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偽物聖騎士と聖女と護衛騎士
過激聖女
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「聖女だってやっていることは同じだろ。信者から金巻き上げて、私腹を肥やす為だけに痛めつける。金払いが悪いと、保険金を掛けて、あいつらは事故に見せかけて殺すんだ。本来保険ってのは親族の為に用意された制度なのに、親族に金が渡った瞬間、長年協会に金を収めていなかったと適当な理由をつけて根こそぎ金を奪っていく。あいつらは悪魔だ。俺は聖騎士を許さない」
「…あなたは…」
「…わたくしも、そうです」
「聖女様。お控えください」
「いいえ、聖騎士ティトマス。わたくしは立ち向かいます。あのようなゲス共と同列に語られるなど、虫の居所が悪くて仕方ありません」
「メロリーチェ様」
「わたくしは入信当初、教会が非道得な悪事に手を染めた腐った組織であることを知らず、聖女として活動しておりました。わたくしは罪を犯したのです。無知と言う罪を。わたくしが生活に困窮する人々に祈りを捧げても、悪くなることはあってもよくはならない。わたくしが熱心の祈り巡業することにより上納金格差が生まれ、わたくしに金銭を支払わなかった村人達が処刑されるきっかけを作ってしまっていたのです。ティトマスに教えて頂くまで、わたくしの行いこそが正しいのだと生きてまいりました。けれど…」
「事実を知ってからわたくしは、教会の聖女であることを恥、心から反省いたしました。すると途端に怒りが湧いてくる。教会の言いなりになって人々を陥れた自分の悲しみ…追い込まれた人々の怒り、苦しみを背負い、わたくしは覚悟を決めたのです」
「必ずや、跡形もなく教会をぶっ潰す、と」
ぶっ潰す!?
神の使いである聖女が口にしてはいけないよう野蛮な単語であったが、聖騎士ティトマスは不思議と聖女メロリーチェの言葉を咎めることなく容認していた。
つまり、俺と聖女御一行様は同じ気持ちであるわけだ。
「わたくしとあなたが、いがみ合う必要はないのです。聖騎士マルメークを騙る者よ。わたくしはあなたの罪を咎めません。わたくし達は、同じ目標の為、手を取り合えると思いませんか」
「それは、俺ではなくスピカが決めることだ。俺は金と地位を奪われただけ。身体的な傷を受けたスピカの意見が聞きたい。顕現してくれないか、スピカ。話がしたいんだ」
木製椅子状態のスピカは返答を返さなかったが、やがてゆっくりと時間をかけて木製椅子の状態から人間の姿に変化したスピカは、どしんと音を立てて床に尻を打ち付け、手足を投げ出した。
可愛らしい聖女の悲鳴が響き、こてりと首を傾げたスピカは聖女に向かって聞き覚えのない単語を呟いた。
「リディア」
「あ………。いえ、わたくしは…」
「リディア。スピカだよ。スピカは…人間、やめちゃった」
「ーーいいえ、スピカさん。聖女リディアールはわたくしの叔母です。わたくしは聖女メロリーチェ。メロディア・ローゼンバーグと申します。生前、叔母とはまるで姉妹のように…交流を深めていたと、伺っております」
「メロリーチェ様」
「いいのです。聖騎士ティトマス。リディア叔母様が洗礼名ではなく本名を名乗り、交流を深めた家族のような方に、名を偽るなど。失礼に当たります」
「しかし」
「スピカ、知り合いなのか」
「…ん。スピカ、精霊なる前。リディア、仲良し。聖女と呼ばれていた、リディアの世話係が、スピカだったの」
「…俺、よくわかんねぇんだけどさ。生前の知り合いと会って、ペナルティとかないの?」
「…たぶん、ない。スピカ、人間だった。調べればわかること」
調べればわかることだ。
罰を受けることはないらしい。そういうもんか、と納得すれば、感極まった聖女がスピカの手を取り、頬に滴る涙を気にする様子もなく優しく微笑む。
スピカは聖女を前にして、感慨深いと表情を動かすことなく聖女を見つめていた。
「スピカさまのことは、よく存じております。伯母様が、わたくしに残してくださった日記に記載があったのです。短い時間ではありますがーーリディア伯母様のお話を、聞かせて頂けないでしょうか」
「リディア、笑っていた。苦しくて、悲しくても。神様は、いつだってみんなを見守ってくれるから」
「…そうですか…」
「スピカ、あるじさま選んでよかった。リディアの後継者。新たな聖女様、出会えたのは、あるじさまのお陰」
「聖騎士マルメークを語る殿方のことを主様とお呼びしているのですね」
「あるじさまは、あるじさま」
「先程、本名を言い掛けていましたね。聖女様の本名は秘匿されるべき秘密です。聖女様の本名を耳にした以上、あなたの本名を知らずこのまま逃がすわけにはいかないのです。ご了承ください」
「ま、そうだよな。俺はーーラクルス・カールメイク。片田舎の成金貴族だよ。母親が教会の口車に乗せられて、みるみるうちに没落したけどな」
母が宗教にハマらなければ、親父の事業が軌道に乗れば。
今頃王都で悠々自適。
羽振りの良い生活を送っていただろう。
