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国の関係
二十七話 またやっちまった
しおりを挟む御剣に、ちょっと待ったをかけたスイナと呼ばれた巫女。
翡翠色の髪と水色の目は光の反射によって神々しく見える、そんな女性だった。
結局その話は保留となり、後日王城で当人(勇者、姫様、王様、巫女、そしてなぜか俺)を含めて行う流れとなった。
で、当日な訳だが……
「それで結局どちらと結婚するおつもりですか?」
「あの、私は結婚しなくても大丈夫ですので……」
姫様は事の重大さを理解して身を引くつもりなのだろう。
賢い選択と言えなくもない。
「おや、ではアルバニアは手を引くという事で」
「それは僕が許せない」
「御剣様、あなた様の回答一つが世界を揺るがすことは自覚しているのですよね? そもそも今回は攻め込みはしませんでしたが勇者がアルバニアの勢力となる事を邪魔する国は多く存在するはずですよ?」
「スイナ。そんなことで僕がサスティをあきらめると本気で思っているのか?」
威圧を含んだ御剣の眼光がスイナにぶつかる。
「はあ」
ため息がこぼれてしまった。
この茶番いつまでやる気なんだ?
「なあ御剣、そもそもなぜそこまで姫様と結婚したい?」
「それは……」
御剣は問うように姫様に目線を移す。
姫様は御剣に頷いた。
「王様。サスティは僕以外に結婚の予定があるんですよね?」
「うむ。確かに娘にはある貴族と結婚の約束がある」
何となく解って来たな。
要するに御剣はその貴族と結婚させないために自分が結婚すると言ってるのか。
なんかイラつくな。
「なあ、その貴族何か問題があるのか?」
「いいえ、唯私もあの方も他に思い人が居る。それだけの話です。御剣様が私を助けてくれようとするのは私が我儘なだけです」
「あっそ、なら話は簡単だな」
「何かいい案が有るのかい?」
部屋にいる全員が俺に集中する。
「そもそもなんでそれで御剣と結婚する必要があるんだ? 多少の地位が無いと認められないってのは解るが、その貴族の事情だけを考えるなら、俺でも問題無いよな?」
「はい?」
「何を言っておりますの?」
俺の答えに御剣とスイナは疑問を口にする。
だが、姫様を含めた3人には否定する答えが見つからないようだ。
だって俺は正論しか言っていないのだから。
「確かにそうじゃな。シル殿に優勝の褒美として貴族の位を授ければ何も問題は無い」
王様が俺に援護射撃を飛ばしてくる。
ノリ良すぎだぜ王様。
「だそうだ、どうする? 姫様には泣き寝入りして貰う事になるが、相手の貴族は万々歳。姫様の想い人ってのが誰なのかは知らないが、御剣と結婚って話なら俺でも関係ないよな? 俺との結婚の場合は御剣の戦力的利権争いは起きないから面倒な柵も関わらない」
「それは、確かに……そう……ですね」
「お、姫様も納得って事で決定かな、王様?」
「そうじゃな式の準備はこちらで手配しよう」
「お、気が利きますね~お父様~」
「いやいや、なんの何の」
てか王様ノリノリだな、おい。
まあ俺としては心を読まれてる不快感よりもうまく乗せられそうな達成感が勝っちまうから構わないが。
王様って読心術とかいうスキル持ってたりすんの?
