見知らぬ隣人さん

岩石の扉

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山下夫妻3

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そんな山下夫妻が新居に行くと既に生活感の感じられる家が1件あった。表札に三橋と書かれていた。

「もう住んではる人らおるんや!挨拶行かなあかんな!用意しといて良かったわ!」

「せやな、とりあえず搬入済んだら行こか」

1時間程経ってから、山下夫妻は三橋家の前にいた。

「車ないやん。話し合うかな。」

「歳離れてたらわからんけど、車無くてもあう人はあうやろ」


ピンポーン

元気の無い男性の声がはいと返事をした。

「すみません。引越しのご挨拶に伺いました」

相手の態度の悪さに少し苛立ったが、ここはきちんと挨拶をして筋を通したい。

玄関ドアが静かに開いた。


「突然すみません。引越しのご挨拶に。あ、これつまらないものですが」

珠子が愛想良くそう言って透明の袋にリボンを取付けてそれっぽく見せた流行り物のハンドソープだった。

「あ、すみません。こっちは何も用意が無くて」

「いえいえ!今後ともよろしくお願いします!山下です。えっと」

「申し遅れました、三橋です。」

表札を見ていたので知ってはいたが、何か会話をしようと思い颯太はわざと知らなかったような雰囲気を出した。

だが、会話を続けようとする素振りは見られず、颯太は合わないタイプだと思った。


「すみません。妻は今買い物に出てまして、改めてご挨拶に伺います。」

「いえいえ、ご近所ですからそのうち会うでしょ!ウチも今から引越しとかでバタバタしますしとりあえずご挨拶はこれでということで!な?」

そう言って会話を切り上げ家に戻ることにした。
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