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序章

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 目を瞬かせると、畳と、着物の裾から出た足が見えた。

「お前、どこから入った」

 その質問がなければ、目眩の余韻に再び目を閉じるところだったが、答えなければという常識が美琴を覚醒させた。

「えっと、安土城址の、看板のとこ……」

 目眩がすると、もうだめだ。呂律が回らなくなる。
 目も開けていられず、気持ち悪い。

「かんばん?」

 さっきより威圧感のない声がして、カチャリ、金属が合わさるような音が聞こえた。

「牢にでも入れておけ」

「はっ」

 物騒な言葉が飛び交うが、会話を聞き取る事すら困難で美琴はそのまま目を閉じた。
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