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その馴れ初め

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ダンジョン。

 それはファンタジーにとってお約束のもの。敵を倒し、レベルを上げ、お宝を手に入れ、富を築き、そして死んでいく。

 それがダンジョンだ。

 今の現在の世界では、様々な技術が発達している。電子機器においても、日常生活においてもそう。皆が夢にまで見ていたVR。それが僕こと神谷徹が19歳になった2020年の話だった。




 

 ****






 それから1年後。

(さぁ今日もやろうかな)

 神谷徹かみやとおるは大学2年生になっていた。最も、友達と言える存在もほぼおらず彼女等もってのほかだが。

 そんな彼のマイブームは去年全世界で発売されたVRMMOのゲームだった。「Make&steal Online。 」それは人々の感情を高ぶらせるには充分だった。

 しかし、思っているより物事はうまく進まなかった。"VRは脳に影響を与えるかもしれない""1度入ったら戻れない"など皆を彷彿とさせた。ほとんどの人類が信じなかっただろう。

 だがしかし。もし本当にできたなら?そんなことが可能なのか?と疑心暗鬼な、そして好奇心大勢な若いゲーマー達が被験者となったのだ。結果は特に問題は起きなかった。それ以降、そのVRMMOが大ブームを起こしたのは容易に想像出来るだろう。


 そうして今日も同じ時間を続ける。

 色あせた大学に通い、楽しくもない授業を長々と聞いて、そして家に帰って「Make&steal Onlin」をプレイする。その名の通り、"物"を作り奪い、そして新たな"物"を手に入れて、また作り、また奪う。

 昔は散々楽しんだゲームですら、もはや彼にとっては退屈なものとさせられていた。それはもう、つまらない学校生活と同様に。

 仮想世界に行くまでの間、誰がが俺に語りかけてきた。

 "お前は何がしたい?"

 …は?

 "お前は何がしたい?"

 …誰?

 "お前は何がしたい?"

 …はぁ、楽しいことかな。

 "お前は何を望む?"

 …おうおう、お前は俺の望みを叶えてくれるのか?

 "お前は何を望む?"

 …何って、なら今まで誰も体験したことないような?

 "そんな世界を望むのか?"

 …あぁ、もし可能ならな。ワクワクすることほど楽しいことはねぇ。

 "ではもし可能なら?"

 …もしそんなことが可能なら俺はお前の事を神と呼んでやろう。

 "多くの人々が死に誘いざなわれるとしても?"

 …はっ、俺にそんなこと関係ねぇよ。自分の身は自分で守れだ。

 その後声は何も聞こえなくなった。1度はログインしたもののもやもやした何かを感じ取ったのですぐやめて明日に備えて眠るのだった。

 まだ明日何が起こるのかも知らずに。
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