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7・公爵家の愛娘、仲直り大作戦 ぱーとつー
コットンハンカチ作り
ハンカチが完成するまでの道のりは糸紡ぎよりもずっと難易度が高く、何度も諦めそうになるほどに困難を極めた。
「こんなにやって、半分も出来てないの……?」
地道な作業が苦手なロルティは何回も投げ出してしまいそうになったが、兄のジュロドは妹に激励を送ってくれる。
「凄いじゃないか。完成まで、頑張ろう」
「うん……!」
その頃にはハンカチを編み終えることに夢中で、2人の仲を進展させるためにこの作業を始めたのをすっかり忘れてしまっていた。
しかし――半年間にも及ぶ長い時間、毎日のように顔をつき合わせて作業を続ければ、心の距離は嫌でも近づくのだろう。
いつの間にか他人行儀な口調は鳴りを潜め、ジュロドはルティアーナに敬語を話さなくなっていた。
「ジュロドくんは手先が器用なだけじゃなくて、集中力もしっかりしているのね」
「日々、剣術の鍛錬で鍛えたおかげかもしれない。かぎ針を剣に見立てると、よく集中できる気がするんだ」
「あの子は、すぐにいろんなことに目移りしてしまうから……」
「それがロルティのよさだと思うよ」
「それもそうね」
最近では、くすくすと声を上げて笑い合えるようにもなり、ロルティは満面の笑みを浮かべた。
(よかったぁ。家族みんな、仲良しになれて……!)
幼子はこうして内心ほっと胸を撫で下ろし、最後の力を振り絞る。
そうしてついに、毛糸のハンカチを完成させた。
「できたー!」
「頑張ったね、ロルティ」
「うん! ありがとう! おにいしゃま!」
妹は満面の笑みを浮かべ、兄にひっつく。
そんな兄妹を微笑ましそうに見つめる母――3人の間には、穏やかな空気が流れる。
(ここに、おとうしゃまもいてくれたらよかったのに……)
長い時間をかけてようやく1枚のハンカチを完成させたロルティは、ルティアーナがハリスドロア公爵家に戻ってくるまでは頻繁に顔を合わせていたはずの父親が、ぱったりと姿を見せなくなったことにようやく気づく。
「おかあしゃま……」
「どうしたの? ロルティ……。そんなに不安そうな顔をして……。何か心配なことでも、あるのかしら……?」
「おとうしゃま、お仕事が忙しいの……?」
幼子が瞳を潤ませて問いかけると、ルティアーナはどこか困ったように眉を伏せた。
どうやら彼女には、父親が姿を見せない理由を知っているらしい。
「父さんはルティアーナさんとロルティを酷い目に会わせた奴らを懲らしめる、準備をしているんだ」
「ジュロドくん……」
「ちゃんと、伝えていたほうがいい。ロルティが不安になって、父さんを探しに行く前に」
「……そう、ね。1人でここを飛び出していかれては、困るもの……」
ルティアーナは裁縫道具や編み終えたレースの布を籠の中に収納すると、兄妹を膝の上に座らせる。
そして、後ろから両腕を大きく伸ばして抱き寄せた。
「おかあしゃま……?」
「あなたたちは、私の大切な子ども達よ」
「ルティアーナさん……。でも、僕は……」
「血の繋がりはないけれど……。気に病まなくていいの。だってあなたは、ロルティのお兄様なのだから……」
「ありがとう……」
「ええ。どういたしまして。何があっても、私と旦那様が守るわ。だから、安心してね」
母親のぬくもりを堪能しながら、ロルティは多幸感に包まれる。
(家族みんながわたしに優しくしてくれて、大好きなカイブルも見守っていてくれる。ずっと、こんな幸せな日々が続けばいいのに……)
そんな願いがそう遠くない未来に、無惨にも踏み躙られることになるなど思いもせず――ロルティは彼らと過ごす幸福な日々を堪能した。
「こんなにやって、半分も出来てないの……?」
地道な作業が苦手なロルティは何回も投げ出してしまいそうになったが、兄のジュロドは妹に激励を送ってくれる。
「凄いじゃないか。完成まで、頑張ろう」
「うん……!」
その頃にはハンカチを編み終えることに夢中で、2人の仲を進展させるためにこの作業を始めたのをすっかり忘れてしまっていた。
しかし――半年間にも及ぶ長い時間、毎日のように顔をつき合わせて作業を続ければ、心の距離は嫌でも近づくのだろう。
いつの間にか他人行儀な口調は鳴りを潜め、ジュロドはルティアーナに敬語を話さなくなっていた。
「ジュロドくんは手先が器用なだけじゃなくて、集中力もしっかりしているのね」
「日々、剣術の鍛錬で鍛えたおかげかもしれない。かぎ針を剣に見立てると、よく集中できる気がするんだ」
「あの子は、すぐにいろんなことに目移りしてしまうから……」
「それがロルティのよさだと思うよ」
「それもそうね」
最近では、くすくすと声を上げて笑い合えるようにもなり、ロルティは満面の笑みを浮かべた。
(よかったぁ。家族みんな、仲良しになれて……!)
幼子はこうして内心ほっと胸を撫で下ろし、最後の力を振り絞る。
そうしてついに、毛糸のハンカチを完成させた。
「できたー!」
「頑張ったね、ロルティ」
「うん! ありがとう! おにいしゃま!」
妹は満面の笑みを浮かべ、兄にひっつく。
そんな兄妹を微笑ましそうに見つめる母――3人の間には、穏やかな空気が流れる。
(ここに、おとうしゃまもいてくれたらよかったのに……)
長い時間をかけてようやく1枚のハンカチを完成させたロルティは、ルティアーナがハリスドロア公爵家に戻ってくるまでは頻繁に顔を合わせていたはずの父親が、ぱったりと姿を見せなくなったことにようやく気づく。
「おかあしゃま……」
「どうしたの? ロルティ……。そんなに不安そうな顔をして……。何か心配なことでも、あるのかしら……?」
「おとうしゃま、お仕事が忙しいの……?」
幼子が瞳を潤ませて問いかけると、ルティアーナはどこか困ったように眉を伏せた。
どうやら彼女には、父親が姿を見せない理由を知っているらしい。
「父さんはルティアーナさんとロルティを酷い目に会わせた奴らを懲らしめる、準備をしているんだ」
「ジュロドくん……」
「ちゃんと、伝えていたほうがいい。ロルティが不安になって、父さんを探しに行く前に」
「……そう、ね。1人でここを飛び出していかれては、困るもの……」
ルティアーナは裁縫道具や編み終えたレースの布を籠の中に収納すると、兄妹を膝の上に座らせる。
そして、後ろから両腕を大きく伸ばして抱き寄せた。
「おかあしゃま……?」
「あなたたちは、私の大切な子ども達よ」
「ルティアーナさん……。でも、僕は……」
「血の繋がりはないけれど……。気に病まなくていいの。だってあなたは、ロルティのお兄様なのだから……」
「ありがとう……」
「ええ。どういたしまして。何があっても、私と旦那様が守るわ。だから、安心してね」
母親のぬくもりを堪能しながら、ロルティは多幸感に包まれる。
(家族みんながわたしに優しくしてくれて、大好きなカイブルも見守っていてくれる。ずっと、こんな幸せな日々が続けばいいのに……)
そんな願いがそう遠くない未来に、無惨にも踏み躙られることになるなど思いもせず――ロルティは彼らと過ごす幸福な日々を堪能した。
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