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ご近所さんから私の家族は"四季一家"って呼ばれてる。
お母さんは4月生まれだから"小春"、私は7月生まれだから"千夏"、お父さんは9月生まれだから"秋人"、そして最後に12月生まれの弟"冬雪"だ。
よく間違えられるけど、弟は"とうき"じゃなくて"ふゆき"。
なんでも、出生前診断の時にお医者さんから『女の子の可能性が高いですね~』って言われて、"冬"が入った女の子の名前を考えていたそうだけど、実際に産まれたのは男の子だった。
雪が降っている日に私はお父さんと一緒に病院で産まれる瞬間を待っていて、でも冬雪が産まれたときの時のお母さんとお父さん、助産師さん達の狼狽え方は今でも鮮明に覚えてる。『え、男の子ー!?』ってお母さんの驚いた声が分娩室の外にいた私にも聞えていたからね。
私は……、私もだね。友達に妹がいる子がいて、良く楽しそうにしてたから、私もお姉ちゃんだー! って喜んでたはず。
結果的に男の子が産まれて、でも名前を考えて無くて……、結局考えていたそのままの"ふゆき"って名付けられた。
雪が降っていた日だし、"冬"って漢字も入っていて共通点も増えたし、語感も良いし、中性的な冬雪にはあっているから私は好きだ。でも、お母さんと冬雪が退院して、近所を散歩していると度々女の子だって間違えられることがあった。新生児の時はそんなものだろう。
それでも、自分の名前が女の子みたいっていわれるのが弟のコンプレックスの原点だったって今では分かってる。
私の場合だけど、"ちなつ"だし、たまーに"ちか"とか間違われることはある。でも、お母さん譲りのほわんほわんした雰囲気と顔で癒やし系って言われるってほどで、まず男の子には間違えられない。
小学校では1年に1回以上は男子から告白されていたから、男子から人気があることは実証済みだ。でも、だからこそ、落ち着いた環境にいたいから中学受験で合格した女子校に通ってる。同級生の中でもキスだとかエッチだとかしたことをある子もいるけど、そういうのはまだ先でいい。お母さんとお父さんもお互いが初めてだったらしいし。将来の旦那さんにとって最初で最後の人に私もなりたい。
それはいいや。
一方の冬雪もどちらかと言えばお母さん似の中性的な顔で、お母さんか私と一緒にいると、母娘か姉妹だって間違われる。それがストレスになってたみたいだ。
小学校で男の子に見られたいって始めたミニバスも中学校に上がったらあっさり辞めて、今はなんだかんだで楽しそうにしてる。まあ昔みたいに助けを求められてる訳じゃ無いから若干放置気味だ、冬雪もいちいち高校生の姉が出しゃばってきたらうざいだけでしょ。
そんなわけで、今日急に頼まれたバイトのヘルプも終わる時間になった。
「千夏ちゃん、ヘルプありがとう! 助かったよ~!」
「いーえ、夏休みに入ってどうせ暇してましたし」
「あら、じゃあもう少しシフト増やせば良かったかな?」
「成績落としたら両親に怒られちゃうので程々にしときます」
「そりゃそうだ。……今日は何か買ってく?」
「あ、はい、着替えたら」
「うん、オッケ~。じゃあお疲れ様」
「はい、お疲れ様です」
店長の希美さんにレジを引き継いで、バックへと戻っていく。
成績を落とさないことを条件に、社会勉強も兼ねて希美さん夫妻が経営する【Miss.ドーナッツ】でバイトして1年が過ぎた。1年も続けていたら大体仕事内容も覚えて、こうしてヘルプを頼まれてる。
さーて、何買おっかなー。
フレンチクルーラー、カスタード&ホイップ、ポン・デ・リング、オールドファッション、ストロベリーリング等々……、さっきまで実際に作ってたドーナッツを頭に浮かべては消えていく。
パパッと私服に着替えて、洗濯するために仕事用のエプロンを鞄に入れたら裏口から出て表口から入る。朝混むタイミングが終わったからさっきよりも人が少なくなってた。
私もトレーとトングを手に取って、家族4人分のドーナッツを選んでいく。3時にはまだ超早いけどねー、お仕事終わりの甘い物は至福の時!