「「ちょっと待ってくれ(ください)!!」」
「どうしたお二人さん?」
「その確かにシルとサティナが結婚した方が簡単に済む話なのかもしれない。それでも僕はサスティと結婚したい」
「お父様、私も御剣様と結婚したいです」
ちなみに御剣は同い年だったので、俺を君付けで呼ぶのを止めろと言った。
「だそうだけど、どうする王様?」
「儂に同意を求める事では無いな。最初から認めると言っている」
「え? それって……」
「都合が悪いんじゃ?」
「息ピッタリだな2人とも。でも安心しろって俺にはちゃんと妻がいるしこれ以上増やす気も無い。お前ら深く考えすぎなんだよ、お互い好きだから結婚する。それでいいじゃねえか」
「シル!」
「シルさん!」
「結婚おめでとう、式には招待してくれるんだろ?」
「「勿論!」」
そのまま有耶無耶な感じで勇者と姫様の結婚が決まった。
字面だけ見るとめっさファンタジーだな。
「それで巫女様は良かったのか? 止めなくて」
「もういいのです。あんな甘い事、御剣様は私には言ってくれた事は在りませんでしたから……」
巫女様は数年の間教会本部で御剣と生活を供にしていたらしい。
その時も何度かアプローチを掛けてはいたが御剣が振り向く事は無かったと。
「じゃあなんでそんなに天井見つめてんの?」
「女性が耐えてるのを解っていてそんな質問をするのは最低だと思います」
「あんまり気にすんなよ。あんただって美人には変わりないんだ。いい奴なんてそこら中に居るさ」
「それは無理ですよ。教会が私に求めているのは、より強大な権利の獲得です。勇者にフラれた私の存在価値は著しく下がったでしょう。ですのでこのまま帰れば政略結婚に使われるのがオチですかね」
こっちもこっちで大変だな。
事情を知ると御剣を姫様とくっ付けたのは失敗だったとさえ思えてしまう。
でもさ、違うだろ。
今の俺には責任を取るだけの力がある。
勇者をアルバニアに囲った事による影響を考えて俺がこの王都を離れれ事は避けようと思ってたが、それだとスイナが不幸にある。
スイナの事だって俺に責任があるのは事実なんだ。
だからさ、やっと理不尽を覆せるだけの力を手に入れたってのに、こんな所で後悔したくはないよな。
「スイナ、俺が責任を取る」
「え?」
え?
俺、今なんて言った?
「その私が抱えている物の大きさは理解していますの?」
「あ、当たり前だ。スイナが不幸に会う理由を作ったのは俺に責任がある訳で。だから責任を取らせてくれ」
んん!?
何言ってんの、俺は!?
「多分私、重い女ですよ?」
「ああ、構わない」
「ですけど、そのシル様は結婚されているのでは」
やめろ、俺の煩悩!
これ以上口説くな!
フィーナにまた感電させられるぞ!
スイナを助けるのは構わない。
でも、それに責任とか勘違いされる言葉を使うな。
「そのだな。責任とか勘違いさせる言葉を使ったのは謝る。だけど俺がスイナを救いたいと思ったのは本当だ。だから、こんな失恋に漬け込むような真似はしたくない」
「はい……」
頼むからそんなに落ち込んだ表情を見せないでくれ。
「あ、そうだな。取り敢えずこれを受け取ってくれ」
俺はアイテム欄から適当に作っていたアクセサリーの内の一つを取り出す。
その効果は危険察知、と感覚共有・危険。
装備者の危機察知能力があがり、危険を察知すると俺にもそれが伝わる様になる。
それと転移で直ぐに迎えるように細工もしてある。
「これは、首輪ですか?」
ん?
やばっ、急いでに取り出したからチョーカー型の魔道具を出しちまった。
流石に怒らせたか?
「その、一応貰っておきますね……」
「そうして貰えると助かる」
そう言ってチョーカーを手に取り、首につけてくれた。
「私のご主人様は誰なのでしょうか?」
そう言った彼女には最初に浮かべていた涙はもう無くなっていた。
フィーナの時とは違う、涙を拭いて上げられるくらいには成長したって事なんだろうか。
閑話休題
その後、若様はフィーナ様に殺されましたとさ。
その後、ご主人は奥様に雷撃と回復を交互に行われていました。
その後、シルはフィーナの奴にあらゆる死に方を体験させられていた。
その後、シル様はフィーナ様にお許しと膝枕を貰えたそうです。
「「「「めでたし、めでたし」」」」
閑話休題
「死ぬうううううう!!!」
「死ねええええええ!!!」
数十分後。
「その、ごめん」
「シルは浮気し過ぎ。あんまりしてると私もしちゃうかも」
「それは……嫌だ。本当にごめん」
「嘘よ。はい、耳かきして上げるからこっち来て?」
「? ありがとう」
「今日はこれで許してあげる」
グサ!
「あああああああ!耳があああああ!!!」
その日、シルは回復魔法の使用を認められなかった。
その夜、実は雫が痛覚を200%まで上げていたのは雫とフィーナだけの秘密である。
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