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第二章 初学院編
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俺はそういい終わると、アルベルト殿下に微笑んだ。アルベルト殿下は、ふっと笑うと一つ頷いた。
「なるほど、気にいった。アース・ジーマル、今から俺の側近にならないか? お前みたいなやつは大歓迎だ。」
「お待ちください! 兄上と言えども、それは容認できません。」
そういうとキルは、俺とアルベルト殿下の間に割り込んできた。キル、それはすごくうれしんだけど、多分冗談だと思うな………。
「ふははははは! キル、それでいい。俺も弟の側近を引き抜くようなことはしたくない。第一、アースとマクウェルを一緒に置いておいたら、目も当てられないからな。ただ、側近として有能な点は頭に入れておけ。まだ対外的には能力を示していないが、潜在能力と人柄はかなりのものだ。自分の側近なら、しっかり守れ。いいな?」
やはり冗談だったか。それにしても、マクウェル兄上は皆から変人扱いされているのだろうか? 大変心配である。あと、俺は側近として有能なのか? まだ何もしていないと思うんだけどな………。
キルは冗談を本気でアルベルト殿下に食って掛かったことが恥ずかしかったのか、顔を赤くして引き下がった。
「さあお前たち、仕事だ。各々やることはわかっているな? 一か月以内にまとめ上げて、陛下に報告できるようにするぞ。じゃあ、各自仕事に当たれ。」
アルベルト殿下がそういうと、兄上やアルフォンスさん、そして他の側近の人たちが全員部屋から出ていった。特に指示を出していないのに、こんなに素早く動けるのか………。俺は全くできないと思うけどな………。
「俺も行くが、アース。お前とは今度ゆっくり茶を飲みたいな。この件が解決したら、誘ってもいいか? マクウェル抜きで。」
マクウェル兄上………。
「はい、喜んで。」
「それからキル、兄から一つアドバイスだ。サプライズは大変すばらしいことだ。だが、サプライズで相手に隠す内容は、相手が喜ぶことや笑顔になるものにしておけ。お前がアースに隠していたものは、アースが喜ぶようなものだったか? ここは他に誰も来ないから、二人で茶でも飲みながらゆっくり過ごせ。積もる話もあるだろうからな。じゃあ、俺はいくな。」
アルベルト殿下はそういうと、さっさと出て行ってしまった。
え? サプライズの話をどこで聞いたんだ? あそこには誰もいなかったはずだけど………。勢いがある人だとは思ったけど、なかなかに侮れないようだ。流石、この国の第一王子殿下である。
「いいお兄さんだね。ちなみにキル、あれはサプライズではなくてドッキリだよ。」
「謝るから、もう忘れてくれ………。」
俺はしゃがみこんでいるキルをいったんおいておき、お言葉に甘えてここでのんびりすることにした。お菓子は色々あって、後はお茶か………。これ、どうやって淹れるのだろうか? お湯と茶葉を入れて、何分か蒸らしたりするんだっけか? 粉末かティーパックを誰か準備してくれーー!!
すると、肩に重さが加わった。見ると、キルが頭を俺の肩に乗せていた。
え? ナニコレ………。なんのご褒美だろうか? いやそれよりも、俺の許容量を限界突破している。このままでは昇天してしまう。
「キ、キルヴェスター殿下………? どうされたのですか? お体の調子が良くないですか?」
「………なんで敬語なんだ? それに、殿下はやめろ。」
「えーと、俺は側近になったわけですので、敬語の方が良いのかな………と?」
「俺は前に、敬語はいらないことと、「キル」と呼ぶことを許可している。それを撤回した覚えはない。」
うーんということは、まあいつも通りでいいということかな? わかりにくいというか、そういうところはキルらしいかな。
「わかったよ。ところで、なんで俺の肩で休んでいるんだ? あ、お茶の淹れ方わかる?」
「何だよお茶の淹れ方って、まったく………。………さっきは、ありがとう。」
「うん? あの汚名のことかな? それは何よりの重要事項だからね。俺は今までそれを直接聞く機会はなかったけど、初学院では陰口とかで耳に入るかもしれない。その時、この膨大な魔力をぶつけないための保険だよ、保険。」
実際、それを聞いたら我慢できるかどうかはわからない。初学院や対象を破壊しないためのいわば、事前対策でもある。
「それはうれしいけど、勘弁してくれ。もうほとんど聞くことはないから、安心してくれ。………本当に、表立て聞くことはないんだ。」