お昼も近付いていてお腹も減ってたから、視界に入るドーナッツを次々に取っていく。そして、そのままレジに並んだ。
「……ちょっと多すぎない? 1人でこんなに食べたら太っちゃうよ?」
「家族4人で食べるので大丈夫です。希美さんのドーナッツ大好きですし」
「煽てても無駄だよ? ……ならいいけど、注意してね」
「はい」
「割引価格で1550円になります」
「お願いします」
「1600円お預かりで50円のお返しになります、小春先輩と秋人さんにも宜しく伝えてね、もちろん冬雪君にも」
「はい、お先に失礼します。建吾君にもまたねって」
「はーい」
希美さんの言うとおり、本能のままドーナッツをお盆に取ってたら20個くらいになってた。うん、取り過ぎた。……でも希美さんが作るドーナッツが美味しいんだもん、仕方ない。それに半額セールと定員セール、10個以上で○○%引き、じゃあ買うしかないでしょ。
……でも、一気に5個食べたら確実に体重ががが……。まあ1日に2個ずつ食べていけばいいや。
希美さんから20個のドーナッツが入った箱を受け取って、希美さんにお礼を言って、私は表口からお店を出た。……うへぇ、あっつー。
今日も夏らしくじめっとして目茶苦茶暑い。身体からドーナッツの匂いもしていることだし、帰ったらシャワーを浴びよう。
そして、日傘をさして、私は帰宅する。年々日差しが耐えられなくなってきた様な気がする。なるべく日陰を歩いていこう。
約15分歩くと我が家が見えてきた。何で事無い普通の一軒家だ。そして案の定汗も凄い、早くシャワーを浴びてリフレッシュしよう。
家の前に到着して、そのまま門をくぐって玄関戸まで辿り着いた。日傘を閉じたら鍵を取り出して玄関戸の鍵を開ける。中から冷えた空気が私の方に流れてきて気持ちよくなった。
「……ん?」
涼しんでる中、私でもお母さんのでもない女の子の靴が1足増えてるのに気が付いた。私とお母さんよりも大きな靴だ。
……っ!? もしかして、冬雪が彼女を連れてきた!?
ど、ど、どうしよう!? こういう時、「貴方に弟はあげません!!」とかって言った方が良いの!? それとも受け入れる!? いやいや、そもそも中学1年生で彼氏彼女なんて早いと思う!!
半ばパニックになってるところにリビングと廊下を繋ぐドアが開けられて、冬雪と冬雪に劣らず格好よくて可愛いらしい、男の子にも女の子にも見える中性的な子が出てきた。肩よりは短い黒髪で、私よりは10cm近く身長が高くて、中学生になってグングン身長が伸びてる冬雪よりは小さい。でも、165cmは優に超してるはずだ、ちなみに私は154cm。
それにしても、……やばい、超格好良い…………!!
「あ、姉ちゃんおかえりー」
「冬雪のお姉さん、お邪魔してまーす!」
「……。2人共、ドーナッツ食べる?」
「良いの?」「良いんですか!?」
「良いよ、皆で食べよう」
パニックになってるにしては最適解を導けたはずだ。それは目の前の2人様子が物語ってる。
冬雪と名を知らない初めましての子は買い物があるって出かけていって、その間に私はシャワーを浴びて2人の帰りをお母さんと一緒に待つ。
リビングのソファーでゴーロゴロ。夏休みの宿題なんか初週に全部終わらせた。とりあえず大学受験の為にも勉強は続けてる。
「お母さーん、さっきの誰ー?」
「春岡冬輝ちゃん、冬雪の彼女」
「"とうき"って珍しい名前だね。……って彼女!? あの子女の子なの!? めっちゃ格好良いじゃん!!」
「でしょー。そんなんだから冬雪とシンパシーがあったみたいよ。ほら、冬雪もどちらかと言ったら女の子に見られやすいでしょ?
