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帝国への旅立ち 編
許して!お父様!
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庭で、趣味の乗馬を楽しんでいたヴァインの元に、1人の若い兵士が慌ただしく走ってきた。
「ご報告申し上げます!」
その言葉にヴァインは危険を感じた。
何となく、予想はしていた。
しかしやはり、自分の娘を信じたい。
そして、若い兵士から紡がれた言葉はヴァインの、その一縷の望みすら無慈悲に打ち砕くものだった。
「レリシアお嬢様が、お戻りになられました...。」
ヴァインは、落馬した。
---------------------------------------
「あぁ、それで?」
レリシアは必死に事情を説明したが、ベットで横たわるヴァインから返ってきた言葉はそれだけだった。
「私は言ったな?これで最後だと。」
「違うのですお父様。」
「何も違わないぞ?」
レリシアはその言葉に酷く落胆した。
(あぁ、これからどうなるのかしら。)
これだけ婚約破棄されてしまうと、恐らく社交界にもろくに出られないだろう。
(全て相手側の問題なのに。)
そう思ったレリシアだったが、これで最後と言われていた手前、何をされてもおかしくないだろう。
諦めたレリシアは、ヴァインに自分の処遇について尋ねた。
「もうどうでもいいです。どうせ幽閉か勘当でしょう?」
ヴァインにそう言うと、ヴァインは呆れた様な顔をして、とんでもないことを言い始めた。
「はぁ、どこまで面の皮が厚いんだお前は...。あぁそれと、お前の処遇についてだが、お前には旅をしてもらおうと思う。」
「...え?」
レリシアは目を丸くした。
「えっと、それはどういう?」
「目的地は、デオリア帝国の帝立デオリア魔法学校だ。」
デオリア魔法学校は、大陸トップレベルの魔法学校で、偉大な魔道士になる為の登竜門とさえ呼ばれるような場所だ。
レリシアは急な展開に状況が読み込めていなかった。
「え?私が?あのデオリア魔法学校に行くのですか?」
「そうだ、あそこの学長と少し面識があってな。」
(いやそれコネ入学と言うやつなのでは...?)
レリシアはそう言いそうになったが、そっと心の中にしまっておいた。
「マジですか?」
「マジだ。」
「え?私、魔術学んだことないですよ?」
「だから学びに行けと言っている。」
どうやら本当の話らしい。
たちまち部屋は静まり返り、外では小鳥がピヨピヨと囀っている。
「どうした?今すぐ行かないのか?」
レリシアは、ニヤニヤしながら問いかけてくるヴァインにかなり腹が立ったが、ここで口車に乗せられてしまったら彼の思うツボだと思い、怒りをぐっと堪えた。
「えぇ、そうですね。では、1週間後の正午に向かいますわ。」
あからさまにヴァインはガッカリしていたが、
「わかった、では馬車を手配しておく。帝国へ着くのには、最低2週間はかかるだろうがまぁ...気合いだ、気合い。」
と、捉えようによってはかなり無責任な返事をした。
レリシアは、心の中で、もう一度落馬しろと願ったのだった。
---------------------------------------
~1週間後~
遂に出発の日、レリシアは父と母に挨拶をしにいった。
父のヴァインは
「お前はもう社交界では生きていけないだろうから、魔法を身につけて、一人で生きれるようになったと思ったら帰ってきなさい。」
と言った。
レリシアは自分のことをちゃんと考えていてくれたんだなと感じて、少し感動した。
そして、ここまでの婚約破棄に全く干渉してこなかった、放任主義の母、ラミエにも挨拶をしに行った。
彼女は、
「頑張りなさい。私はレリシアを信じているわ。」
といつものように穏やかな口調で応援をしてくれた。
自由にのびのびと育ててくれた母と、時に厳しく、人としての礼節を教えてくれた父にしばしの別れを告げ、レリシアはデオリア帝国行きの馬車に乗り込むのだった。
「ご報告申し上げます!」
その言葉にヴァインは危険を感じた。
何となく、予想はしていた。
しかしやはり、自分の娘を信じたい。
そして、若い兵士から紡がれた言葉はヴァインの、その一縷の望みすら無慈悲に打ち砕くものだった。
「レリシアお嬢様が、お戻りになられました...。」
ヴァインは、落馬した。
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「あぁ、それで?」
レリシアは必死に事情を説明したが、ベットで横たわるヴァインから返ってきた言葉はそれだけだった。
「私は言ったな?これで最後だと。」
「違うのですお父様。」
「何も違わないぞ?」
レリシアはその言葉に酷く落胆した。
(あぁ、これからどうなるのかしら。)
これだけ婚約破棄されてしまうと、恐らく社交界にもろくに出られないだろう。
(全て相手側の問題なのに。)
そう思ったレリシアだったが、これで最後と言われていた手前、何をされてもおかしくないだろう。
諦めたレリシアは、ヴァインに自分の処遇について尋ねた。
「もうどうでもいいです。どうせ幽閉か勘当でしょう?」
ヴァインにそう言うと、ヴァインは呆れた様な顔をして、とんでもないことを言い始めた。
「はぁ、どこまで面の皮が厚いんだお前は...。あぁそれと、お前の処遇についてだが、お前には旅をしてもらおうと思う。」
「...え?」
レリシアは目を丸くした。
「えっと、それはどういう?」
「目的地は、デオリア帝国の帝立デオリア魔法学校だ。」
デオリア魔法学校は、大陸トップレベルの魔法学校で、偉大な魔道士になる為の登竜門とさえ呼ばれるような場所だ。
レリシアは急な展開に状況が読み込めていなかった。
「え?私が?あのデオリア魔法学校に行くのですか?」
「そうだ、あそこの学長と少し面識があってな。」
(いやそれコネ入学と言うやつなのでは...?)
レリシアはそう言いそうになったが、そっと心の中にしまっておいた。
「マジですか?」
「マジだ。」
「え?私、魔術学んだことないですよ?」
「だから学びに行けと言っている。」
どうやら本当の話らしい。
たちまち部屋は静まり返り、外では小鳥がピヨピヨと囀っている。
「どうした?今すぐ行かないのか?」
レリシアは、ニヤニヤしながら問いかけてくるヴァインにかなり腹が立ったが、ここで口車に乗せられてしまったら彼の思うツボだと思い、怒りをぐっと堪えた。
「えぇ、そうですね。では、1週間後の正午に向かいますわ。」
あからさまにヴァインはガッカリしていたが、
「わかった、では馬車を手配しておく。帝国へ着くのには、最低2週間はかかるだろうがまぁ...気合いだ、気合い。」
と、捉えようによってはかなり無責任な返事をした。
レリシアは、心の中で、もう一度落馬しろと願ったのだった。
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~1週間後~
遂に出発の日、レリシアは父と母に挨拶をしにいった。
父のヴァインは
「お前はもう社交界では生きていけないだろうから、魔法を身につけて、一人で生きれるようになったと思ったら帰ってきなさい。」
と言った。
レリシアは自分のことをちゃんと考えていてくれたんだなと感じて、少し感動した。
そして、ここまでの婚約破棄に全く干渉してこなかった、放任主義の母、ラミエにも挨拶をしに行った。
彼女は、
「頑張りなさい。私はレリシアを信じているわ。」
といつものように穏やかな口調で応援をしてくれた。
自由にのびのびと育ててくれた母と、時に厳しく、人としての礼節を教えてくれた父にしばしの別れを告げ、レリシアはデオリア帝国行きの馬車に乗り込むのだった。
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