異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第二章 初学院編

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キースがそういうと、ジールはゆっくりと首を横に振った。それもそのはずだ。魔力展開による感知なんて、アースのような膨大な魔力がないと不可能だからだ。

「アースみたいな感知は俺にはできないッスけど、周りの木々と感覚を共有すれば俺にも感知ができるッス。まあ、アースのような精度では無理ッスけどね。伊達に、アースのライバルをやっているわけじゃないッスからね。アースの魔法を一番近くで見ている俺が、自分なりに考えて編み出した方法ッスよ。」

これには、俺達は驚くしなかった。いつも、こういうことはアースがさらっと解決してしまうため、ジールの能力の詳細などは最近把握しきれていなかった。アースが飛びぬけているだけで、ジールも由緒正しい魔導士一家だ。普段はアースの陰に隠れているだけで、ジールにこういう能力があってもなにも不思議ではない。

「俺の側近たちは本当に優秀だな。………だけど、朝まで一人で索敵していたら魔力もギリギリになるだろうし、何より回復ができない。やはり、交代した方が良いんじゃないか?」

主が、アースを抱えなおしながらそう聞くと、ジールは笑顔で首を横に振った。………まさか、ここに置いて行けなんて言わないだろうな?

「確かにその通りッスね。本来なら、騎士の鍛錬を積んでいる3人より体力の少ない俺を使い倒してここにおいて言ってほしいッスけど、そんなことは許してくれそうにないッスからね。明日は、アースを背負っている殿下のように、同じ騎士のキースにでも背負ってもらうッスから安心してくださいッス。」

「………まあ、身体を鍛えていない魔導士を背負うくらい大した問題はない。」

「はいはい、そうッスね。アースも俺も、3人に比べれば全然軽いッスからね。じゃあ、お願いッス。それに、アースが召喚したあの人もいるッスし、大丈夫ッスよ。」

ジールはそういうと、木の上で気持ちよさそうに寝ているあいつのことを指さした。あいつは、けだるそうな顔で俺たちの後ろの方で、一定の間隔をあけて付いてきていた。一応、王都まで護衛する気はあるようだ。
すると、ジールが何やら詠唱をしたと思うと、周りの木々が集まってきてドーム状に俺たちを包んだ。

「さあ、三人は早く寝てくださいッス。一応これで、雨風や日光は大体防げるはずッスからね。」

「………木属性の魔法ってすごいんだな。」

俺が無意識にそうつぶやくと、主とキースもそれに頷いた。

「アースは自分の魔力量が多いからと、積極的に動いてくれるッスからね。こういう機会でないと、俺がでしゃばる必要はないんッスよ。………本当に、自分一人で何とかしようとしすぎッスよ。」

ジールはアースを見つめながらそう言った。それに対して俺たちは何も言うことができずに、各自寝る準備を始めた。








ーー








翌朝。
天気はと言うと、あいにく小雨が降っていた。移動の観点からは少し厄介だが、カンカン照りでないため暑さにやられずに済むということをラッキーと思うべきだろう。
一晩中魔法を行使し、全方位の樹木と感覚を共有していたジールはほとんど倒れる寸前だった。そんなジールをキースが静かに背負い、主が申し訳なさそうな表情をしてジールの頭に手を置いていた。

それから俺たちは、王都と思われる方向を目指してひたすらに進んだ。もう日が沈みかけて、今日も野宿かと思った矢先、森を抜けることができた。森を抜けた先には、田舎道が続いており、先の方には小さな町が見えた。
よかった………。ここがどこの領地かはわからないけど、城下町の場所を聞いて領主に移動の協力を仰ごう。城下町とは、その地を収める領主が住んでいる城がある町のことである。ただ、王族に協力的な領主であることが条件だが………。

「助かったな、今日はあの町で休むことにするか?」

「いいや、キース。それはやめておいた方が良い。金がないから、あの町の町長に協力を仰ぐことになるが、あの町の町長がどんな奴かわからない。そこに戦える護衛が二人しかいない主がのこのこと行ったら、どうなるのかわからない。一応あの得体のしれない奴もいるが、いない者として危機管理は行っておいた方が良い。」

俺がそういうと、主とキースは納得の表情でうなずいた。ジールも先程目を覚ましたようで、了解の意味を込めて手を挙げた。

「主、俺に情報収集をさせてください。この地の領主の名前や城下町の方角を探ってきます。」


「ああ、わかった。よろしく頼む。ただし、危険だと思ったらすぐにひけよ、いいな?」

「了解です。」


「ジール。昨日作ってもらったドーム状の木のテントをもう一度作ってもらうことは可能か? 無理そうなら、野宿でも大丈夫だからな。」

主がそういうと、ジールはキースの肩をたたきそして、地面にゆっくりと降りた。今日一日、キースの背中の上で休んでいたとはいえ、ろくに寝れていないはずだ。

「大丈夫ッスよ。今日一日、休ませてもらったッスから。それと、今日の索敵も俺がやるッスから三人はしっかり眠ってくださいッス。………だけど、昨日より少しだけ早く起きてくれると助かるッス。一晩中誰ともしゃべれないのは、退屈ッスからね。」

ジールの青白くやつれた顔を見て、俺達は何も言うことができずに頷いた。全員がジールの虚勢に気づいてはいるが、止めても聞かないこともわかっている。俺たちは昨日と同じように、各々の役目を遂行するため動き出した。

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