異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第二章 初学院編

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昼休み。男子一同はグラウンドに集まっていた。これから、「ザルケ」という球技を行うらしい。ザルケの説明を聞いた感じ、サッカーに似ている感じのスポーツの様だった。基本足でボールを扱うようだ。俺は何を隠そう、中高サッカー部に所属していた。俺のハットトリックをお見せしようかと思ったけど、少し考えてみてほしい。

確かに小学生の時は給食を食べたらすぐに、サッカーやらドッヂボールをしていた。エネルギーのあまりまくる子供だったから。しかし、アラサーにそれはキツイ。精神はアラサーのため、食後にすぐにスポーツをするなんて考えられない。加えて、この少し前まで病弱だった体力のない体である。

しかし、ここは他のクラスメイトや同学年の生徒と距離を縮めるチャンスである。ゲボを吐いてでも………、吐く前に辞めた方がよさそうだな………。とにかく、頑張りたい。



「アース、本当にやるのか? 体調は大丈夫なのはわかっているけど、それでも心配だな。」


キルは俺が参加することにあまり賛成ではないらしい。確かに以前の俺を知る人にとっては、あまり受け入れられないかもしれない。だけどスポーツ程度でへばっていては、魔法戦なんてもってのほかである。この腕時計で体調がよくなっている今やらずにして、いつやるというのだ。


「そのボール、ちょっと貸してみ?」



俺がそういうと、キルは渋々といった感じでボールを渡してくれた。やるのは久しぶりだけど、多分大丈夫だと思うけど………。

俺は思い出すようにゆっくりと、リフティングを始めた。最初は久しぶりの動きでぎこちなかったが、徐々に前のようにできるようになった。


「うわ、すげーーー!」
「かっこいい! 俺にも教えてください!」


すると、周りの男子生徒から声がたくさん上がった。やはり、どこの世界でも小学生の男子は似たようなものだな………。

俺は空中にボールをけり上げて、それをきれいにキャッチした。そして、ボールをキルに渡した。


「な? 大丈夫だろ?」


キルはボールを受け取ると、グラウンドへと駆け出していった。








――








五分後。

俺は木陰にあるベンチで休んでいた。俺は八歳児の体力を完全に舐めていた。何で子供ってあんなに体力が有り余っているんだ? 俺の貧弱な体力では、八歳の子供たちと戯れるのは五分が限界だった。

五分だぞ、五分! あまりにも自分が情けなさ過ぎる。五分程度でバテテしまった俺を、男子生徒たちはなにも見なかったかのようにふるまってくれた。おじさんには、その優しさが胸に刺さるんだよ………。



「あの、よろしければこちらのタオルをお使いくださいませ!」
「こちらにはお飲み物がございますわ!」


え? 後ろを振り向くとおそらくクラスメイトの二人が、タオルと飲み物をもって立っていた。ここには男子生徒だけではなく、それを見るために女子生徒も結構集まっていた。まあ目的はキルであったり、側近仲間だったりすると思うけど。見ていて思ったのだけど、側近組も結構人気があるようだ。まあ、顔良し家柄よしだから、放っておかれるわけがないか。


「ありがとうございます。えーと、申し訳ございません。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「初めまして。わたくしはマリア・テレシーと申します。以後、お見知りおきくださいませ。」
「お初にお目にかかりますわ。わたくし、ムンナ・シーコイズと申しますわ。」


テレシー侯爵家に、シーコイズ伯爵家のご令嬢か………。どちらも、美少女である。俺なんかに、何か用があるのだろうか?


「テレシ―様とシーコイズ様ですね。アース・ジーマルと申します。よろしくお願いします。こちらは本当に、私が使用してもよろしいのでしょうか?」


「ええ、是非お使いになってくださいませ。」


「ありがとうございます。えーと、俺に何かご用件がおありなのでしょうか?」


俺がそういうと、二人は少しもじもじしながら手を胸の前で結んだ。あ、これは女の子が何かお願いをするときの必殺ポーズだ。



「あの………できれば、キルヴェスター殿下のお話をお聞かせいただけないでしょうか?」



あーやっぱり、そういうことか。キルが近くにいるときは聞きにくいけど、少し外れた俺を捕まえてキルの話を聞こうとしたわけか。

これは隠れゲイあるあるの一つだと思う。仲のいい気になっている友人の話を女子から聞かれたり、彼女になる手助けを頼まれたりするあれである。これはなかなかきついんだよな………。まあ話すくらいなら、構わないけどあんまりキルのこと知らない気がするな………。


「俺に話せることでよければ、構いませんよ。俺の横でよければ、お座りになられますか?」

「「はい、喜んで!」」



俺がそういうと、二人はやけに食い気味にベンチに腰かけた。そんなに期待されても、キルについて話せることは少ないんだよな………。








そうしてキルのことについて根掘り葉掘り聞かれた俺は、意気消沈していた。何せ、ほとんどわからなかったから。キルの好きな食べ物や色、飲み物や誕生日に至るまでそんなに難しくないものを知らなかった。一応、「側近になって日が浅いので」と躱していたが、あまりにも知らなすぎる俺に、二人は飽きないのだろうか?



「もう少し聞きたいことがありますので、よろしければお茶会にお誘いしてもよろしいでしょうか?」



え、お茶会? そういえば、お茶会に参加したことないよな? これからそういう機会があるだろうし、この年でお茶会に参加したことがないのはまずいよな………? キルに言えば、教えてくれるかな? 



「そうですね………お茶会には慣れていないので、機会があれば構いませんよ。」


ガッツリ断りたかったけど、よさげな理由が思いつかなかったので「機会があれば」と、逃げることにした。



「まあ、嬉しいですわ! では早速、日にちを………。あら、殿下がこちらに向かってきますわ!」



殿下? 見ると熱そうに前ボタンを開けているキルが、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。

こういうスポーツ直後の好きな人のしぐさって、グッとくるよな。腹チラとか腹チラとか………って、煩悩よ出てくるな!




「ではごきげんよう、ジーマル様。あ、よろしければ次回からアース様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」

「私たちのこともできれば、名前でお呼びくださいませ。」



まあ、本人が来たら退散するよな。名前で呼ぶくらいはまあ、構わないよな。相手も呼んでいいと言っているし。


「構いませんよ。タオルと飲み物、ありがとうございました。新しいものをご用意いたしますね。」


「お気になさらないでくださいませ。では、ごきげんよう。」
「ごきげんようですわ。」

二人はそういうと、ご令嬢とは思えない速度で退散していった。洗って返すとか言わなくて、正解だったよな………? 俺の使ったタオルなんかいらないとか言われたら、数日寝込みそうだ。
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