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帝国への旅立ち 編
また一瞬で婚約破棄されました...
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「もういい、お前との婚約は破棄させてもらう!」
見るだけで鬱陶しいほどの、キラキラとしたアクセサリーに身を包んだ若い男が声を荒らげていた。
すると、どうやら一緒に口論をしていたらしい小柄な女はゆっくりと立ち上がった。
「あーそうですか、どうでもいいです。勝手にしてください。」
女はそう言い放ち、男を激昂させると、足早に部屋を出ていった。
後ろの部屋でヒステリックに喚き散らす男を無視し、女はすぐに荷物をまとめて屋敷を出ていった。
初めは勢いよく歩いていたが、徐々に足取りが弱々しくなり、しまいには頭を抱え、顔面を蒼白くしてうずくまっていた。
「どうしよう、お父様に殺されるううぅぅ!!」
昼間の街に絶叫が響いた。
---------------------------------------
~1日前~
「レリシア、これが最後のチャンスだ。分かったな?」
自身の父であるヴァインにそう問われたレリシアは口をとがらせ、不服そう頷いた。
それを見たヴァインは深い溜息をつき、白髪の混じり始めた頭を抱えた。
「全く、お前は何度婚約を破棄されたら気が済むのだ。」
その言葉にすかさずレリシアは反論する。
「それは違いますお父様。これまでの婚約破棄は、全て相手の殿方に問題がありました。」
この言葉は事実なのだが、あまりにも婚約を破棄されすぎていたので、ヴァインは聞く耳を持たなかった。
悔しさにレリシアは唇を噛んだ。
「何度同じことを言っているんだ?初めのうちならまだ分かるがな、9回だぞ?9回?」
「......だって」
「だってじゃない。今回の婚約を取り付けるのだって父さんがどれほど苦労したか知っているのか?これがお前に与える最後のチャンスだ。」
ヴァインは厳しい言葉を突きつける。
レリシアを心配しているからこそ、その言葉は彼女を突き放すものだった。
「............わかりました。」
叱られて涙目になりつつも、レリシアは震える声で返事をした。
「今回はどこへ行けばいいのですか?」
そう聞くと、ヴァインは苦い顔をして目を泳がせた。
(嫌な予感がする......)
そう思っていると、ヴァインはレリシアに今回の婚約相手を伝えた。
「それなんだが......クリル家のご長男の所だ...。」
嫌な予感は、見事に的中した。
「ク............リ............ル...............?」
レリシアは目眩がした。
クリル家の次期当主であり、長男のクリル・ダーラは、庶民階級の間でも話題になるほどの悪名高い貴族である。
常に他者を見下し、傲慢で、金遣いも荒い。
レリシアが最も嫌悪する人種だった。
「冗談ですよね?お父様???」
父は目を閉じ、何も言わない。
レリシアは膝から崩れ落ちて、絶望したような表情を浮かべている。
(あぁ、私の人生...終わった...。)
しかも、レリシアはヴァインにこれが最後のチャンスだと言われたことも思い出した。
しばらく考えた末に、レリシアはもう全てを諦め、自暴自棄になる道を選んだ。
「あは、あははは、あははははは」
「ど、どうしたんだレリシア?」
ヴァインがドン引きしていたが、そんなはもう関係ない。
(そうよ、相手が何か言ってきても言い返したら良いだけじゃない。)
令嬢としての思考を完全に放棄し、レリシアは覚悟を決めた。
「それで?いつ行けばいいのですか?」
「あ、あぁ1週間以内とは言われているが...。」
もっと駄々をこね、行きたくないと喚き散らすと思っていたヴァインは驚いていた。
「そうですか。では今。」
「何だって?」
「今です。今すぐ向かいます。」
「.........は?」
ヴァインの困惑を尻目に、レリシアは側近のメイドに指示を飛ばした。
「エルザ、今すぐ部屋の荷物をまとめて頂戴!」
「かしこまりました。」
すると即座にエルザと呼ばれたメイドとレリシアは部屋を出ていった。
呆気に取られ、目を剥いて驚いていたヴァインだったが、しばらくすると深い溜息をついた。
「はぁ......胃が痛い。」
---------------------------------------
そうして、レリシアはクリル家に向かった。
しかし、早速のように結納金に文句を付けてきたクリル・ダーラと口論になり、また婚約を破棄された。
「どうしよう......胃が痛い............」
