【完結】番のキミが幸せでありさえすれば それでいい

美麗

文字の大きさ
1 / 3

前編

獣人の国 スピノザ



私、エンリケは王弟として生をうけた。

父と母は番であるため、私と兄はもちろん同母兄弟である。

兄とは5歳年が離れており、一応兄のスペアとして教育を受けてきた。

そこそこ優秀ではあるが、兄と争ってまで国が欲しいとも思わない。

臣籍降下後に所領となる土地にも何度も顔を出して領民たちとも良好な関係を築いていった。





獣人国 スピノザではあるが、残念なことに獣人としての本能が少しずつ薄れているようで 年々番を見つけることが難しくなっている。兄もそのまま婚約者と婚姻した。



兄夫婦に待望の男児が誕生し、私は臣籍に下った。



スノウ公爵家 エンリケ=スノウ となった。

公爵領は小さいが豊かな土地で領民たちともそのまま良好な関係を続けている。

婚約者であったルーナと結婚し、二人で力を合わせて領地を発展させていった。



毎日が忙しく、幸せで

優しく微笑むルーナが可愛らしく

領地は少しずつ、でも 確かに

暮らしが豊かになっていき

このまま この 幸せが

続いていくと 思っていた。





そんな ある日





胸が張り裂けそうな

身体が自分のものではないように熱く

そして 切なく 

何故か 哀しい

本能の 嘆きを 感じた







これは まさか









❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁



主に人間の住む隣国 メルツ





ティナは命の危険に瀕していた。

貴族にはよくある政略結婚の父母を持ち

それでも母からの愛を受けて育ってきた。



その母も3歳になった途端、執事見習いだった男と駆け落ちをしてしまった。

同じく浮気していた父は、ティナが5歳を迎える頃には没落貴族の令嬢で愛人であるイボンヌを侯爵家に迎え入れた。



父の前では取り繕っていたイボンヌも

ティナには敵意を向けてきた。



まずは環境

部屋を奪われ

持ち物を奪われ

存在そのものを疎まれた。



そして食

毎日の食事を減らされ

時には罰として 食事を抜かれることさえあった。



さらには体罰

できていないこと

気に入らないこと

……気分で

謝っても許されない

体罰という名の暴力が振るわれていた。



ティナは日に日に生きる力を失っていき

ついには生死の境を彷徨った。





その、命の危険にあわせて

最期の悲鳴ともいうべき

悲痛な叫びが 遠くまで響き渡った………

















❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁



生死の境を彷徨う魂のその叫びを受け

エンリケは

初めての経験であるにも拘わらず

番の命の危険を知った。









❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁



悩んだエンリケではあったが

妻ルーナと相談し、急いで番の情報を集めた。





そしてまさに失われようとしていた番の命を助けることができたのだった。







スノウ公爵家に連れてこられたボロボロの番

ティナのその姿にエンリケは涙した。

ギリギリではあったが、間に合ったのだ。





番の命を救うことができて…

本当に良かった。













番のキミが幸せになりさえすれば



それで



いい。





私は彼女の姿を確認して



そっと



目を閉じた。











感想 0

あなたにおすすめの小説

初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました

山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。 だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。 なろうにも投稿しています。

大事な婚約者が傷付けられたので全力で報復する事にした。

オーガスト
恋愛
 イーデルハイト王国王太子・ルカリオは王家の唯一の王位継承者。1,000年の歴史を誇る大陸最古の王家の存亡は彼とその婚約者の肩に掛かっている。そんなルカリオの婚約者の名はルーシェ。王国3大貴族に名を連ねる侯爵家の長女であり、才色兼備で知られていた。  ルカリオはそんな彼女と共に王家の未来を明るい物とするべく奮闘していたのだがある日ルーシェは婚約の解消を願い出て辺境の別荘に引きこもってしまう。  突然の申し出に困惑する彼だが侯爵から原因となった雑誌を見せられ激怒  全力で報復する事にした。  ノーリアリティ&ノークオリティご注意

勝手にしろと言ったのに、流刑地で愛人と子供たちと幸せスローライフを送ることに、なにか問題が?

赤羽夕夜
恋愛
アエノール・リンダークネッシュは新婚一日目にして、夫のエリオット・リンダークネッシュにより、リンダークネッシュ家の領地であり、滞在人の流刑地である孤島に送られることになる。 その理由が、平民の愛人であるエディットと真実の愛に満ちた生活を送る為。アエノールは二人の体裁を守る為に嫁に迎えられた駒に過ぎなかった。 ――それから10年後。アエノールのことも忘れ、愛人との幸せな日々を過ごしていたエリオットの元に、アエノールによる離婚状と慰謝料の請求の紙が送られてくる。 王室と裁判所が正式に受理したことを示す紋章。事態を把握するために、アエノールが暮らしている流刑地に向かうと。 絶海孤島だった流刑地は、ひとつの島として栄えていた。10年以上前は、たしかになにもない島だったはずなのに、いつの間にか一つの町を形成していて領主屋敷と呼ばれる建物も建てられていた。 エリオットが尋ねると、その庭園部分では、十年前、追い出したはずのアエノールと、愛する人と一緒になる為に婚約者を晒し者にして国王の怒りを買って流刑地に送られた悪役王子――エドが幼い子を抱いて幸せに笑い合う姿が――。 ※気が向いたら物語の補填となるような短めなお話を追加していこうかなと思うので、気長にお待ちいただければ幸いです。

特殊能力を持つ妹に婚約者を取られた姉、義兄になるはずだった第一王子と新たに婚約する

下菊みこと
恋愛
妹のために尽くしてきた姉、妹の裏切りで幸せになる。 ナタリアはルリアに婚約者を取られる。しかしそのおかげで力を遺憾なく発揮できるようになる。周りはルリアから手のひらを返してナタリアを歓迎するようになる。 小説家になろう様でも投稿しています。

四季の聖女

篠月珪霞
恋愛
エスタシオン国には、四季を司る4人の聖女が存在する。大陸に季節をもたらし恙なく過ぎるよう、管理者としての役割を担っているが、聖女自体に特別な力はない。 選定は人によるものではなく、神の遺物と言われている腕輪が持ち主を選ぶ。複製不可能なその腕輪は、出自、身分、年齢、容姿は基準とならず、あくまでも当人の資質によって選ぶのだという。 四季を司る、4人の聖女の物語。 *最終的にはハピエンの予定でしたが、取り敢えず完結とします。

私と婚約破棄して妹と婚約!? ……そうですか。やって御覧なさい。後悔しても遅いわよ?

百谷シカ
恋愛
地味顔の私じゃなくて、可愛い顔の妹を選んだ伯爵。 だけど私は知っている。妹と結婚したって、不幸になるしかないって事を……

五人姉妹の上から四番目でいつも空気だった私は少々出遅れていましたが……? ~ハッピーエンドへ走りたい~

四季
恋愛
五人姉妹の上から四番目でいつも空気だった私は少々出遅れていましたが……?

【完結済】25年目の厄災

恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。 だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは…… 25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。