先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。

bara10jisya

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真の女優?

先生、これは18禁乙女ゲームじゃありません。

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*********


私は先生が怒ったところを見たことがない。

私も、先生の言動に腹が立った記憶など無く、先生の方も、私が非の打ちどころのない所為か、喧嘩に成ったことがなかったのだ。


*********




・・・・――――早朝5時。

私を抱き締めぐっすり眠っている先生を、起こさないようにベッドから抜け出し、支度をした後、枕元に手紙を置き、しばらく先生の決して見飽きる事のない、美し過ぎる寝顔を眺める。

先生を見るのが、好きで好きでしょうがない。
その無防備な姿が、長い睫が、ちょっと稚く見えて愛しさに胸が詰まる。

――――・・・これが土論だったら、マジックで悪戯書きするところだが、先生に悪戯書きしなかった事が、悔やまれる!


こんな寝姿見せられたら、未練たらたらで、立ち去ろうにも、体が動かない!
・・・・いっそ思う存分悪戯書きしてから去ろうか。
未練のなせる技なのか、どうにも悔いが残る。

何度も足が止まる。

前に、別れ話をした時、先生は、自分のお腹に子供が出来たから、妊娠させた私に父親として、責任を取ってくれと言った。
私は、暗黒世界へどっぷりと引きこもろうと、既に首まで浸かっている状態だったにも拘らず、心の中で、爆笑して転げ回った。

先生はいつも、私の常識を覆す120点の言動を返してくる人だ・・・・。



愚図愚図している内に、先生が身じろぎした!

まだ目は閉じたままだが、私の温もりを探して、手のひらが彷徨う。

マズイ!!此処は自宅の12畳の寝室。
研究室なら隠れる所は、結構在るが、ここは中央のキングサイズのベッドを挟んで、サイドテーブルと向かい側にドレッサーしか家具らしい物はない!!
右手のドアの隣にある、ウォークインクローゼットの中に潜り込みたいところだが、物音をさせたら絶対に気付かれるだろう!!

私は咄嗟に、左手のベランダ方向へ移動し、まだ閉じられたままだった厚いグレーのカーテンの裏に隠れ、気配を消す。

動いちゃ駄目だ。動いちゃ駄目だ。
そうだ!私は『動かない鳥』、ハシビロコウになるのだ!!

「私はハシビロコウ、ハシビロコウ」と呪文のように一心に唱え、私はハシビロコウ先輩になり切った!!

カーテンから顔をチョロッと出し、様子を窺う。


目を覚ました先生が、私が隣に居ない事に気付き飛び起きた!
不安そうに視線が揺れ動く、私の気配を探っているようだ。
そして、不意に傍らの手紙を見つけ、カーテン越しから漏れる朝日を頼りに目を凝らしながら読む。

読み終えた先生は、一瞬ポカンと口を開けた後、血の気が失せ、電光石火で部屋を飛び出したものの、その拍子に扉の角に足の小指をぶつけた!!
言葉も無く中腰で石像と化した先生を、心底同情した。うんうん痛いよねぇ!!
そして、脅威の回復力を見せ、でも、ちょっとよろついたのか、再びあっちこっちに体をぶつける音を盛大に鳴らしながら、出て行ってしまった。

全裸で。

その間15秒。
裸足で魚を咥えたドラ猫を追いかける、愉快な人を超えた。

いやいや、さすがに戻って来るだろう。公然猥褻罪で捕まる前に。
すると、リビングの方で、話し声が聞こえて来た。
どうやら外に飛び出す事を断念し、電話をしているらしい。穏やかな先生らしからぬ、苛立った声で。
そして、着替えの為か、電話の子機を持ち喋りながらこちらに戻って来た。

そして、停まることなく急ぎ足で私の方に向かって来る!!

いやぁ~~~~~!!

先生は、薄暗がりなのが、気に障ったのか、鬱陶しい様子でカーテンを乱暴に開けた!!
その拍子に、直ぐ傍らで固まっていた私と目が合う。

その狂気さえ滲ませた底光りする瞳。

「ごめんなさい!!」と言いたいが、フリーズして言葉が出てこない。

先生が巨大に見える。
こんな先生は知らない。
どうしよう!!


――――・・・・あれ?

確かに目が合った筈だが、意外にも先生は一瞬素通りし、二度見した!
本当に二度見した人を初めて見た気がする。


「「・・・・・・・・・・・・・」」


先生は、無言で私を見つめた後、

頭痛を抑えるように、手を額に押し当て、悩む。

「・・・・・・・~~~~~~~~!!!!!!?????・・・・~~~~~・・・―――――・・・もしかして―――・・・葵、なのか?」

他に誰だと言うんだ。
だが、これ以上怒らせてはマズイので、素直にコクンと、頷いておく。

「っ!!!!!ぶーーーーーーーーーーーー!!!アッハはははは・・くくくく・・・・・・な、なんで・・・・っっ!!ぶーーーー・・・」

――――・・・・先生が壊れた。

涙を流して笑い転げている。
ハッ!!まさか!!眠っているうちに顔に、らくがきされていたのだろうか?!
まさに飛ぶ様に、ドレッサーの前に立つ。

そしてドレッサーの前には――――・・・・、




・・・・本当に全長1mほどのハシビロコウ先輩が、ご光臨されていた。






****



「話し合おうか。」

やっと笑いが治まったのか、さっきとは、別人のような穏やかな様子で先生が話しかけてくれる。
私は、心底ホッとしながら、厳かに頷く。

「・・・その前に・・・・ぶーーーっっ!!・・だ・・だめだ早く元に戻ってくれないか?・・くくく・・」

かなりの、大ウケである。

「どうやって?」

コテンと首を傾げた。

「!!!!!」



「「・・・・・・・・・・・・・・」」



どうやら、ハシビロコウとして、第2の人生を送る事になりそうだ。




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