佇まいが男の子に見られやすい冬輝ちゃんと女の子に見られやすい冬雪、案外良い感じらしいわー」
「いつから? 少なくとも中学校からじゃ無いでしょ?」
「小学校5年生のクラス替え、そこで同じクラスになったって」
「へー」
「それにしても千夏ー、あんた20個全部1人で食べようと思って買ってきたの? 太るわよ」
「ち、違うし! ほら、冬輝ちゃんも合わせて1人4つ!」
「いや、あんた今日冬輝ちゃんが遊びに来るって知らなかったじゃない。それに、そもそも冬輝ちゃんの存在自体だって」
「うぐぅ……っ」
お母さんの正論で次に話す言葉を失った。……でも結果的に5人で食べるんだから問題ない。
……それにしても格好良かったなぁ。今はあどけなさもあったけど、それこそあと2年も経ったら私の学校でもいる女の子に好かれる女の子になりそう、宝塚みたいな。いやまあ別に弟の彼女を奪おうだなんて一切考えてないけど。
美男美女カップルってのはあの2人みたいなことを言うんだろう、それにしては男女が逆転してる気がするけどね。
女の子なのに男みたい、女の子なのに野球をやるなんて男みたい。
男の子なのに女みたい、男のくせに料理とか裁縫が得意だなんて気持ち悪い。
そんなこと高校になってもまだあるしなー、きっと冬輝ちゃんもこういう嫌な目に遭ったことがあると思う。それで嫌がらせを受けてた冬雪の姉としても気を付けていかないと。
それはそれとして、後で写真撮って貰おう。めっちゃタイプってのには変わりないし。……っは! もしかして"四季一家キラー"とでも言うつもり!? お母さんもほだされてるし!
春岡冬輝ちゃん、なんて恐ろしい子なの!?
そんな馬鹿なことを考えながらソファーでゴロゴロしてるとインターホンが鳴った。カメラには仲良く冬雪と冬輝ちゃんが映ってる。
「ごめん! お願いして良い?」
「はーい」
お母さんは産休時代から始めて、今は本業になったハンドメイドの作品を作るのに忙しいらしく、そんな指示を出してきた。
心の中で「よいしょ」って呟きながら起き上がって、玄関まで向かう。……廊下は暑い。
「ただいまー」「お邪魔しまーす!」
「はーい、おかえりー」
「やっぱ夏は暑いねー」
「ねー」
お母さんの話だと、3年目になる後ろのカップルはその信頼関係を醸し出したまま話していた。こういう彼氏彼女になれるんならいいけどねー…………。
去年の夏休みが終わって、大学生の彼氏と一夜を共にしたって一気に垢抜けたクラスメートが最終的にはこっぴどくフラれたって話を思い出して複雑な気持ちになる。
恋愛をしたら安定する人、恋人に依存する人、はたまた恋人に興味を失って違う人に興味を持つ人、そもそも恋愛に興味が無い人。色んな人がいる中で、私はどうなるんだろうか。……考えても分からないや。その時になればきっと分かるはず。
それにしてもこの2人は何を買ったんだろう。
「何買ったの?」
「小道具のための材料です」
「……小道具?」
「そう、小道具」
小道具。お芝居とかに使うもの……、だよね。何で? どうして?
2人が持ってるエコバッグの中を見せて貰うと、折り紙とか厚紙とかそういう類いの物と、私も好きな紙パックの乳酸飲料が入ってた。
「何かお芝居とか? 文化祭の?」
「はい、部活で使うんです」
「部活」
…………? だめだ、さっぱり分からない。
「なに、今2人は演劇部とかに入ってるの?」
「そう、言わなかった?」
「聞いてない、かな」
記憶を辿っても、冬雪から「演劇部に入った」なんて話は無かった、……はず。
「あんたたち何で廊下で話してんのよ、暑いでしょ? リビングにおいで」
「あ、うん」「分かった」「分かりました!」
分からないのは私だけみたいだ。
手洗いうがいを済ませた冬雪と冬輝ちゃんもリビングに来て、ドーナッツを食べながらさっきの話の続きになった。
私はポン・デ・ストロベリー、お母さんはオールドファッション、冬雪はカスタードクリーム、そして冬輝ちゃんはエンゼルクリームを食べる。希美さんが作ったドーナッツはやっぱり美味しい!
