の俺には彼女達にかけるべき言葉が思いつかなかった。
一週間後二人がそれぞれ部屋で首を吊っているのが発見されたが、二人を最初に発見したのは俺だった。
「ぐあああああぁああああああああ~」
二人が勇者に嬲りものにされたと知った時も、言い表せ無いほどの怒りを感じたが、この時感じたのは、勇者への怒り、何も出来なかった自分への怒り、助けてくれる事のなかった周囲への怒り、勇者の後ろ盾である世界政府への怒り。
この世の全てに対する怒りが俺の中で爆発した。
「殺す! 必ず殺す! 俺の命と引き換えにしても絶対に殺してやる!」
二人を死に追いやった勇者を必ず殺す。あいつは二人の事などもう気にもかけていないだろう。だが俺は俺の全てをかけてでも殺して見せる。
この瞬間、俺の全てが決まった。
俺はこれから勇者を殺す為だけに生きる。
二人の葬儀を終えてから、俺はそれまでほとんど習った事のない、剣技や武術と呼ばれるものに打ち込んだ。
一年間死に物狂いで打ち込んだが、残念な事に俺には武術や剣技の才能は無かった。文字通り血反吐を吐く努力を重ねて、ようやく人並み程度になれたが、決して強くは無かった。
そんなある日、剣術の兄弟子にあたる人が勇者に挑み瞬殺された。
兄弟子は俺よりも遥かに強かったが、来たばかりの勇者の練習相手に呼び出されて戦ったが、結果は一合も持たず勇者の一振りで瞬殺され、死体はそのまま捨て置かれた。
兄弟子の死にもショックを受けたが、それ以上に俺よりも遥かに強かった兄弟子が瞬殺されてしまった現実に呆然としてしまった。
このままではどうしても勝てない……
何をどうやったとしても勝てる事はない。
だが俺にはこれしかない。
そこからの一年間は更に極限まで自分を追い込み修練を積んだが、俺はついに限界に達した。
まだやれる。
怒りの炎は消えるどころかこの二年で更に燃え上がったが、俺は成長限界を迎えてしまった。
この世界にはステータスというものがあり、身体能力等ステータスの数値以上には力を発揮する事は出来ない。
俺の今のステータスだ。
リュート グルー 18歳 男
筋力:35
体力:46
耐性:30
敏捷:35
魔力:10
魔耐:10
スキル ー
通常の一般的な成人男性のステータスは各数値概ね10~15程度と言われている。
スキルや魔法を使えない俺は魔力を鍛える事は無意味なので、身体と技術を徹底的に鍛え抜き二年で今の数値までたどり着いた。
だが、この一ヶ月間は数値に全く変化が見られなくなってしまった。
どれ程走ろうが、剣を振ろうが、数値が上昇しなくなってしまったのだ。
人にはそれぞれ成長限界がある。
それを才能とも言うが、俺はこの血の滲むような二年間の特訓で成長限界を迎えてしまったが、今のこの数値は一年前に勇者に斬り伏せられた兄弟子の数値よりも劣っていた。
それでも俺は成長限界を迎えてからも訓練は続けていた。
正直これから先どうすればいいのか分からないまま習慣となっている訓練を続けている。
俺がこれ以上強くなる事は無い。
それであれば、あいつに一矢報いるべく特攻をかけるか?
