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鏡の国#2
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もう1人の俺が俺の首に手を伸ばした。
力をいれて絞めてくる。
ああ、俺はついに死ねるんだ。
苦しいなんてもんじゃない、早く死んでしまいたい。早くいなくなりたい。
まだか。まだなのかよ。なんでもっと早く死ねないんだ。
「なん、だよ。そんな、程度なの、かよ。」
「お前こそ早く死ねよ。」
よく見るともう1人の俺の後ろにあいつがいた。
「ユキナ。」
もう1人の俺が振り向いた。
「またお前かよ。どうりでうまく力が入らないと思ったんだ。お前の仕業なんだろ。」
「そうだけど。」
「早く邪魔するのやめろよ。」
「やめない。」
弱い力でも絞め続けられてる俺の息は限界だった。全身の力が抜けそうになった時、ぱちん。という音とともに、もう1人の俺が悲鳴をあげた。
「あがぁぁぁっ!!いってぇ!なにすんだよ!!!」
「わたしはあなたを邪魔しに来たの。」
もう1人の俺の片腕は逆方向に曲がり、肘から下はもう使い物にならないただの肉片になってた。
「ごめんね。惟実。でもわたしは、この惟実が一番なの。」
「くっそ!おい!出てこい!!お前らも順位を上げるチャンスだぞ!!」
そう叫んだ瞬間、また違う俺がたくさん出てきた。みんな一斉に俺とユキナに襲いかかる。
俺はもう意識が朦朧としてしまって、上手く攻撃を避けきれない。最終的には捕まり、無数の俺から殴られたり、蹴られたり。手首の傷も開いて、俺の血が宙を舞う。
ユキナもたくさんの男には歯が立たないようで、捕まっていた。でも、ユキナの目は、はっきりと何かの意思を示していた。
殴られ続けた俺はもうへとへとで歩くことすら出来ない。その場に放置させられた。
そして1人の俺が他の無数の俺を、殴っていった。そうか、こいつらも敵同士だから、いつまでも仲間って訳ではないんだよな。俺同士が戦ってるの見るの複雑な気持ちだな。
そしてしばらくして、1人に絞られた。きっとこいつが暫定3位の俺なんだろう。
そいつはユキナに近付いて、
「まあ消すなら邪魔なやつからだよな。惟実、大人しくじっと見てろよ。」
ユキナは気を失っていた。
そしてポケットからナイフを取り出して、ユキナに刺そうとしていた。
「可哀想に。起きないなんてな。」
気が付くと俺ははしっていた。
もう動かないと思っていた俺の足が動いた。そして暫定3位の俺を突き飛ばした。ナイフは遠くに飛んでいった。
「いってぇな。何してくれんだよ。」
「ユキナは、殺させ、ない。」
「よく言うよ。お前がユキナをこうしたんだよ。」
「分かってるよ。」
「いやお前は何も分かっちゃいねぇよ。」
「暫定1位のお前の世界で、こいつがどれだけ悲しんでたのか知っていってんのか。知らねぇだろ。俺は、こいつを幸せにしてやりたかった。だから俺はお前なんかいなくなって欲しいんだよ。来世がどうとかじゃねぇ。」
「それはここにいた50万ものお前がみんな思ってるよ。」
それまで倒れていた暫定2位の俺が言い出した。
「お前は自分のしてきたことが分からない限り、生き返させれない。」
「…ダメ。惟実は連れて帰るんだから。」
それまで気を失っていたユキナが目を覚ましだした。
しかし、 暫定3位の俺が俺を押し倒して、首を絞めてきた。
「惟実!!!」
「ユキナ!邪魔するんじゃねぇぞ。こいつがもっと痛い目に遭うからな。」
「っが!」
今度こそ死にそうだ。
でも何か今は胸に引っかかる物がある。
このまま死ねない気がする。なんだ。思い出せ。思い出せ。思い出せ。俺にはやらなきゃいけない事があるはずなんだ。
思い出した。
俺はなぜ、ここに来たのか。
今やっとわかった。
「俺は、生きるためにここに来たんだ!お前らに未来を奪われてたまるかよ!!!」
