異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

文字の大きさ
126 / 179
第三章 ウェルカムキャンプ編

123

しおりを挟む
「ザール様、私がローウェルの魔力源に魔力を送り込んでローウェルの魔力と一体化させてから回復魔法をつかえば、治療できるのではないでしょうか?」


「可能性はないとはいえません。しかし、魔力を一体化させてもアース様の魔力だけがはじかれる可能性がありますし、なにより他人の魔力と一体化させることは難しいと言わざるを得ません。先程述べたように、通常、他人と魔力が交わることはありませんから。たとえできたとしても、回復魔法を行使し治療するには、精神的負担があまりに大きすぎるでしょう。」


「………で、でも、あきらめることはできません。とにかく、可能性がゼロでないなら試して」


「まあ、お待ちください。私は先ほど、通常は他人と魔力は交わらないと申しました。つまり、例外があるのですよ。」



俺が強行しようとすると、ザール様は穏やかな笑みで俺の腕を掴んで、理由を述べながら俺を制した。
例外がある………? つまり、ザール様には心当たりがあるということだろうか?
すると、アルベルト殿下が納得した表情で、あごに手を当てながら声を発した。



「あー、なるほど。サリーヴェか。」

「その通りです、アルベルト殿下。ただ、今から調合するのは現実的ではありませんね。」

「そうだな。今から調達するとなると………尋問部に掛け合うしかないだろうな。俺の権限で用意させよう。………アルフォンス、行け。」


アルベルト殿下に指名されたアルフォンスさんは、了解の意味を込めて跪いた後、颯爽と部屋を出ていった。
………なにやら、上の世代の皆さんでわかり合っているようだけど、俺にはさっぱりわからない。俺は視線をキルに送ってみたが、キルもわからないようで小さく首を振った。



「ザール様。サリーヴェとは何でしょう?」

「サリーヴェとは、貴族院の高学年で調合の仕方を習う液体です。効果は、他人を自分の魔力で染めやすくし、さらに言うと支配下に置くことができます。主な使用用途は2つあります。1つは省きますので、ご自身で習うときに確認してください。もう1つは、犯罪者に対して使います。精神関与系の魔法を直接身体に流したり、記憶をのぞいたりするために用います。」


なるほど。サリーヴェは、今の状況にぴったりの薬のようなものか。これを使えば、ローウェルの魔力回路に俺の魔力を流すことができるようになるから、治療することができるということか。それにしても、もう1つの使用方法とはいったい何だろうか? この場で言わない又は言えない使用方法で、成人間際に調合方法を学ぶことから考えると………いわゆるR18系だろうか? 成人間際ということから考えると、閨関係のことだろう。
………たしか、貴族の子を産むためには父親と母親の両方の魔力を注がなければいけないときいたな。
あー、わかった。夫婦がお互いにサリーヴェをつくって、お互いのサリーヴェを飲んでから、行為に及ぶということか。俺は成人後の記憶があるからなんとなく推測できたけど、キルたちは何のことか多分わからないんだろうな。
もちろん俺も、純粋無垢な貴族院1年生であるから、何もわからないですというような微笑みを浮かべておこう。









ーー









少しすると、アルフォンスさんが優雅かつ素早い身のこなしで戻ってきた。アルベルト殿下にサリーヴェを見せた後に、ローウェルに手渡した。
ローウェルは少し視線をさまよわせた後、ザール様に、「飲めばよろしいのでしょうか?」と尋ねた。
確かに、いきなりよくわからない液体を手渡されても困るよな。



「ええ、すべて飲み切ってください。効果は一日たてば消えるので、日常生活に支障はございません。ちなみに、尋問対象にサリーヴェを使うときは、強制的に投与するのですよ。飲ませるのも一苦労ですからね。」


途中まで感心して聞いていたが、後半部分の話を聞いて俺たちは微妙な顔でお互いを視線を交わし合った。
ザール様には時々、少年のような幼い容姿と発言内容が一致しないことが多いので戸惑ってしまう。



「サリーヴェの話はもういい。ローウェル、サリーヴェ単体では特段意味のないもので水と同じようなものだ。早く飲んでしまえ。」



アルベルト殿下は、パタパタと手を振りながらローウェルに飲むように促した。ローウェルは「かしこまりました。」と言ったあとに、一気にサリーヴェをあおった。
アダルト組の言う通り、サリーヴェを飲んだローウェルには特に何も起こらなかった。


よし、ここからは俺の仕事だ。俺はもう一度ローウェルに上級魔法をかけた。


「お!  今回は回復魔法がはじかれずに、しっかりと魔法回路が治療されてる!」



俺はうれしさのあまり、思わず大きな声を出してしまった。俺が思わず口に手を当てると同時に、キルたちが近くにきて氷鏡を覗き込んだ。



「………本当だ。これを見ると、魔力が溢れずに魔力回路の中を流れているのがよく見える。」

「そうッスね。魔力回路が可視化されていることで、勉強にもなるッスよ。」

「ああ、そうだな。………ローウェルの裸体が見えることが若干気に障るが。」

「気に障るなら、あっちに行ってろよ!」



無事に回復がされたことで、周りの雰囲気も柔らかくなった。
キースとローウェルが、いつものように憎まれ口をたたき合っている。
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

悪役の僕 何故か愛される

いもち
BL
BLゲーム『恋と魔法と君と』に登場する悪役 セイン・ゴースティ 王子の魔力暴走によって火傷を負った直後に自身が悪役であったことを思い出す。 悪役にならないよう、攻略対象の王子や義弟に近寄らないようにしていたが、逆に構われてしまう。 そしてついにゲーム本編に突入してしまうが、主人公や他の攻略対象の様子もおかしくて… ファンタジーラブコメBL シリアスはほとんどないです 不定期更新

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...