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しおりを挟む「では女子諸君はそこの廊下を右に、トリシア女史に続け。男子諸君は私とともに此方だ!」
掛け声と共に分散すると男子達がインテリ眼鏡先生に先導されていった。
「わぁー、見事にドナドナされていったね……」
「ん? それってなに? 流行りの食べ物とか? テーマパーク?」
「……ぐふっ!」
割りと淡白なな絵面にワクワクしていた所、アリアの何気ない一言で、アリスの脳内では、余計なゾーンにドナドナが突入!
薔薇を背負ったインテリ眼鏡を先頭にして、無表情ないいお顔で同級生達がメリーゴーランドに揺られている……。
実にシュールで腹筋が崩壊寸前でぷるぷる逝っててヘルプミーで……。微妙に噛み合わないけれどそれでも成り立つ姉妹の雑談は今日も突っ込み所がいっぱいです。
「それではわたくし達も参りますよ?」
後から入室されたおしとやかなトリシア女史が女生徒を先導して階段を上がっていく女子棟二階の目の前には、カントリーないかにも女子が好きそうな談話室があった。
「このフロアの談話室は主に一年と二年が使います。部屋は各々二人部屋です。魔法学が進むとそれぞれ北エリアの研究棟に広めの個室を得ることも可能です。是非ともとも挑戦して頂戴ね」
「ここって可愛らしくて素敵ね、お姉ちゃん」
「ええ、このカントリーな雰囲気、とても快適に生活出来そう……」
「あ、ちなみに低学年の皆さんは個室にお風呂が有りませんので皆で親睦を深める為にも大浴場を使って下さい。後で案内致します。一応、有料ですが貸し切りのお風呂もいくつかあります。……が、そちらは全学年共通になりますから、貴族間で昨今では競争が激化してきています。侵略行為等にご注意なさいましね」
「大浴場で女子と一緒ぉ!?」
つい大声でアリスが叫んでいた。
「お静かに! 貴族の子女でしたら最初は戸惑うかもしれませんが、貴女はそうでは無いでしょう? まあ、女同士ですから最初は抵抗があるかもしれませんが慣れれば存外快適で、たいして苦にもなりませんよ♪ 皆様おおらかに楽しんで下さい」
女教師から名指しで天国へのお誘いをいただくと、まだ見ぬ情景を妄想してはフルフル震えながら元男子してアリスは素直に喜んでいていいのか悪いのか思慮する。
そもそもまともに女子と手を繋いだ事もない自分なのに、何の手順も踏まずこんなにズルして良いものか…….。志こころざしを同じくしていたモテない前世の同胞の姿を思い起こす。
「お姉ちゃん、さっきからぶつぶつと独り言凄いけど、今朝からどうしたの?」
妹の問い掛けにも理性と欲望の織り成す泥試合の激化で、一向に正気に戻る気配がない。
「……でもでもだって! やっぱり今は僕ってこんな可愛らしい女子なんだから、簡単にバレたりしないよね? ね?」
いきなりアリアの手をキツく握るとワケのわからない発言をする……双子の姉。
「バレるって……何?」
生前はウザいとしか思わなかった体育教師の猿渡だって言ってたし、ね? 裸の付き合いってホントに大事だって!
アリス中で判決が出た。
「うんうん、アリア! ……お姉ちゃん何だか答えが出た気がしてきたヨ♪ ぐふふふ……先生! 僕今世を楽しむことにします!」
不気味に人としての一線を越えようとしている姉の言動に嫌な胸騒ぎがし、姉とは正反対の切ないお胸でそれを繊細に感じ取って、一歩後に引こうとするアリアである。
「それは大決心をされたのですね! とても素晴らしいです。そうやって多様性を素直に受け入れられる方は意外に多くないですから」
皆わいわい言いながら談話室を出て、各々の個室へとすすんでいった。
「何でもかんでも受け入れるのは荷が重いから無理かもだけど……僕、女神が言う様にこの世界で生きていくよ!」
「……うん? ……難しい事はよくわからないけど、お姉ちゃん、頑張って?」
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