俺を振り払って、ユキナの手を取り、ドアを開けた。
力をいれて絞めてくる。
ああ、俺はついに死ねるんだ。
苦しいなんてもんじゃない、早く死んでしまいたい。早くいなくなりたい。
まだか。まだなのかよ。なんでもっと早く死ねないんだ。
「なん、だよ。そんな、程度なの、かよ。」
「お前こそ早く死ねよ。」
よく見るともう1人の俺の後ろにあいつがいた。
「ユキナ。」
もう1人の俺が振り向いた。
「またお前かよ。どうりでうまく力が入らないと思ったんだ。お前の仕業なんだろ。」
「そうだけど。」
「早く邪魔するのやめろよ。」
「やめない。」
弱い力でも絞め続けられてる俺の息は限界だった。全身の力が抜けそうになった時、ぱちん。という音とともに、もう1人の俺が悲鳴をあげた。
「あがぁぁぁっ!!いってぇ!なにすんだよ!!!」
「わたしはあなたを邪魔しに来たの。」
もう1人の俺の片腕は逆方向に曲がり、肘から下はもう使い物にならないただの肉片になってた。
「ごめんね。惟実。でもわたしは、この惟実が一番なの。」
「くっそ!おい!出てこい!!お前らも順位を上げるチャンスだぞ!!」
そう叫んだ瞬間、また違う俺がたくさん出てきた。みんな一斉に俺とユキナに襲いかかる。
俺はもう意識が朦朧としてしまって、上手く攻撃を避けきれない。最終的には捕まり、無数の俺から殴られたり、蹴られたり。手首の傷も開いて、俺の血が宙を舞う。
ユキナもたくさんの男には歯が立たないようで、捕まっていた。でも、ユキナの目は、はっきりと何かの意思を示していた。
殴られ続けた俺はもうへとへとで歩くことすら出来ない。その場に放置させられた。
そして1人の俺が他の無数の俺を、殴っていった。そうか、こいつらも敵同士だから、いつまでも仲間って訳ではないんだよな。俺同士が戦ってるの見るの複雑な気持ちだな。
そしてしばらくして、1人に絞られた。きっとこいつが暫定3位の俺なんだろう。
そいつはユキナに近付いて、
「まあ消すなら邪魔なやつからだよな。惟実、大人しくじっと見てろよ。」
ユキナは気を失っていた。
そしてポケットからナイフを取り出して、ユキナに刺そうとしていた。
「可哀想に。起きないなんてな。」
気が付くと俺ははしっていた。
もう動かないと思っていた俺の足が動いた。そして暫定3位の俺を突き飛ばした。ナイフは遠くに飛んでいった。
「いってぇな。何してくれんだよ。」
「ユキナは、殺させ、ない。」
「よく言うよ。お前がユキナをこうしたんだよ。」
「分かってるよ。」
「いやお前は何も分かっちゃいねぇよ。」
「暫定1位のお前の世界で、こいつがどれだけ悲しんでたのか知っていってんのか。知らねぇだろ。俺は、こいつを幸せにしてやりたかった。だから俺はお前なんかいなくなって欲しいんだよ。来世がどうとかじゃねぇ。」
「それはここにいた50万ものお前がみんな思ってるよ。」
それまで倒れていた暫定2位の俺が言い出した。
「お前は自分のしてきたことが分からない限り、生き返させれない。」
「…ダメ。惟実は連れて帰るんだから。」
それまで気を失っていたユキナが目を覚ましだした。
しかし、 暫定3位の俺が俺を押し倒して、首を絞めてきた。
「惟実!!!」
「ユキナ!邪魔するんじゃねぇぞ。こいつがもっと痛い目に遭うからな。」
「っが!」
今度こそ死にそうだ。
でも何か今は胸に引っかかる物がある。
このまま死ねない気がする。なんだ。思い出せ。思い出せ。思い出せ。俺にはやらなきゃいけない事があるはずなんだ。
思い出した。
俺はなぜ、ここに来たのか。
今やっとわかった。
「俺は、生きるためにここに来たんだ!お前らに未来を奪われてたまるかよ!!!」
俺を振り払って、ユキナの手を取り、ドアを開けた。
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