「冬雪と冬輝ちゃんは中学になって演劇部になったって?」
「そういうこと。小学校の時に劇をすることになって、それ以降演劇に興味を持ったって感じ、そんで冬輝と一緒に演劇部に入ってる」
「へー。お母さん、その時の映像ってある?」
「あるわよー」
「じゃあ後で見ようっと」
「……今見る事って難しいですか?」
「いいえ、全然。冬雪も今見るでいい? 冬輝ちゃんの頼みだもんね」
「恥ずかしいけどねー」
冬雪が演劇を始めたって聞いて最初はビックリしたけど、なんか妙に納得できた。ミニバスでも遠くからシュート打ってたし、「3ポイントがないのが惜しい」って聞覚えがある。
容姿のおかげで告白も多かったらしいし、つまり、注目されても平常心を保てたんだろう。
バスケを辞めて何してるのかと思ったら、演劇とは……。まあ、でも冬雪と冬輝ちゃんが主人公をしたら華があるよね。
「じゃあ流すわよー」
「はーい」「うん」「お願いします!」
考え事をしていたら、お母さんはテレビのリモコンを操作して、私も通ってた小学校の体育館と劇のための装飾が見えて、5年2組の【シンデレラ】が始まった。
「【シンデレラ】かー、懐かしいね、2人は何役?」
「もう出てきますよ」
「? ホントだ」
冬輝ちゃんの言うとおり、見窄らしい格好をした今よりも幼い冬雪がガミガミ言われるシーンから始まった。
「冬雪がシンデレラなんだ」
「冬輝が王子様ね」
「……うわ、ピッタリ」
男女配役が逆じゃないか? って言われそうだけど、冬雪と冬輝ちゃんに限ってはこれがいい。むしろこれじゃ無いとだめ。先生分かってる。
小学生らしい可愛らしい演技が続いて、王子様役の今よりも幼い冬輝ちゃんと綺麗なドレスを着た冬雪が一緒にダンスをする。思ってた以上に冬雪は舞台映えしてた、……女の子の役だけど。
最後に、小学生らしい「ありがとーございましたー!」で【シンデレラ】が終わる。
「千夏、どうだった?」
「めっちゃ良いじゃん! ミニバス続けないのかーって残念だったけど、これ見たらミニバスより演劇やった方が良いって言い切れちゃう!! 見に行くから頑張って、2人共!」
「うわっ」
「『うわっ』って何よ、『うわっ』って!?」
「前にお姉さんに言わないのかって聞いたら、『絶対のめり込んでくるよー』って言ってたので、まさに冬雪の言うとおりだなって」
「うぐぅ……っ」
弟まで行動を予想されるなんて……!? まあいいや、バスケより演劇の方が似合ってるって思ったのは事実だし。
「あ、そうだ」
「何?」
「劇で布を使ってマントを作るかもしれないんだよね、お手伝いお願いして良い?」
「良いよ?」
「お姉さん何の部活やってるんですか?」
「嫁部」
「……嫁部?」
「そう、嫁部」
「えっ、えっとー……」
「【良いお嫁さんになるために今から女磨きをしていきましょう、良いですね? 反論は許しません、返事は"はい"のみです!】、略して嫁部」
「お、面白そうな部活ですね」
「そう思うでしょ。でも、名前とは裏腹にエプロンの正しい着方とかアイロンがけ、ベッドシーツのマナー、裁縫とか色々やってるんだけどね。結構大変だよ?」
「料理の腕とかぐっと伸びたもんねー」
「そんなわけで、通常はお金を払わないと雇えない労働力が俺の姉ちゃんってことで実質無料で使えます、宜しく」
「ちょっと冬雪ー? その言い方は――」
「冬輝と写真撮りたくない? 嫌なら外でやるけど?」
「っ……!」
コ、コイツ……! 私が冬輝ちゃんに見惚れてたって分かって……!
……まあいっか、夏休みで腕落としたくないし、私の能力をお見せ致しましょう。裁縫、料理、掃除……何でもかかってきなさい!
「体よく使われてあげるよ、私の都合次第だけどね。……あれ?」
「何ですか?」
「こういう時って、顧問の先生に言わなくて良いの? 外部協力者がいますって」
「もう言った」
「は……?」
「実は、『私が頼めば姉ちゃんは絶対にOK出してくれる』ってことで、既にお伝えしてるんです……」
「最初に私に話付けるんじゃ……? まあいいけど」
「千夏さん、駄目ですか……?」
「いいよ! 私頑張る!!」
「ほら」
……つまり、最初から織り込み済みだったって訳だ。ぐぎぎっ、中学生の弟に行動を予測される姉なんて私以外にいるのだろうか? いや、いない! それに、私も冬輝ちゃんにほだされちゃったし!
まあ、この美男美女カップルがどこまでいくかみたい気持ちもあるから、近くで見られる理由ができたって喜ぶことにしよう。高校生の姉と中学生の弟なんて喧嘩ばっかりして冷戦状態の家だってあることだろうし。多分私の家が特殊なんだ。
冬雪と冬輝ちゃんがこれからどうなっていくのか観察させて貰おーっと。私が2人のファン1号だ。……うそ、お母さんがいるからファン2号かも。まあいいや。
冬輝ちゃんに冬雪のことは任せた! 宜しくね!!
