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2話
海里と遊んでから2週間ほどが経過した。親友と遊べたことで健介への不満は少しましになったし、あの日を迎えてしまったから物理的にSEXを出来ない日々が続いた。それも終わって私は再び健介にイライラしてしまうことが多くなっている。
マンガのプロットを考えたり、原稿を書いているときでも頭に過ぎってしまっていて担当にも注意されている。それ位集中出来ていない。
「ふぅー」
原稿を書いている途中、大きくため息をついて天井を見上げる。急な重心移動に耐えた椅子から軋む音が聞こえてくる。液タブに描いてある原稿にはリテイク用と書かれていて、なかなか作業が進んでいない。
アニメ化したことへの対応や今後のプロット、参考にする場所の取材など色々しないといけないこともある中で今後のライフワークも考える。
今27歳。子供が出来て産まれるまで約1年。せめて29歳になる前に子供を産みたい。となると大分余裕は無くて……。そろそろ妊活していきたいのに健介は私を誘ってくれない。私から誘っても拒否されてしまうし……。どうしようか、本当に…………。
仕事の忙しさと健介とのレス状態が積もり重なって、大分精神的にも参っている。念願叶って自分の漫画がアニメ化したことはとても嬉しいし、健介も応援してくれている。でも、着々と見えている妊娠・出産のタイムリミットを考えると心の平穏は来ない。
時計を見るとそこそこいい時間になっていた。お風呂や夕ご飯の準備をしないといけない時間だ。
「あー、気分転換にちょうどいいや」
誰に聞かせるわけでもなく1人呟いて、椅子から立上がってキッチンに向かう。
浴槽洗いとお湯を張って、ざるラーメンのトッピング用の野菜を準備して、健介の帰りを待つ。煮詰まっていた時に別のことをしたおかげで原稿の作業も若干進んだ。鼻歌交じりに液タブにペンを走らせていく。
ピンポーン。
いつものようにインターホンが鳴らされて集中が途切れる。時計を見ると19時を超えていて、いつの間にか2時間くらい経っていたようだ。ペンを置いて、椅子から立上がって玄関へと向かう。
「ただいまー」
「健介、おかえりー。お風呂にする?」
「そうするー。いつもありがとね」
「はーい、ざるラーメン茹でとくね」
「うん、お願い」
あうんの呼吸とまではいかないものの、夜の営みに関わらないことならお互いの考えていることを察するように出来る様になってきた。ハグをして簡単な挨拶を終わらせるとお互いに離れていく。
健介のスーツからは彼自身の体臭と汗のにおい。後は社内の誰かが吸っている煙草の匂いしかしていない。他の女の香水の匂いとかはしていないし、もしも風俗とかに行っているのならもっと遅くなって帰ってくるはず。浮気とかの線は無いと信じたい。
自分用の部屋に戻るときに着替えを持った健介が脱衣所に向かっていくのが見えた。
「ふーろふろおっふろー、おっふっろー! ……どうしたの? なんか俺の顔についてる?」
「ううん、なんか機嫌良さそうだなーって」
「そう?」
いい年して首を傾げる健介はまだまだ幼くて、思わずクスッと笑ってしまう。もうすぐ30になるっているのに童顔のせいで今でも学生でも通用しそうだ。本人自身はもっと変わりたいらしいけど。
ふーん、変な黄帆。
そう呟きながら、私の様子を見て訝しがりつつ、健介は今度こそ脱衣所に向かった。
私も一働きしよーっと。そう思って、作業用の部屋へと歩いていく。
健介の後に私もお風呂に入って、キュウリとトマトをトッピングにしたざるラーメンを食べた。健介はソファーに座りながらテレビで朝ドラの録画を一気見していて、私は使った食器を洗っている。なんでも推している女優が主演と言うことで楽しみにしているらしかった。この女優と結婚出来たらなー、とか言われたらショックで泣きそうだ。
収まっていた営みへの欲求、仕事への愚痴、若い女優への嫉妬心が入り交じって私を醜くさせていく。
今夜こそシたい。そう思って営みへと誘う。
「ねえ、健介? 今日どうかな?」
「えー、また今度ね」
精一杯誘ったのに、健介は私を見ようともしない。彼のそんな態度のせいで私は大きく爆発してしまう。
「……今度今度っていつよ!! なんで分かってくれないの!? 私健介の赤ちゃん欲しいのにさぁ!!」
「……黄帆…………?」
必死に押しとどめていた私の醜い感情が溢れてしまって、ついつい声を荒げてしまう。感情を抑えきれなくなった私の視界は真っ赤になって、溢れる感情と共に涙を零してしまう。
「いっつもいっつもそう暢気でさぁ! 私もう27よ! 早くしないと赤ちゃんにも障害とか出ちゃうかもしれないのに……! どうしてよぉ…………」
遂に私はしゃがみ込んで流れる涙をとめようと努力する。でも、ここ3ヶ月の思いが蓄積させてしまっているせいかなかなか泣き止むことが出来ない。学生の時以来かもしれない、そんな勢いで号泣してしまう。
「黄帆」
「なによぉ……」
肩に健介の手が乗ってきて、私は思わず払いのけてしまう。なんてことしちゃったの……。そう思うけど今更止められない。それでもなお、健介は私を宥めようとしている。
「黄帆の気持ちを分かって無くてごめん。前にも言ったけど、俺今チンコ大きくしてんだ」
「……??」
なん、え? どういうこと?
