異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

文字の大きさ
24 / 166
第二章 初学院編

23

しおりを挟む
「キース。俺はまだ何も側近たる何かを示していないけど、皆に追いつけるように頑張るよ。だから、その時は少しでいいから俺のことを認めてくれると嬉しい。」



俺がそういうとキースは俺を一瞥した後、鼻で笑った。だけどこれは、キースが今後傷つかないように教えておきたい。


「それからキース。この場では明言できないけど、一つキース自身のために忠告しておくよ。アルフォンスさんと話せる時間が取れたときに、「悪魔の呪い」について聞いてみて。今後キースが、それを知った時に後悔しないためにも………。」


俺がそういうと、聞いているのかいないのかわからなかったが、キースは絵を描き始めた。無視されたけど、言葉自体は聞こえているといいけど………。




「皆さん、お騒がせしてすみませんでした。」


そう言った後、俺も座りなおした。キースとは難しい関係になりそうだけど、裏を返せばキースはキルのことをそれだけ大切にしているということだ。二人に何があったのかも、いずれは聞いてみたいな………。








そうして、微妙な空気の中、絵を描いていると、次第にぽつぽつと会話をする声が聞こえてきた。静寂よりは心地いから、もっとみんなにはしゃべってほしいな。

すると、ローウェルとジールが声をかけてくれた。


「アースは絵を描くのは初めてなんだよな? それにしては結構うまいと思うけど、誰かに教わったことがあるのか?」


「教わったことはないかな。座学は自習で何とか出来たけど、実技の方は難しくてね。心配だったけど、これなら大丈夫そう?」


「おー、そうだな。確実に言えることは、ジールよりは大丈夫だと思うぞ。」


ローウェルはそういうと、ジールの絵を指し示した。見ると、まあ何とも言えない絵があった。下手とまではいえないんだけど、コメントが思い浮かばないようなそんな絵だ。俺はとりあえず、苦笑いを浮かべておいた。


「大きなお世話ッスよ、ローウェル! それはおいておくとして、アースは自己紹介の時魔法を頑張りたいと言ってたから、将来は魔導士になりたいんッスか?」


「騎士よりは、魔導士になりたいかな。ステータスも魔導士寄りだったからっていうのもあるかな。」


「そうなんっスね! あ、属性とかって聞いてもいいッスか? もちろん個人情報なので、言いたくなければ大丈夫ッスよ!」


「それは俺も気になるな、アース?」


ジールに追随して、ローウェルも乗りかかってきた。
俺自身は側近同士だし、開示しておいた方が良いと思う。それに、元々自重する気はないしな。能力があるのに、それを隠すような奴の方がムカつくからな。しかし一応、キルにお伺いを立てた方が良いな。俺はキルの方を見て、判断を仰いだ。


「属性は構わないが、魔力量はまだ………。いや、魔法実技の授業で露呈する方が問題になりそうか………。隠そうとして隠せるレベルではないしな。」



若干失礼なような気がするけど、まあいいか。俺は石板の写しの紙を内ポケットから取り出して、二人に見せた。



「「………は?」」



紙を見た二人はそのまま固まってしまった。やはり初見であれを見ると、誰でも固まってしまうようだ。あの兄上ですら固まっていたのだから、仕方がない。



「えーと、二人とも大丈夫? あ、そうだ。魔導士志望のジールに聞きたいんだけど、召喚魔法ってどんな魔法か知ってる? 教科書を読んでもあまり情報が書かれていないんだけど………。」


俺がそういうと、キースが二人から紙を奪ってその紙を凝視し始めた。



「………とんでもないッスね。正直、驚いたッス。祖父上が俺の知る中では最強ッスけど、潜在能力だけなら祖父上をしのぐかもしれないッス。それから、召喚魔法ッスか? それについては、もう一人の使用者しか知らないとされているッス。だから、何も情報がないんっスよ。」


「ちなみにだけど、その使用者って誰なの?」


「………アイバーン帝国の皇帝陛下ッス。」


なるほど。それなら余計に、情報が出回らないわけだ。唯一の召喚魔法の使い手だったら、それを秘匿したいだろうし、皇帝陛下の個人情報ともなれば帝国民にすら明かされることはないだろう。でも困ったな、属性としては持っていても、どうやって使用すればいいのかわからないままだ。