お母さんは4月生まれだから"小春"、私は7月生まれだから"千夏"、お父さんは9月生まれだから"秋人"、そして最後に12月生まれの弟"冬雪"だ。
よく間違えられるけど、弟は"とうき"じゃなくて"ふゆき"。
なんでも、出生前診断の時にお医者さんから『女の子の可能性が高いですね~』って言われて、"冬"が入った女の子の名前を考えていたそうだけど、実際に産まれたのは男の子だった。
雪が降っている日に私はお父さんと一緒に病院で産まれる瞬間を待っていて、でも冬雪が産まれたときの時のお母さんとお父さん、助産師さん達の狼狽え方は今でも鮮明に覚えてる。『え、男の子ー!?』ってお母さんの驚いた声が分娩室の外にいた私にも聞えていたからね。
私は……、私もだね。友達に妹がいる子がいて、良く楽しそうにしてたから、私もお姉ちゃんだー! って喜んでたはず。
結果的に男の子が産まれて、でも名前を考えて無くて……、結局考えていたそのままの"ふゆき"って名付けられた。
雪が降っていた日だし、"冬"って漢字も入っていて共通点も増えたし、語感も良いし、中性的な冬雪にはあっているから私は好きだ。でも、お母さんと冬雪が退院して、近所を散歩していると度々女の子だって間違えられることがあった。新生児の時はそんなものだろう。
それでも、自分の名前が女の子みたいっていわれるのが弟のコンプレックスの原点だったって今では分かってる。
私の場合だけど、"ちなつ"だし、たまーに"ちか"とか間違われることはある。でも、お母さん譲りのほわんほわんした雰囲気と顔で癒やし系って言われるってほどで、まず男の子には間違えられない。
小学校では1年に1回以上は男子から告白されていたから、男子から人気があることは実証済みだ。でも、だからこそ、落ち着いた環境にいたいから中学受験で合格した女子校に通ってる。同級生の中でもキスだとかエッチだとかしたことをある子もいるけど、そういうのはまだ先でいい。お母さんとお父さんもお互いが初めてだったらしいし。将来の旦那さんにとって最初で最後の人に私もなりたい。
それはいいや。
一方の冬雪もどちらかと言えばお母さん似の中性的な顔で、お母さんか私と一緒にいると、母娘か姉妹だって間違われる。それがストレスになってたみたいだ。
小学校で男の子に見られたいって始めたミニバスも中学校に上がったらあっさり辞めて、今はなんだかんだで楽しそうにしてる。まあ昔みたいに助けを求められてる訳じゃ無いから若干放置気味だ、冬雪もいちいち高校生の姉が出しゃばってきたらうざいだけでしょ。
そんなわけで、今日急に頼まれたバイトのヘルプも終わる時間になった。
「千夏ちゃん、ヘルプありがとう! 助かったよ~!」
「いーえ、夏休みに入ってどうせ暇してましたし」
「あら、じゃあもう少しシフト増やせば良かったかな?」
「成績落としたら両親に怒られちゃうので程々にしときます」
「そりゃそうだ。……今日は何か買ってく?」
「あ、はい、着替えたら」
「うん、オッケ~。じゃあお疲れ様」
「はい、お疲れ様です」
店長の希美さんにレジを引き継いで、バックへと戻っていく。
成績を落とさないことを条件に、社会勉強も兼ねて希美さん夫妻が経営する【Miss.ドーナッツ】でバイトして1年が過ぎた。1年も続けていたら大体仕事内容も覚えて、こうしてヘルプを頼まれてる。
さーて、何買おっかなー。
フレンチクルーラー、カスタード&ホイップ、ポン・デ・リング、オールドファッション、ストロベリーリング等々……、さっきまで実際に作ってたドーナッツを頭に浮かべては消えていく。
パパッと私服に着替えて、洗濯するために仕事用のエプロンを鞄に入れたら裏口から出て表口から入る。朝混むタイミングが終わったからさっきよりも人が少なくなってた。
私もトレーとトングを手に取って、家族4人分のドーナッツを選んでいく。3時にはまだ超早いけどねー、お仕事終わりの甘い物は至福の時!
