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prologue
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ぱちり。
目を開いた。
ここはどこだ?
真っ白い冷たい無機質な部屋で瞬きを数回繰り返した。
真っ白い服、真っ白い靴、真っ白い空間。
ここという存在に違和感を感じる。来たところへ帰ろう。
来た、ところ?
ここに対して違和感はあるのに、どこに帰ればいいのかわからない。自分の存在もよくわからない。
よく見ると、この部屋にはドアも窓も何もない。ここから出ようにも出られない。
「…さむい。」
初めて自分の声を聞いた。何の特徴もない声。
「ねぇ。」
後ろから声がした。女の子の声。振り向くと高校生くらいのショートヘアの似合う女の子。強い意志があるかのように、俺をじっ、と見てくる。
「貴方の行き先は決まっているはずよ。」
「…なにそれ。」
何言ってるんだろう、この子は。
「貴方はね、この扉をくぐり抜けるの。」
女の子の指さす方向を見てみたら、さっきまで何も無かった無機質な部屋に扉が現れていた。
扉と言っても、とても小さい。屈まないと通れないくらい。
「さあ、はやく。」
「ところで、あんたは誰なの。」
「わたしはユキナ。あなたを助けに来たの。」
「助けに?」
確かにこんな空間にいつまでもいられないけど。
「これからあなたに色々な物が降りかかる。だけど負けないで。あなたを待っている人がいるの。」
突然こんな事言われても。でも、今はこの人の言う通りにしないと、それはそれでどうしようもないし。
ここがどこなのかも、自分が誰なのかもわからない。でもひとつだけ分かることがあった。この子についていけば大丈夫。
「あなたはね、ナルミっていうの。」
「ナルミ。。。」
「うん。」
女の子はにっこりと笑った。可愛い笑顔だった。少しどこか懐かしさを感じた。その懐かしさのせいで、不安しかなかったけど思わず笑い返した。
大きく息を吸い込んで、決心した。
どこにあるかわからない、自分の戻るべきところに帰ろう。俺を待ってくれてる、っていう人にちゃんと会いに行こう。
ぱちり。
目を閉じた。
目を開いた。
ここはどこだ?
真っ白い冷たい無機質な部屋で瞬きを数回繰り返した。
真っ白い服、真っ白い靴、真っ白い空間。
ここという存在に違和感を感じる。来たところへ帰ろう。
来た、ところ?
ここに対して違和感はあるのに、どこに帰ればいいのかわからない。自分の存在もよくわからない。
よく見ると、この部屋にはドアも窓も何もない。ここから出ようにも出られない。
「…さむい。」
初めて自分の声を聞いた。何の特徴もない声。
「ねぇ。」
後ろから声がした。女の子の声。振り向くと高校生くらいのショートヘアの似合う女の子。強い意志があるかのように、俺をじっ、と見てくる。
「貴方の行き先は決まっているはずよ。」
「…なにそれ。」
何言ってるんだろう、この子は。
「貴方はね、この扉をくぐり抜けるの。」
女の子の指さす方向を見てみたら、さっきまで何も無かった無機質な部屋に扉が現れていた。
扉と言っても、とても小さい。屈まないと通れないくらい。
「さあ、はやく。」
「ところで、あんたは誰なの。」
「わたしはユキナ。あなたを助けに来たの。」
「助けに?」
確かにこんな空間にいつまでもいられないけど。
「これからあなたに色々な物が降りかかる。だけど負けないで。あなたを待っている人がいるの。」
突然こんな事言われても。でも、今はこの人の言う通りにしないと、それはそれでどうしようもないし。
ここがどこなのかも、自分が誰なのかもわからない。でもひとつだけ分かることがあった。この子についていけば大丈夫。
「あなたはね、ナルミっていうの。」
「ナルミ。。。」
「うん。」
女の子はにっこりと笑った。可愛い笑顔だった。少しどこか懐かしさを感じた。その懐かしさのせいで、不安しかなかったけど思わず笑い返した。
大きく息を吸い込んで、決心した。
どこにあるかわからない、自分の戻るべきところに帰ろう。俺を待ってくれてる、っていう人にちゃんと会いに行こう。
ぱちり。
目を閉じた。
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