言われた言葉を理解しようと考えるけどいまいち理解出来ない。その衝撃で涙も引っ込んでしまった。あそこを大きく……なんて初めて聞いた様な気がする。
「……どういうこと?」
「こういうこと」
なにやら話が変わってきた。
ライトのおかげで明るいリビングで健介はルームウェアを下着ごと降ろす。ボロン、と彼の性器が私の目の前に登場する。いつ見てもカマトトぶってしまう。悲鳴を上げて手で隠しながらちらっと見る彼の大事なところは今までと同じように見え、石けんの匂いがしている。というか、それよりも!
「なんでこんな時に! 真面目な話なんだけど!」
「知ってるけどさ、前に話したときは黄帆も分かったって言ってくれてたよ? 3ヶ月我慢するって」
「…………えぇ?」
ここ3ヶ月の間の記憶を辿ってみる。けれど、該当するものは思い浮かばなかった。
「いつ話してたっけ? 記憶にないんだけど……」
「一緒にオモチャの通販見たとき。18cmのディルド見て、『すごーい、気持ちいいのかなぁ』って言ってたよ」
「えぇ……? そんなこと言ったかな、私」
「まあ、酔ってたからね」
「それじゃあ!?」
それじゃあ記憶に無いのも当然だ。お酒に弱い私は3%のものでも記憶を無くすほど酔っ払う。私のお母さんもお祖母ちゃんも……、先代達は皆お酒に弱すぎる体質を持つ。こんな私が酔っ払っているときのことなんか覚えていられるはずが無い、悲しいことに。
「酔っ払ってるときのことなんか当てにしないでよ!?」
「いやー、今思えば俺も酔っ払ってたかも」
体中から力が抜けた。レスだと思ってたけど実際にはこういう事情があったなんて。バカバカしくなって乾いた笑いが出てしまう。
「ごめん健介。私浮気とかされてるのかなって疑ってた」
「俺が好きなのは黄帆だけなのに? 悲しいなー」
「本当にごめんね?」
「まあいいよ。……それよりも3ヶ月経ったけど試してみない? 目に見えて変わったよ」
マンガのプロットを考えたり、原稿を書いているときでも頭に過ぎってしまっていて担当にも注意されている。それ位集中出来ていない。
「ふぅー」
原稿を書いている途中、大きくため息をついて天井を見上げる。急な重心移動に耐えた椅子から軋む音が聞こえてくる。液タブに描いてある原稿にはリテイク用と書かれていて、なかなか作業が進んでいない。
アニメ化したことへの対応や今後のプロット、参考にする場所の取材など色々しないといけないこともある中で今後のライフワークも考える。
今27歳。子供が出来て産まれるまで約1年。せめて29歳になる前に子供を産みたい。となると大分余裕は無くて……。そろそろ妊活していきたいのに健介は私を誘ってくれない。私から誘っても拒否されてしまうし……。どうしようか、本当に…………。
仕事の忙しさと健介とのレス状態が積もり重なって、大分精神的にも参っている。念願叶って自分の漫画がアニメ化したことはとても嬉しいし、健介も応援してくれている。でも、着々と見えている妊娠・出産のタイムリミットを考えると心の平穏は来ない。
時計を見るとそこそこいい時間になっていた。お風呂や夕ご飯の準備をしないといけない時間だ。
「あー、気分転換にちょうどいいや」
誰に聞かせるわけでもなく1人呟いて、椅子から立上がってキッチンに向かう。
浴槽洗いとお湯を張って、ざるラーメンのトッピング用の野菜を準備して、健介の帰りを待つ。煮詰まっていた時に別のことをしたおかげで原稿の作業も若干進んだ。鼻歌交じりに液タブにペンを走らせていく。
ピンポーン。
いつものようにインターホンが鳴らされて集中が途切れる。時計を見ると19時を超えていて、いつの間にか2時間くらい経っていたようだ。ペンを置いて、椅子から立上がって玄関へと向かう。
「ただいまー」
「健介、おかえりー。お風呂にする?」
「そうするー。いつもありがとね」
「はーい、ざるラーメン茹でとくね」
「うん、お願い」
あうんの呼吸とまではいかないものの、夜の営みに関わらないことならお互いの考えていることを察するように出来る様になってきた。ハグをして簡単な挨拶を終わらせるとお互いに離れていく。
健介のスーツからは彼自身の体臭と汗のにおい。後は社内の誰かが吸っている煙草の匂いしかしていない。他の女の香水の匂いとかはしていないし、もしも風俗とかに行っているのならもっと遅くなって帰ってくるはず。浮気とかの線は無いと信じたい。