お昼も近付いていてお腹も減ってたから、視界に入るドーナッツを次々に取っていく。そして、そのままレジに並んだ。
「……ちょっと多すぎない? 1人でこんなに食べたら太っちゃうよ?」
「家族4人で食べるので大丈夫です。希美さんのドーナッツ大好きですし」
「煽てても無駄だよ? ……ならいいけど、注意してね」
「はい」
「割引価格で1550円になります」
「お願いします」
「1600円お預かりで50円のお返しになります、小春先輩と秋人さんにも宜しく伝えてね、もちろん冬雪君にも」
「はい、お先に失礼します。建吾君にもまたねって」
「はーい」
希美さんの言うとおり、本能のままドーナッツをお盆に取ってたら20個くらいになってた。うん、取り過ぎた。……でも希美さんが作るドーナッツが美味しいんだもん、仕方ない。それに半額セールと定員セール、10個以上で○○%引き、じゃあ買うしかないでしょ。
……でも、一気に5個食べたら確実に体重ががが……。まあ1日に2個ずつ食べていけばいいや。
希美さんから20個のドーナッツが入った箱を受け取って、希美さんにお礼を言って、私は表口からお店を出た。……うへぇ、あっつー。
今日も夏らしくじめっとして目茶苦茶暑い。身体からドーナッツの匂いもしていることだし、帰ったらシャワーを浴びよう。
そして、日傘をさして、私は帰宅する。年々日差しが耐えられなくなってきた様な気がする。なるべく日陰を歩いていこう。
約15分歩くと我が家が見えてきた。何で事無い普通の一軒家だ。そして案の定汗も凄い、早くシャワーを浴びてリフレッシュしよう。
家の前に到着して、そのまま門をくぐって玄関戸まで辿り着いた。日傘を閉じたら鍵を取り出して玄関戸の鍵を開ける。中から冷えた空気が私の方に流れてきて気持ちよくなった。
「……ん?」
涼しんでる中、私でもお母さんのでもない女の子の靴が1足増えてるのに気が付いた。私とお母さんよりも大きな靴だ。
……っ!? もしかして、冬雪が彼女を連れてきた!?
ど、ど、どうしよう!? こういう時、「貴方に弟はあげません!!」とかって言った方が良いの!? それとも受け入れる!? いやいや、そもそも中学1年生で彼氏彼女なんて早いと思う!!
半ばパニックになってるところにリビングと廊下を繋ぐドアが開けられて、冬雪と冬雪に劣らず格好よくて可愛いらしい、男の子にも女の子にも見える中性的な子が出てきた。肩よりは短い黒髪で、私よりは10cm近く身長が高くて、中学生になってグングン身長が伸びてる冬雪よりは小さい。でも、165cmは優に超してるはずだ、ちなみに私は154cm。
それにしても、……やばい、超格好良い…………!!
「あ、姉ちゃんおかえりー」
「冬雪のお姉さん、お邪魔してまーす!」
「……。2人共、ドーナッツ食べる?」
「良いの?」「良いんですか!?」
「良いよ、皆で食べよう」
パニックになってるにしては最適解を導けたはずだ。それは目の前の2人様子が物語ってる。
冬雪と名を知らない初めましての子は買い物があるって出かけていって、その間に私はシャワーを浴びて2人の帰りをお母さんと一緒に待つ。
リビングのソファーでゴーロゴロ。夏休みの宿題なんか初週に全部終わらせた。とりあえず大学受験の為にも勉強は続けてる。
「お母さーん、さっきの誰ー?」
「春岡冬輝ちゃん、冬雪の彼女」
「"とうき"って珍しい名前だね。……って彼女!? あの子女の子なの!? めっちゃ格好良いじゃん!!」
「でしょー。そんなんだから冬雪とシンパシーがあったみたいよ。ほら、冬雪もどちらかと言ったら女の子に見られやすいでしょ?