そう呟きながらレリシア・シュヴァイレンは亀のような速度で家に帰るのだった。
見るだけで鬱陶しいほどの、キラキラとしたアクセサリーに身を包んだ若い男が声を荒らげていた。
すると、どうやら一緒に口論をしていたらしい小柄な女はゆっくりと立ち上がった。
「あーそうですか、どうでもいいです。勝手にしてください。」
女はそう言い放ち、男を激昂させると、足早に部屋を出ていった。
後ろの部屋でヒステリックに喚き散らす男を無視し、女はすぐに荷物をまとめて屋敷を出ていった。
初めは勢いよく歩いていたが、徐々に足取りが弱々しくなり、しまいには頭を抱え、顔面を蒼白くしてうずくまっていた。
「どうしよう、お父様に殺されるううぅぅ!!」
昼間の街に絶叫が響いた。
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~1日前~
「レリシア、これが最後のチャンスだ。分かったな?」
自身の父であるヴァインにそう問われたレリシアは口をとがらせ、不服そう頷いた。
それを見たヴァインは深い溜息をつき、白髪の混じり始めた頭を抱えた。
「全く、お前は何度婚約を破棄されたら気が済むのだ。」
その言葉にすかさずレリシアは反論する。
「それは違いますお父様。これまでの婚約破棄は、全て相手の殿方に問題がありました。」
この言葉は事実なのだが、あまりにも婚約を破棄されすぎていたので、ヴァインは聞く耳を持たなかった。
悔しさにレリシアは唇を噛んだ。
「何度同じことを言っているんだ?初めのうちならまだ分かるがな、9回だぞ?9回?」
「......だって」
「だってじゃない。今回の婚約を取り付けるのだって父さんがどれほど苦労したか知っているのか?これがお前に与える最後のチャンスだ。」
ヴァインは厳しい言葉を突きつける。
レリシアを心配しているからこそ、その言葉は彼女を突き放すものだった。
「............わかりました。」
叱られて涙目になりつつも、レリシアは震える声で返事をした。
「今回はどこへ行けばいいのですか?」
そう聞くと、ヴァインは苦い顔をして目を泳がせた。
(嫌な予感がする......)
そう思っていると、ヴァインはレリシアに今回の婚約相手を伝えた。
「それなんだが......クリル家のご長男の所だ...。」
嫌な予感は、見事に的中した。
「ク............リ............ル...............?」
レリシアは目眩がした。
クリル家の次期当主であり、長男のクリル・ダーラは、庶民階級の間でも話題になるほどの悪名高い貴族である。
常に他者を見下し、傲慢で、金遣いも荒い。
レリシアが最も嫌悪する人種だった。
「冗談ですよね?お父様???」
父は目を閉じ、何も言わない。
レリシアは膝から崩れ落ちて、絶望したような表情を浮かべている。
(あぁ、私の人生...終わった...。)
しかも、レリシアはヴァインにこれが最後のチャンスだと言われたことも思い出した。
しばらく考えた末に、レリシアはもう全てを諦め、自暴自棄になる道を選んだ。
「あは、あははは、あははははは」
「ど、どうしたんだレリシア?」
ヴァインがドン引きしていたが、そんなはもう関係ない。
(そうよ、相手が何か言ってきても言い返したら良いだけじゃない。)
令嬢としての思考を完全に放棄し、レリシアは覚悟を決めた。
「それで?いつ行けばいいのですか?」
「あ、あぁ1週間以内とは言われているが...。」
もっと駄々をこね、行きたくないと喚き散らすと思っていたヴァインは驚いていた。
「そうですか。では今。」
「何だって?」
「今です。今すぐ向かいます。」
「.........は?」
ヴァインの困惑を尻目に、レリシアは側近のメイドに指示を飛ばした。
「エルザ、今すぐ部屋の荷物をまとめて頂戴!」
「かしこまりました。」
すると即座にエルザと呼ばれたメイドとレリシアは部屋を出ていった。
呆気に取られ、目を剥いて驚いていたヴァインだったが、しばらくすると深い溜息をついた。
「はぁ......胃が痛い。」
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そうして、レリシアはクリル家に向かった。
しかし、早速のように結納金に文句を付けてきたクリル・ダーラと口論になり、また婚約を破棄された。
「どうしよう......胃が痛い............」
そう呟きながらレリシア・シュヴァイレンは亀のような速度で家に帰るのだった。
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