自分用の部屋に戻るときに着替えを持った健介が脱衣所に向かっていくのが見えた。
「ふーろふろおっふろー、おっふっろー! ……どうしたの? なんか俺の顔についてる?」
「ううん、なんか機嫌良さそうだなーって」
「そう?」
いい年して首を傾げる健介はまだまだ幼くて、思わずクスッと笑ってしまう。もうすぐ30になるっているのに童顔のせいで今でも学生でも通用しそうだ。本人自身はもっと変わりたいらしいけど。
ふーん、変な黄帆。
そう呟きながら、私の様子を見て訝しがりつつ、健介は今度こそ脱衣所に向かった。
私も一働きしよーっと。そう思って、作業用の部屋へと歩いていく。
健介の後に私もお風呂に入って、キュウリとトマトをトッピングにしたざるラーメンを食べた。健介はソファーに座りながらテレビで朝ドラの録画を一気見していて、私は使った食器を洗っている。なんでも推している女優が主演と言うことで楽しみにしているらしかった。この女優と結婚出来たらなー、とか言われたらショックで泣きそうだ。
収まっていた営みへの欲求、仕事への愚痴、若い女優への嫉妬心が入り交じって私を醜くさせていく。
今夜こそシたい。そう思って営みへと誘う。
「ねえ、健介? 今日どうかな?」
「えー、また今度ね」
精一杯誘ったのに、健介は私を見ようともしない。彼のそんな態度のせいで私は大きく爆発してしまう。
「……今度今度っていつよ!! なんで分かってくれないの!? 私健介の赤ちゃん欲しいのにさぁ!!」
「……黄帆…………?」
必死に押しとどめていた私の醜い感情が溢れてしまって、ついつい声を荒げてしまう。感情を抑えきれなくなった私の視界は真っ赤になって、溢れる感情と共に涙を零してしまう。
「いっつもいっつもそう暢気でさぁ! 私もう27よ! 早くしないと赤ちゃんにも障害とか出ちゃうかもしれないのに……! どうしてよぉ…………」
遂に私はしゃがみ込んで流れる涙をとめようと努力する。でも、ここ3ヶ月の思いが蓄積させてしまっているせいかなかなか泣き止むことが出来ない。学生の時以来かもしれない、そんな勢いで号泣してしまう。
「黄帆」
「なによぉ……」
肩に健介の手が乗ってきて、私は思わず払いのけてしまう。なんてことしちゃったの……。そう思うけど今更止められない。それでもなお、健介は私を宥めようとしている。
「黄帆の気持ちを分かって無くてごめん。前にも言ったけど、俺今チンコ大きくしてんだ」
「……??」
なん、え? どういうこと?
言われた言葉を理解しようと考えるけどいまいち理解出来ない。その衝撃で涙も引っ込んでしまった。あそこを大きく……なんて初めて聞いた様な気がする。
「……どういうこと?」
「こういうこと」
なにやら話が変わってきた。
ライトのおかげで明るいリビングで健介はルームウェアを下着ごと降ろす。ボロン、と彼の性器が私の目の前に登場する。いつ見てもカマトトぶってしまう。悲鳴を上げて手で隠しながらちらっと見る彼の大事なところは今までと同じように見え、石けんの匂いがしている。というか、それよりも!
「なんでこんな時に! 真面目な話なんだけど!」
「知ってるけどさ、前に話したときは黄帆も分かったって言ってくれてたよ? 3ヶ月我慢するって」
「…………えぇ?」
ここ3ヶ月の間の記憶を辿ってみる。けれど、該当するものは思い浮かばなかった。
「いつ話してたっけ? 記憶にないんだけど……」
「一緒にオモチャの通販見たとき。18cmのディルド見て、『すごーい、気持ちいいのかなぁ』って言ってたよ」
「えぇ……? そんなこと言ったかな、私」
「まあ、酔ってたからね」
「それじゃあ!?」
それじゃあ記憶に無いのも当然だ。お酒に弱い私は3%のものでも記憶を無くすほど酔っ払う。私のお母さんもお祖母ちゃんも……、先代達は皆お酒に弱すぎる体質を持つ。こんな私が酔っ払っているときのことなんか覚えていられるはずが無い、悲しいことに。
「酔っ払ってるときのことなんか当てにしないでよ!?」
「いやー、今思えば俺も酔っ払ってたかも」
体中から力が抜けた。レスだと思ってたけど実際にはこういう事情があったなんて。バカバカしくなって乾いた笑いが出てしまう。
「ごめん健介。私浮気とかされてるのかなって疑ってた」
「俺が好きなのは黄帆だけなのに? 悲しいなー」
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