光秀の甘やかな策略〜堕ちたのは戦国武将の腕の中

今雪みく

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甘やかな策略

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 光秀の褥で、美琴は今日も体を火照らせていた。

「あっ、ん、だめっ」

 甘い声を漏らした美琴の胸元に埋まっていた光秀の顔が離れていき、中途半端に煽られた熱だけが取り残される。

「だめ、か……ならば今夜はここまでにして、このまま眠るとしよう。おやすみ」

 美琴の着物の襟を光秀はさっと合わせ、褥に背中をつけ、目を閉じてしまった。
 暴いたのは光秀、それなのに——。

「え……そんな」

 火照り出したばかりの肌は、着物で覆われてもおいそれと冷めることなどない。むしろ、甘く溶かされたい欲望が高まるばかりだ。

 目の縁に溜まった涙が、すーっと流れる。仰向けで目を閉じる光秀の身体はピクリとも動かず、自分だけがはしたなく求めているようで、羞恥を煽られる。
 僅かにだけ与えられた刺激が愉悦の記憶を呼び起こし、美琴は身悶える。
 光秀の腕にそっと手を触れさせ、着物に隠された屈強な肩に頰をすり寄せた。

 思いを確かめ合ってからというもの、毎日のように求められ、快楽に溺れることを教え込まれた美琴の身体は、光秀に触れられるだけですぐに綻びてしまう。
 従順な身体は、飲み込みも早い。

 それなのに、こうしてからかわれるだけでは、持て余した熱をどうすればいいのか、美琴にはわからなかった。
 反撃の狼煙すら上げられず、解けない難問を前に呆然とするしかない。

 やりきれない火照りを冷ますため、美琴は褥を抜け出そうと考えた。

 光秀の邪魔をしないよう少しずつ身体をずらしたが、褥を抜け出る前に手首を掴まれた。

「どこへ行くつもりだ?」

「あっ、ちょっと外の風に当たろうと……」

 機嫌の悪そうな光秀の双眸に睨まれると、それ以上何も言えなくなる。

 美琴は思わず唇を噛み、俯いた。
 はしたない思いを抱えた美琴を、光秀はどう思うのだろう。
 確かめる術もなければ、確かめるのも怖い。

「お前の居場所はいつも俺の傍と決まっているだろう? 望みがあるなら遠慮なく言えばいい。抱いて、とな」

 光秀の口角が上がる。
 まさか、それを言わせようと——?

 カッと頰が熱くなり、光秀に覗き込まれる。

「ひどい……」

「心の内を明かしてもらえないことは、ひどくないのか?」

 おどけるような物言いに、美琴の唇が尖る。

「光秀様は、意地悪です」

「そうだな。お前をこうして虐めるのは、俺が意地悪な男だから、だろうな」

 尖らせた美琴の唇に、光秀の親指が触れる。

「だが、それは俺だけの特権だ……そうだろう?」

 妖艶に微笑まれ、冷めかけていた燻りに、再び火が灯る。

 この、意地悪な独占欲を湛えた目が、好きだ。

 美琴の身体が、心が、光秀を欲しがっている。 
 恥ずかしくて堪らないのに、後一押しされれば言ってしまうだろう。

「さあ、どうする?」

 美琴の唇を弄っていた指が、動きを止める。

 僅かに開いた口の隙間から、服従の喜びが紡がれた。

「抱い、て……」

 愛しげに細まった切れ長の目。僅かに弧を描いた形の綺麗な唇。耳元に囁きかける低めた声。

「いくらでも……」


 今夜も与えられる、甘やかで意地悪な策略に、美琴は打ち震える。

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