見知らぬ隣人さん

園子5

散歩から帰り身支度に取り掛かる前にタバコを一本手に取り火を付け、薄汚れた天井に向かって紫煙をくゆらせた。

何となくいつもよりタバコが不味い気がして二口目は吸わずに空き缶の灰皿に放り込んだ。

少し横になり天井を見つめこの数日間の出来事を思い返した。

怒涛の数日間はまるで人生の全てなのではないかと思ってしまうほど濃厚で波乱で、そして充実していた。

子供が産まれるまでにはタバコはやめよう。


新たな決意を胸に、就職活動のために購入したスーツに袖を通しネクタイを閉めて時計を見たがまだ時間がある。
ケーキの差し入れでも買っていこう。



親父さんは、甘いものなんか食べないかもしれないし日本酒を買っていこう。

そしてきちんと話を聞いてもらって怒涛の数日間にピリオドを打つ。そして酒を飲んで少しでも打ち解けて帰る。
そしてまた明日から新しい人生を園子と一緒に刻んで行こうと決意した。