異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第二章 初学院編

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「キース。俺はまだ何も側近たる何かを示していないけど、皆に追いつけるように頑張るよ。だから、その時は少しでいいから俺のことを認めてくれると嬉しい。」



俺がそういうとキースは俺を一瞥した後、鼻で笑った。だけどこれは、キースが今後傷つかないように教えておきたい。


「それからキース。この場では明言できないけど、一つキース自身のために忠告しておくよ。アルフォンスさんと話せる時間が取れたときに、「悪魔の呪い」について聞いてみて。今後キースが、それを知った時に後悔しないためにも………。」


俺がそういうと、聞いているのかいないのかわからなかったが、キースは絵を描き始めた。無視されたけど、言葉自体は聞こえているといいけど………。




「皆さん、お騒がせしてすみませんでした。」


そう言った後、俺も座りなおした。キースとは難しい関係になりそうだけど、裏を返せばキースはキルのことをそれだけ大切にしているということだ。二人に何があったのかも、いずれは聞いてみたいな………。








そうして、微妙な空気の中、絵を描いていると、次第にぽつぽつと会話をする声が聞こえてきた。静寂よりは心地いから、もっとみんなにはしゃべってほしいな。

すると、ローウェルとジールが声をかけてくれた。


「アースは絵を描くのは初めてなんだよな? それにしては結構うまいと思うけど、誰かに教わったことがあるのか?」


「教わったことはないかな。座学は自習で何とか出来たけど、実技の方は難しくてね。心配だったけど、これなら大丈夫そう?」


「おー、そうだな。確実に言えることは、ジールよりは大丈夫だと思うぞ。」


ローウェルはそういうと、ジールの絵を指し示した。見ると、まあ何とも言えない絵があった。下手とまではいえないんだけど、コメントが思い浮かばないようなそんな絵だ。俺はとりあえず、苦笑いを浮かべておいた。


「大きなお世話ッスよ、ローウェル! それはおいておくとして、アースは自己紹介の時魔法を頑張りたいと言ってたから、将来は魔導士になりたいんッスか?」


「騎士よりは、魔導士になりたいかな。ステータスも魔導士寄りだったからっていうのもあるかな。」


「そうなんっスね! あ、属性とかって聞いてもいいッスか? もちろん個人情報なので、言いたくなければ大丈夫ッスよ!」


「それは俺も気になるな、アース?」


ジールに追随して、ローウェルも乗りかかってきた。
俺自身は側近同士だし、開示しておいた方が良いと思う。それに、元々自重する気はないしな。能力があるのに、それを隠すような奴の方がムカつくからな。しかし一応、キルにお伺いを立てた方が良いな。俺はキルの方を見て、判断を仰いだ。


「属性は構わないが、魔力量はまだ………。いや、魔法実技の授業で露呈する方が問題になりそうか………。隠そうとして隠せるレベルではないしな。」



若干失礼なような気がするけど、まあいいか。俺は石板の写しの紙を内ポケットから取り出して、二人に見せた。



「「………は?」」



紙を見た二人はそのまま固まってしまった。やはり初見であれを見ると、誰でも固まってしまうようだ。あの兄上ですら固まっていたのだから、仕方がない。



「えーと、二人とも大丈夫? あ、そうだ。魔導士志望のジールに聞きたいんだけど、召喚魔法ってどんな魔法か知ってる? 教科書を読んでもあまり情報が書かれていないんだけど………。」


俺がそういうと、キースが二人から紙を奪ってその紙を凝視し始めた。



「………とんでもないッスね。正直、驚いたッス。祖父上が俺の知る中では最強ッスけど、潜在能力だけなら祖父上をしのぐかもしれないッス。それから、召喚魔法ッスか? それについては、もう一人の使用者しか知らないとされているッス。だから、何も情報がないんっスよ。」


「ちなみにだけど、その使用者って誰なの?」


「………アイバーン帝国の皇帝陛下ッス。」


なるほど。それなら余計に、情報が出回らないわけだ。唯一の召喚魔法の使い手だったら、それを秘匿したいだろうし、皇帝陛下の個人情報ともなれば帝国民にすら明かされることはないだろう。でも困ったな、属性としては持っていても、どうやって使用すればいいのかわからないままだ。


「なるほどね。教えてくれてありがとう、ジール。ローウェルも大丈夫そう?」


俺がそういうと、放心状態から意識が回復したようで、ローウェルは大きく息を吐いた。



「流石は主だ。こんな人材を見つけてくるとは………。アース、間違っても無茶だけはするなよ。ゆっくりでいいから、着実に力をつけていくんだ。………それが、一番の近道だからな。」


ローウェルの言葉には妙に力がこもっていた。それだけ期待してくれているということだろうか?



「うん、ありがとう。心に刻んでおくよ。」


すると、タイミングよくチャイムが鳴った。次は待ちに待った昼食である。学食のご飯は美味しいと聞いていたのでとても楽しみである。








――









俺たちは学食にやってきた。どうやら一般的な学食みたいな感じで、自分で並んで料理を受けとる方式ではないようだ。貴族ということで、注文をすると係員が料理を持ってくるらしい。学食というよりは、レストランに近いな。

ってあれ? 普通に中に座ると思っていたのに、キルたちは中庭の方へと歩いて行った。確かにそっちにも大人数で座る用のテーブルがあるようだけど、俺たちで座るのには大きすぎる。

俺は気になって、ローウェルに小声で尋ねてみた。すると、「まあ、見たらわかるから」と言われた。よくわからなかったが、流れに身を任せることにした。





外に出るとキルは大きなテーブルの真ん中に座った。そして俺たちはというと、近くの小さなテーブルに四人で座った。なぜこういう形になったのかはすぐにわかった。続々と生徒が集まってきたのだ。男女問わずに、「殿下、ご一緒してもいいですか?」と言い、大きなテーブルに座りだした。

なるほど、これは人気者と呼ぶのにふさわしい光景だ。キルとご一緒したい人が多いから、こういう風に大きなテーブルで一緒に食べているようだ。全員で三十人くらいいて、Aクラスではない生徒もいるみたいだ。生徒間でもローテーションがあって、日替わりで来ているのかもしれない。

キルは色々な生徒と笑顔で会話をしているようだ。少し寂しい気もするが、多くの人から慕われているようでそれ以上に嬉しい気持ちだ。



「さ、俺たちも注文しようぜ。アースは初めてここの料理を食べるんだよな? おすすめはハンバーグだぜ。」

「いや、オムライスッスよ! ここのオムライスは絶品ッスよ!」


メニューを開くと、どれもおいしそうだった。だけど、二人がおすすめと言ってくれるなら今日と明日で先に食べてみようかな。


「ありがとう二人とも。今日はローウェルのおすすめのハンバーグを食べてみようかな。ジールのおすすめのオムライスは明日食べてみるね。………キースはこの中だと、どの料理が好きなの?」



俺がそういうと、キースは立ち上がった。まだ話しかけるのは、まずかったかな………。



「俺は殿下の後ろで護衛をする。三人で食べていろ。」

「俺も数に入れてくれてありがとう。食べたら代わるから、キースもしっかり食べなよ。」


キースは「こいつ、何を言っているんだ?」とでも言いたげな顔をしながら、キルの元へと向かっていった。



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