異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第二章 初学院編

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「失礼ながらアルベルト殿下、少しばかり事実と違うようですがどなたからお聞きになったのでしょうか?」



俺がそう聞くと、アルベルト殿下はニヤッと笑った。あ、なんかとなく嫌な予感がする………。



「調べた情報を俺が解釈した結果だが、何か違ったか?」






はーーーーー。あなたの解釈が間違っていた、それでいてあなたがすべての元凶だったのですね。まったく、何をどう解釈したらそうなるのだろうか?




「だいぶ異なりますね。騎士団長様は剣士の才能のない私に時間をかける必要はないと正当に判断され、私に足りない要素である体力強化を命じました。また、私は少々場を(物理的に)凍らせてしまいましたが、魔導士団団長様を氷漬けにしかけたわけではありませんよ。」



俺がそう貴族スマイルで言うと、アルベルト殿下は肩をすくめた。



「まあまあ、そう怒るな。俺はただ、脆弱だと噂のアースに少し箔をつけてやろうと思っただけだ。逆に感謝してほしいくらいだな?」



アルベルト殿下がそういうと大体の人が頭を抱えていた。きっと、こういうことを狙って何回もやってきたのだろう。うん、俺はわかったよ。キルの方が何十倍も素敵な人だ。この方はいい人なんだろうけど、色々な意味で恐ろしい。とりあえず、お礼を言っておこう。



「………ありがとうございました。」



「それは光栄だな。………ところで、俺に何か聞きたいことがあると思ったが違うか?」



え? まさか、国王様の話を聞きたいと思っていたことだろうか? いや、そんなはずはない。思っていただけで、まだ口に出したことはないのだから。これはきっとあれだ、鎌をかけられているに違いない。



「いえ、特にありませんがなぜでしょうか?」



俺がそういうと、アルベルト殿下は面白そうに前のめりになって笑った。あ、これは気付かれているかもしれない。本当にこの人はただものではない。



「ほぉーー。じゃあ、こちらからも条件を付けようか。今俺に聞けば、お前が考えているであろう失礼なことについて不問にする。これでもまだ話さないか?」




あ………、まじで気付かれてるみたいだ。失礼なことには………心当たりがある。アルフォンスさんやキルの口から、父親である国王陛下のお名前が登場していない。アルベルト殿下がキルのことを大切にしていることは伝わってくるけど、国王陛下は未知だ。だから俺は、陛下のことを息子に対して何もしない薄情な父親かそれとも、何もすることができないポンコツだと思っていた。これについても誰にも言ったことがないのに、どうしてわかったのだろうか? もしかして、変な無属性魔法でも所持しているのだろうか?



「………では、アルフォンスさんと少々お話を」


「アルフォンスと俺なら、構わないぞ?」


「僕のかわいいアース! 僕はダメなのかい!?」


マクウェル兄上………。今日は穏やかだと思ったけど、そうではなかったらしい。まあ、兄上がいても大丈夫か………。すると、キルが不安げな表情を浮かべて俺の肩を掴んだ。


「アース、何かあるのか………?」


「えーと、キル。少し確認したいことがあるだけなんだ。決して、キルに話せないとかそういうのではないから安心してほしい。あとでみんなにも話すから、少し席を外してもいいかな?」


「………わかった。」



キルはそういうと、掴んでいた手を離した。危うく頭をなでそうになってしまったけど、すんでのところで思いとどまった。危ない………今度お願いしたらさせてくれるだろうか?



「では早速行こうか!」



アルベルト殿下はそういうと、俺とアルフォンスさんを掴んでもう一つの個室の方へと引っ張っていった。黄金の世代の呼ばれる人の腕力にかなうはずもなく、俺はなすがまま引きずられていった。マクウェル兄上は俺の空いている手を取って、楽しそうに歩いていた。








――






「アースが聞きたいことというのは、父上のことだろう?」



本当にばれていたのか………。アルベルト殿下の特殊能力か、それともとんでもなく頭がいいのかはわからないが、深入りすると面倒ごとになりそうなので今はやめておこう。



「はい、その通りです。アルフォンスさんからお話を聞いたときアルベルト殿下のお話は聞きましたが、国王陛下のお話は話題に上がりませんでした。キルからも特に何も言われなかったので、気になっていました。」



「アースごめんね、その当時は少し事情があったんだ。当時のキルベルト殿下は自責の念から陛下についての話題を特に避けておられました。また、陛下の方も少々事情がありそれが重なり話題にあげることができなかったんだ。」



アルフォンスさんはまるで核心を避けるかのように、言葉を選びながら話してくれた。お互いに事情があったのか。キルの方はなんとなくわかるけど、陛下の方はどのような事情があったのだろうか? キルのことを極端に毛嫌いしているとか、そういう悲しい事情でなければいいけど………。

俺がそう考えていると、アルベルト殿下がふっと笑った。



「まあそんな深刻そうな表情をするな。話は単純だ。ただ父上が親ばかで、キルとのかかわり方がわからなかった、それだけだ。」



ん? 親ばかでキルとのかかわり方がわからなかった? 言葉の意味は分かるけど、どうしてそうなったのだろうか………。


俺が首をかしげていると、アルフォンスさんが代わりに教えてくれた。

どうやら国王陛下は、自分の子供を溺愛しすぎてどう接していいかわからない相当な親ばからしい。それに加えて、キルのあの不名誉な呼び方が陰でささやかれキル自身も身内や人と距離をとるようになってしまい、それも相まって二人の間には大きな溝ができたというわけらしい。

………要は、もっと父親らしくしっかりしてくれ、国王陛下というわけらしい。




「父上はあれだ、国王としては非常に優秀な方だ。だけど、方や親となると少しばかり残念になるようだ。でも安心してくれ。キルのネックレスは父上がキルに付けたんだ。父上はキルのこともしっかり愛している。今は二人の仲は良好だ。父上もお忙しいからなかなか時間をとることはできないが、時間があるときは家族で食事をしている。」



アルベルト殿下はそういうと、ゆっくりと息を吐いた。


良かった………。国王陛下の親ばかさには少し驚いたけれど、キルのことを息子としてしっかりと愛しているらしい。アルベルト殿下がそういうなら間違いないだろう。今も仲は良好みたいだし、俺の心配しすぎだったらしい。キルが話さなかったのは、陛下の溺愛ぶりが恥ずかしかったからだろう。



「お話くださりありがとうございました。私の早とちりで、不敬なことを考えてしまい申し訳ございませんでした。アルベルト殿下のお話を聞くことができて、安心しました。」


「その不敬なこととやらを詳しく聞いてみたいが、あまりいじめすぎるとお前の兄が大変なことになりそうだから聞かないでおこう。また何かあったら聞いてくれ。まあ聞きに来なくても俺が呼んでやる。」



「アース! 今度からは、僕に聞いてくれると嬉しいな! 殿下やアルフォンスではなくてね!」





………この世界の兄という存在が恐ろしいものだということを、今日改めて実感することができた。俺は貴族スマイルでうなずいて、その場を流すことにした。
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