「なるほどね。教えてくれてありがとう、ジール。ローウェルも大丈夫そう?」


俺がそういうと、放心状態から意識が回復したようで、ローウェルは大きく息を吐いた。



「流石は主だ。こんな人材を見つけてくるとは………。アース、間違っても無茶だけはするなよ。ゆっくりでいいから、着実に力をつけていくんだ。………それが、一番の近道だからな。」


ローウェルの言葉には妙に力がこもっていた。それだけ期待してくれているということだろうか?



「うん、ありがとう。心に刻んでおくよ。」


すると、タイミングよくチャイムが鳴った。次は待ちに待った昼食である。学食のご飯は美味しいと聞いていたのでとても楽しみである。








――









俺たちは学食にやってきた。どうやら一般的な学食みたいな感じで、自分で並んで料理を受けとる方式ではないようだ。貴族ということで、注文をすると係員が料理を持ってくるらしい。学食というよりは、レストランに近いな。

ってあれ? 普通に中に座ると思っていたのに、キルたちは中庭の方へと歩いて行った。確かにそっちにも大人数で座る用のテーブルがあるようだけど、俺たちで座るのには大きすぎる。

俺は気になって、ローウェルに小声で尋ねてみた。すると、「まあ、見たらわかるから」と言われた。よくわからなかったが、流れに身を任せることにした。





外に出るとキルは大きなテーブルの真ん中に座った。そして俺たちはというと、近くの小さなテーブルに四人で座った。なぜこういう形になったのかはすぐにわかった。続々と生徒が集まってきたのだ。男女問わずに、「殿下、ご一緒してもいいですか?」と言い、大きなテーブルに座りだした。

なるほど、これは人気者と呼ぶのにふさわしい光景だ。キルとご一緒したい人が多いから、こういう風に大きなテーブルで一緒に食べているようだ。全員で三十人くらいいて、Aクラスではない生徒もいるみたいだ。生徒間でもローテーションがあって、日替わりで来ているのかもしれない。

キルは色々な生徒と笑顔で会話をしているようだ。少し寂しい気もするが、多くの人から慕われているようでそれ以上に嬉しい気持ちだ。



「さ、俺たちも注文しようぜ。アースは初めてここの料理を食べるんだよな? おすすめはハンバーグだぜ。」

「いや、オムライスッスよ! ここのオムライスは絶品ッスよ!」


メニューを開くと、どれもおいしそうだった。だけど、二人がおすすめと言ってくれるなら今日と明日で先に食べてみようかな。


「ありがとう二人とも。今日はローウェルのおすすめのハンバーグを食べてみようかな。ジールのおすすめのオムライスは明日食べてみるね。………キースはこの中だと、どの料理が好きなの?」



俺がそういうと、キースは立ち上がった。まだ話しかけるのは、まずかったかな………。



「俺は殿下の後ろで護衛をする。三人で食べていろ。」

「俺も数に入れてくれてありがとう。食べたら代わるから、キースもしっかり食べなよ。」


キースは「こいつ、何を言っているんだ?」とでも言いたげな顔をしながら、キルの元へと向かっていった。



しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。 ボクの名前は、クリストファー。 突然だけど、ボクには前世の記憶がある。 ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て 「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」 と思い出したのだ。 あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。 そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの! そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ! しかも、モブ。 繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ! ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。 どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ! ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。 その理由の第一は、ビジュアル! 夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。 涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!! イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー! ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ! 当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。 ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた! そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。 でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。 ジルベスターは優しい人なんだって。 あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの! なのに誰もそれを理解しようとしなかった。 そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!! ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。 なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。 でも何をしてもジルベスターは断罪された。 ボクはこの世界で大声で叫ぶ。 ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ! ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ! 最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ! ⭐︎⭐︎⭐︎ ご拝読頂きありがとうございます! コメント、エール、いいねお待ちしております♡ 「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中! 連載続いておりますので、そちらもぜひ♡

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...