残念ながら母は教会の口車に乗せられて山のような借金を抱え、自らの保険金で借金をチャラにすると言った聖騎士の言葉を信じて自らの命を差し出した。
俺と親父が気づいた時には、俺が受け取るはずの保険金はすべて教会に奪われ、利息で膨れ上がった借金だけが残りーー親父は俺をおいてさっさと友人のツテを伝って逃げ果せ、逃げ遅れた俺が教会に「借金が返せないなら命を持って償え」と木製椅子に処刑されそうになったことを話したのだった。
「…あなたは…」
「…わたくしも、そうです」
「聖女様。お控えください」
「いいえ、聖騎士ティトマス。わたくしは立ち向かいます。あのようなゲス共と同列に語られるなど、虫の居所が悪くて仕方ありません」
「メロリーチェ様」
「わたくしは入信当初、教会が非道得な悪事に手を染めた腐った組織であることを知らず、聖女として活動しておりました。わたくしは罪を犯したのです。無知と言う罪を。わたくしが生活に困窮する人々に祈りを捧げても、悪くなることはあってもよくはならない。わたくしが熱心の祈り巡業することにより上納金格差が生まれ、わたくしに金銭を支払わなかった村人達が処刑されるきっかけを作ってしまっていたのです。ティトマスに教えて頂くまで、わたくしの行いこそが正しいのだと生きてまいりました。けれど…」
「事実を知ってからわたくしは、教会の聖女であることを恥、心から反省いたしました。すると途端に怒りが湧いてくる。教会の言いなりになって人々を陥れた自分の悲しみ…追い込まれた人々の怒り、苦しみを背負い、わたくしは覚悟を決めたのです」
「必ずや、跡形もなく教会をぶっ潰す、と」
ぶっ潰す!?
神の使いである聖女が口にしてはいけないよう野蛮な単語であったが、聖騎士ティトマスは不思議と聖女メロリーチェの言葉を咎めることなく容認していた。
つまり、俺と聖女御一行様は同じ気持ちであるわけだ。
「わたくしとあなたが、いがみ合う必要はないのです。聖騎士マルメークを騙る者よ。わたくしはあなたの罪を咎めません。わたくし達は、同じ目標の為、手を取り合えると思いませんか」
「それは、俺ではなくスピカが決めることだ。俺は金と地位を奪われただけ。身体的な傷を受けたスピカの意見が聞きたい。顕現してくれないか、スピカ。話がしたいんだ」
木製椅子状態のスピカは返答を返さなかったが、やがてゆっくりと時間をかけて木製椅子の状態から人間の姿に変化したスピカは、どしんと音を立てて床に尻を打ち付け、手足を投げ出した。
可愛らしい聖女の悲鳴が響き、こてりと首を傾げたスピカは聖女に向かって聞き覚えのない単語を呟いた。
「リディア」
「あ………。いえ、わたくしは…」
「リディア。スピカだよ。スピカは…人間、やめちゃった」
「ーーいいえ、スピカさん。聖女リディアールはわたくしの叔母です。わたくしは聖女メロリーチェ。メロディア・ローゼンバーグと申します。生前、叔母とはまるで姉妹のように…交流を深めていたと、伺っております」
「メロリーチェ様」
「いいのです。聖騎士ティトマス。リディア叔母様が洗礼名ではなく本名を名乗り、交流を深めた家族のような方に、名を偽るなど。失礼に当たります」
「しかし」
「スピカ、知り合いなのか」
「…ん。スピカ、精霊なる前。リディア、仲良し。聖女と呼ばれていた、リディアの世話係が、スピカだったの」
「…俺、よくわかんねぇんだけどさ。生前の知り合いと会って、ペナルティとかないの?」
「…たぶん、ない。スピカ、人間だった。調べればわかること」
調べればわかることだ。
罰を受けることはないらしい。そういうもんか、と納得すれば、感極まった聖女がスピカの手を取り、頬に滴る涙を気にする様子もなく優しく微笑む。
スピカは聖女を前にして、感慨深いと表情を動かすことなく聖女を見つめていた。
「スピカさまのことは、よく存じております。伯母様が、わたくしに残してくださった日記に記載があったのです。短い時間ではありますがーーリディア伯母様のお話を、聞かせて頂けないでしょうか」
「リディア、笑っていた。苦しくて、悲しくても。神様は、いつだってみんなを見守ってくれるから」
「…そうですか…」
「スピカ、あるじさま選んでよかった。リディアの後継者。新たな聖女様、出会えたのは、あるじさまのお陰」
「聖騎士マルメークを語る殿方のことを主様とお呼びしているのですね」
「あるじさまは、あるじさま」
「先程、本名を言い掛けていましたね。聖女様の本名は秘匿されるべき秘密です。聖女様の本名を耳にした以上、あなたの本名を知らずこのまま逃がすわけにはいかないのです。ご了承ください」
「ま、そうだよな。俺はーーラクルス・カールメイク。片田舎の成金貴族だよ。母親が教会の口車に乗せられて、みるみるうちに没落したけどな」
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残念ながら母は教会の口車に乗せられて山のような借金を抱え、自らの保険金で借金をチャラにすると言った聖騎士の言葉を信じて自らの命を差し出した。
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