見知らぬ隣人さん

コンビニ2

チャラ男で酒が飲めないと言うのは自分の中で弱点だと思っていた。

周りにも何度か言われたことがある。
頼むだけ頼んで飲まなかったり、氷が溶けて薄まったグラスに口だけつけたりしていた。

勿論無理やり飲んだこともある。
ビールは苦手で、ほとんど飲まず、瓶ビールを頼み皆に注いで無くならせた。ハイボールやコークハイを2.3杯飲むと気分が悪くなった。

居酒屋の店員に声をかけ、ウーロンハイを頼んだ時は、烏龍茶を持ってくるように頼んだこともあった。
幸いにも、無理やり飲まされることがなかったので何とかやってきた星明に地獄が訪れたのは、結婚して初めての正月だった。

雛乃の親戚が集まる場で、名前も知らない自称酒豪を名乗るおじさんに日本酒を飲まされた。

まだほとんどの親戚のが来ていない状況にも関わらず

おーいけるやないけー

と言ってはグラスに日本酒を注がれた。
ここでは誤魔化すこともできず、雛乃は、女やねんから、と言われいそいそと何かを手伝っていた。

その間に日本酒を小さなグラスで3杯飲み、そのあとの記憶が無い。
断りたかったがそうさせない雰囲気を醸し出していたあのおじさんの顔は忘れない。

あとから雛乃に聞いた話では、寝てしまっただけと聞いた。

雛乃の母親からは、潰れて吐いたと聞かされた。

それ以降、気まずくて親戚の集まりには参加していない。