だが兄弟子ですら、来たばかりの新米勇者に一刀のもとに瞬殺されたのだから、それより劣る俺があいつに一矢報いる事ができる可能性はゼロだ。
他人のステータスは特殊なスキルが無いと見る事は出来ないが、勇者の場合、最低ランクの新米勇者でもステータスの平均値は五百を超えていると言われている。
どんなに弱くても俺の十倍以上の強さがある。あいつに至ってはもはや新米では無い。その数値がどれ程なのか全く想像もつかない。
俺のいるこの世界には勇者と呼ばれる奴らで溢れている。
奴らは、大昔の大魔導師だかが設置した大魔法陣から毎日のように召喚されこの世界に現れる。
奴らは、異世界からやって来るようで、俺らには無い異能と馬鹿げたステータスを持っている。
当初の召喚の目的は世界に蔓延るモンスターを掃討する事だったようだが、勇者があふれている現在その本質は薄れてしまっているが、今でも召喚魔法陣を管理する世界政府がモンスター退治を条件に勇者を保護して特権を与えている。
勇者と呼ばれる奴らはこの世界の市中では基本的に何をしても許される。
腹が減れば、飯屋でタダ飯を好きなだけ食べ、欲しいものがあれば、勝手に人の家のものを奪って行く。
女が欲しくなれば、好き放題に食い物にする。
俺達は我慢するしかない。どれ程虐げられようとも奴らには各国の王族で構成されている世界政府の後ろ盾があるのだから。
それに、仮に奴らに挑んだとしても勇者達は個人としての能力も桁違いなので抗っても勝つ事は出来ない。
この世界に喚ばれて来る勇者達は一様にこの世界を舐めている。
この世界の人間を物のように扱い、この世界の生活をゴミのように壊して行く。
まるでこの世界が、虚像であるかの如く傍若無人に振る舞う。
俺は勇者を憎んでいる。二年前俺の妹と幼馴染は勇者の一人に凌辱され、良いように弄ばれ、ゴミのように捨てられた。
二人共襲われ攫われた後、家に戻ってからしばらく部屋に引き籠もっていたが、その時の俺には彼女達にかけるべき言葉が思いつかなかった。
一週間後二人がそれぞれ部屋で首を吊っているのが発見されたが、二人を最初に発見したのは俺だった。
「ぐあああああぁああああああああ~」
二人が勇者に嬲りものにされたと知った時も、言い表せ無いほどの怒りを感じたが、この時感じたのは、勇者への怒り、何も出来なかった自分への怒り、助けてくれる事のなかった周囲への怒り、勇者の後ろ盾である世界政府への怒り。
この世の全てに対する怒りが俺の中で爆発した。
「殺す! 必ず殺す! 俺の命と引き換えにしても絶対に殺してやる!」
二人を死に追いやった勇者を必ず殺す。あいつは二人の事などもう気にもかけていないだろう。だが俺は俺の全てをかけてでも殺して見せる。
この瞬間、俺の全てが決まった。
俺はこれから勇者を殺す為だけに生きる。
二人の葬儀を終えてから、俺はそれまでほとんど習った事のない、剣技や武術と呼ばれるものに打ち込んだ。
一年間死に物狂いで打ち込んだが、残念な事に俺には武術や剣技の才能は無かった。文字通り血反吐を吐く努力を重ねて、ようやく人並み程度になれたが、決して強くは無かった。
そんなある日、剣術の兄弟子にあたる人が勇者に挑み瞬殺された。
兄弟子は俺よりも遥かに強かったが、来たばかりの勇者の練習相手に呼び出されて戦ったが、結果は一合も持たず勇者の一振りで瞬殺され、死体はそのまま捨て置かれた。
兄弟子の死にもショックを受けたが、それ以上に俺よりも遥かに強かった兄弟子が瞬殺されてしまった現実に呆然としてしまった。
このままではどうしても勝てない……
何をどうやったとしても勝てる事はない。
だが俺にはこれしかない。
そこからの一年間は更に極限まで自分を追い込み修練を積んだが、俺はついに限界に達した。
まだやれる。
怒りの炎は消えるどころかこの二年で更に燃え上がったが、俺は成長限界を迎えてしまった。
この世界にはステータスというものがあり、身体能力等ステータスの数値以上には力を発揮する事は出来ない。
俺の今のステータスだ。
リュート グルー 18歳 男
筋力:35
体力:46
耐性:30
敏捷:35
魔力:10
魔耐:10
スキル ー
通常の一般的な成人男性のステータスは各数値概ね10~15程度と言われている。
スキルや魔法を使えない俺は魔力を鍛える事は無意味なので、身体と技術を徹底的に鍛え抜き二年で今の数値までたどり着いた。
だが、この一ヶ月間は数値に全く変化が見られなくなってしまった。
どれ程走ろうが、剣を振ろうが、数値が上昇しなくなってしまったのだ。
人にはそれぞれ成長限界がある。
それを才能とも言うが、俺はこの血の滲むような二年間の特訓で成長限界を迎えてしまったが、今のこの数値は一年前に勇者に斬り伏せられた兄弟子の数値よりも劣っていた。
それでも俺は成長限界を迎えてからも訓練は続けていた。
正直これから先どうすればいいのか分からないまま習慣となっている訓練を続けている。
俺がこれ以上強くなる事は無い。
それであれば、あいつに一矢報いるべく特攻をかけるか?
だが兄弟子ですら、来たばかりの新米勇者に一刀のもとに瞬殺されたのだから、それより劣る俺があいつに一矢報いる事ができる可能性はゼロだ。
他人のステータスは特殊なスキルが無いと見る事は出来ないが、勇者の場合、最低ランクの新米勇者でもステータスの平均値は五百を超えていると言われている。
どんなに弱くても俺の十倍以上の強さがある。あいつに至ってはもはや新米では無い。その数値がどれ程なのか全く想像もつかない。
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