「わかったよ。ただ、俺はそのほとんどを無にしたいんだ。これは俺のわがままかな。それでいい?」
「ああ。」
「なるほど、気にいった。アース・ジーマル、今から俺の側近にならないか? お前みたいなやつは大歓迎だ。」
「お待ちください! 兄上と言えども、それは容認できません。」
そういうとキルは、俺とアルベルト殿下の間に割り込んできた。キル、それはすごくうれしんだけど、多分冗談だと思うな………。
「ふははははは! キル、それでいい。俺も弟の側近を引き抜くようなことはしたくない。第一、アースとマクウェルを一緒に置いておいたら、目も当てられないからな。ただ、側近として有能な点は頭に入れておけ。まだ対外的には能力を示していないが、潜在能力と人柄はかなりのものだ。自分の側近なら、しっかり守れ。いいな?」
やはり冗談だったか。それにしても、マクウェル兄上は皆から変人扱いされているのだろうか? 大変心配である。あと、俺は側近として有能なのか? まだ何もしていないと思うんだけどな………。
キルは冗談を本気でアルベルト殿下に食って掛かったことが恥ずかしかったのか、顔を赤くして引き下がった。
「さあお前たち、仕事だ。各々やることはわかっているな? 一か月以内にまとめ上げて、陛下に報告できるようにするぞ。じゃあ、各自仕事に当たれ。」
アルベルト殿下がそういうと、兄上やアルフォンスさん、そして他の側近の人たちが全員部屋から出ていった。特に指示を出していないのに、こんなに素早く動けるのか………。俺は全くできないと思うけどな………。
「俺も行くが、アース。お前とは今度ゆっくり茶を飲みたいな。この件が解決したら、誘ってもいいか? マクウェル抜きで。」
マクウェル兄上………。
「はい、喜んで。」
「それからキル、兄から一つアドバイスだ。サプライズは大変すばらしいことだ。だが、サプライズで相手に隠す内容は、相手が喜ぶことや笑顔になるものにしておけ。お前がアースに隠していたものは、アースが喜ぶようなものだったか? ここは他に誰も来ないから、二人で茶でも飲みながらゆっくり過ごせ。積もる話もあるだろうからな。じゃあ、俺はいくな。」
アルベルト殿下はそういうと、さっさと出て行ってしまった。
え? サプライズの話をどこで聞いたんだ? あそこには誰もいなかったはずだけど………。勢いがある人だとは思ったけど、なかなかに侮れないようだ。流石、この国の第一王子殿下である。
「いいお兄さんだね。ちなみにキル、あれはサプライズではなくてドッキリだよ。」
「謝るから、もう忘れてくれ………。」
俺はしゃがみこんでいるキルをいったんおいておき、お言葉に甘えてここでのんびりすることにした。お菓子は色々あって、後はお茶か………。これ、どうやって淹れるのだろうか? お湯と茶葉を入れて、何分か蒸らしたりするんだっけか? 粉末かティーパックを誰か準備してくれーー!!
すると、肩に重さが加わった。見ると、キルが頭を俺の肩に乗せていた。
え? ナニコレ………。なんのご褒美だろうか? いやそれよりも、俺の許容量を限界突破している。このままでは昇天してしまう。
「キ、キルヴェスター殿下………? どうされたのですか? お体の調子が良くないですか?」
「………なんで敬語なんだ? それに、殿下はやめろ。」
「えーと、俺は側近になったわけですので、敬語の方が良いのかな………と?」
「俺は前に、敬語はいらないことと、「キル」と呼ぶことを許可している。それを撤回した覚えはない。」
うーんということは、まあいつも通りでいいということかな? わかりにくいというか、そういうところはキルらしいかな。
「わかったよ。ところで、なんで俺の肩で休んでいるんだ? あ、お茶の淹れ方わかる?」
「何だよお茶の淹れ方って、まったく………。………さっきは、ありがとう。」
「うん? あの汚名のことかな? それは何よりの重要事項だからね。俺は今までそれを直接聞く機会はなかったけど、初学院では陰口とかで耳に入るかもしれない。その時、この膨大な魔力をぶつけないための保険だよ、保険。」
実際、それを聞いたら我慢できるかどうかはわからない。初学院や対象を破壊しないためのいわば、事前対策でもある。
「それはうれしいけど、勘弁してくれ。もうほとんど聞くことはないから、安心してくれ。………本当に、表立て聞くことはないんだ。」
「わかったよ。ただ、俺はそのほとんどを無にしたいんだ。これは俺のわがままかな。それでいい?」
「ああ。」
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