佇まいが男の子に見られやすい冬輝ちゃんと女の子に見られやすい冬雪、案外良い感じらしいわー」
「いつから? 少なくとも中学校からじゃ無いでしょ?」
「小学校5年生のクラス替え、そこで同じクラスになったって」
「へー」
「それにしても千夏ー、あんた20個全部1人で食べようと思って買ってきたの? 太るわよ」
「ち、違うし! ほら、冬輝ちゃんも合わせて1人4つ!」
「いや、あんた今日冬輝ちゃんが遊びに来るって知らなかったじゃない。それに、そもそも冬輝ちゃんの存在自体だって」
「うぐぅ……っ」
お母さんの正論で次に話す言葉を失った。……でも結果的に5人で食べるんだから問題ない。
……それにしても格好良かったなぁ。今はあどけなさもあったけど、それこそあと2年も経ったら私の学校でもいる女の子に好かれる女の子になりそう、宝塚みたいな。いやまあ別に弟の彼女を奪おうだなんて一切考えてないけど。
美男美女カップルってのはあの2人みたいなことを言うんだろう、それにしては男女が逆転してる気がするけどね。
女の子なのに男みたい、女の子なのに野球をやるなんて男みたい。
男の子なのに女みたい、男のくせに料理とか裁縫が得意だなんて気持ち悪い。
そんなこと高校になってもまだあるしなー、きっと冬輝ちゃんもこういう嫌な目に遭ったことがあると思う。それで嫌がらせを受けてた冬雪の姉としても気を付けていかないと。
それはそれとして、後で写真撮って貰おう。めっちゃタイプってのには変わりないし。……っは! もしかして"四季一家キラー"とでも言うつもり!? お母さんもほだされてるし!
春岡冬輝ちゃん、なんて恐ろしい子なの!?
そんな馬鹿なことを考えながらソファーでゴロゴロしてるとインターホンが鳴った。カメラには仲良く冬雪と冬輝ちゃんが映ってる。
「ごめん! お願いして良い?」
「はーい」
お母さんは産休時代から始めて、今は本業になったハンドメイドの作品を作るのに忙しいらしく、そんな指示を出してきた。
心の中で「よいしょ」って呟きながら起き上がって、玄関まで向かう。……廊下は暑い。
「ただいまー」「お邪魔しまーす!」
「はーい、おかえりー」
「やっぱ夏は暑いねー」
「ねー」
お母さんの話だと、3年目になる後ろのカップルはその信頼関係を醸し出したまま話していた。こういう彼氏彼女になれるんならいいけどねー…………。
去年の夏休みが終わって、大学生の彼氏と一夜を共にしたって一気に垢抜けたクラスメートが最終的にはこっぴどくフラれたって話を思い出して複雑な気持ちになる。
恋愛をしたら安定する人、恋人に依存する人、はたまた恋人に興味を失って違う人に興味を持つ人、そもそも恋愛に興味が無い人。色んな人がいる中で、私はどうなるんだろうか。……考えても分からないや。その時になればきっと分かるはず。
それにしてもこの2人は何を買ったんだろう。
「何買ったの?」
「小道具のための材料です」
「……小道具?」
「そう、小道具」
小道具。お芝居とかに使うもの……、だよね。何で? どうして?
2人が持ってるエコバッグの中を見せて貰うと、折り紙とか厚紙とかそういう類いの物と、私も好きな紙パックの乳酸飲料が入ってた。
「何かお芝居とか? 文化祭の?」
「はい、部活で使うんです」
「部活」
…………? だめだ、さっぱり分からない。
「なに、今2人は演劇部とかに入ってるの?」
「そう、言わなかった?」
「聞いてない、かな」
記憶を辿っても、冬雪から「演劇部に入った」なんて話は無かった、……はず。
「あんたたち何で廊下で話してんのよ、暑いでしょ? リビングにおいで」
「あ、うん」「分かった」「分かりました!」
分からないのは私だけみたいだ。
手洗いうがいを済ませた冬雪と冬輝ちゃんもリビングに来て、ドーナッツを食べながらさっきの話の続きになった。
私はポン・デ・ストロベリー、お母さんはオールドファッション、冬雪はカスタードクリーム、そして冬輝ちゃんはエンゼルクリームを食べる。希美さんが作ったドーナッツはやっぱり美味しい!
「冬雪と冬輝ちゃんは中学になって演劇部になったって?」
「そういうこと。小学校の時に劇をすることになって、それ以降演劇に興味を持ったって感じ、そんで冬輝と一緒に演劇部に入ってる」
「へー。お母さん、その時の映像ってある?」
「あるわよー」
「じゃあ後で見ようっと」
「……今見る事って難しいですか?」
「いいえ、全然。冬雪も今見るでいい? 冬輝ちゃんの頼みだもんね」
「恥ずかしいけどねー」
冬雪が演劇を始めたって聞いて最初はビックリしたけど、なんか妙に納得できた。ミニバスでも遠くからシュート打ってたし、「3ポイントがないのが惜しい」って聞覚えがある。
容姿のおかげで告白も多かったらしいし、つまり、注目されても平常心を保てたんだろう。
バスケを辞めて何してるのかと思ったら、演劇とは……。まあ、でも冬雪と冬輝ちゃんが主人公をしたら華があるよね。
「じゃあ流すわよー」
「はーい」「うん」「お願いします!」
考え事をしていたら、お母さんはテレビのリモコンを操作して、私も通ってた小学校の体育館と劇のための装飾が見えて、5年2組の【シンデレラ】が始まった。
「【シンデレラ】かー、懐かしいね、2人は何役?」
「もう出てきますよ」
「? ホントだ」
冬輝ちゃんの言うとおり、見窄らしい格好をした今よりも幼い冬雪がガミガミ言われるシーンから始まった。
「冬雪がシンデレラなんだ」
「冬輝が王子様ね」
「……うわ、ピッタリ」
男女配役が逆じゃないか? って言われそうだけど、冬雪と冬輝ちゃんに限ってはこれがいい。むしろこれじゃ無いとだめ。先生分かってる。
小学生らしい可愛らしい演技が続いて、王子様役の今よりも幼い冬輝ちゃんと綺麗なドレスを着た冬雪が一緒にダンスをする。思ってた以上に冬雪は舞台映えしてた、……女の子の役だけど。
最後に、小学生らしい「ありがとーございましたー!」で【シンデレラ】が終わる。
「千夏、どうだった?」
「めっちゃ良いじゃん! ミニバス続けないのかーって残念だったけど、これ見たらミニバスより演劇やった方が良いって言い切れちゃう!! 見に行くから頑張って、2人共!」
「うわっ」
「『うわっ』って何よ、『うわっ』って!?」
「前にお姉さんに言わないのかって聞いたら、『絶対のめり込んでくるよー』って言ってたので、まさに冬雪の言うとおりだなって」
「うぐぅ……っ」
弟まで行動を予想されるなんて……!? まあいいや、バスケより演劇の方が似合ってるって思ったのは事実だし。
「あ、そうだ」
「何?」
「劇で布を使ってマントを作るかもしれないんだよね、お手伝いお願いして良い?」
「良いよ?」
「お姉さん何の部活やってるんですか?」
「嫁部」
「……嫁部?」
「そう、嫁部」
「えっ、えっとー……」
「【良いお嫁さんになるために今から女磨きをしていきましょう、良いですね? 反論は許しません、返事は"はい"のみです!】、略して嫁部」
「お、面白そうな部活ですね」
「そう思うでしょ。でも、名前とは裏腹にエプロンの正しい着方とかアイロンがけ、ベッドシーツのマナー、裁縫とか色々やってるんだけどね。結構大変だよ?」
「料理の腕とかぐっと伸びたもんねー」
「そんなわけで、通常はお金を払わないと雇えない労働力が俺の姉ちゃんってことで実質無料で使えます、宜しく」
「ちょっと冬雪ー? その言い方は――」
「冬輝と写真撮りたくない? 嫌なら外でやるけど?」
「っ……!」
コ、コイツ……! 私が冬輝ちゃんに見惚れてたって分かって……!
……まあいっか、夏休みで腕落としたくないし、私の能力をお見せ致しましょう。裁縫、料理、掃除……何でもかかってきなさい!
「体よく使われてあげるよ、私の都合次第だけどね。……あれ?」
「何ですか?」
「こういう時って、顧問の先生に言わなくて良いの? 外部協力者がいますって」
「もう言った」
「は……?」
「実は、『私が頼めば姉ちゃんは絶対にOK出してくれる』ってことで、既にお伝えしてるんです……」
「最初に私に話付けるんじゃ……? まあいいけど」
「千夏さん、駄目ですか……?」
「いいよ! 私頑張る!!」
「ほら」
……つまり、最初から織り込み済みだったって訳だ。ぐぎぎっ、中学生の弟に行動を予測される姉なんて私以外にいるのだろうか? いや、いない! それに、私も冬輝ちゃんにほだされちゃったし!
まあ、この美男美女カップルがどこまでいくかみたい気持ちもあるから、近くで見られる理由ができたって喜ぶことにしよう。高校生の姉と中学生の弟なんて喧嘩ばっかりして冷戦状態の家だってあることだろうし。多分私の家が特殊なんだ。
冬雪と冬輝ちゃんがこれからどうなっていくのか観察させて貰おーっと。私が2人のファン1号だ。……うそ、お母さんがいるからファン2号かも。まあいいや。
冬輝ちゃんに冬雪のことは任せた! 宜しくね!!
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