スクリーンより愛をこめて

CAROL

文字の大きさ
14 / 36

第14話 授賞式のあとで

しおりを挟む

ここは「アナハイム・シーザーパレス」 
アカデミック賞授賞式が開催されるホテルだ。
アメリカ映画界の発展を願って設立された賞。 
そのトロフィであるタスカー像を抱いた俳優は 
永遠にその地位を約束されると言われる。 

この年のアカデミック賞は
100年を超える歴史の中で
ありえない出来事が起こった。
主演男優・女優賞
共に初の外国人受賞者が誕生する。 

そう、倉田浩平とマリー・デュ・コロワ 
「A chance Encounter」の主役2人が受賞。

この受賞に主催者側も粋な計らいをした。 
W受賞のプレゼンはエディ・ターフィだった。 

「おい~クラ、約束がちがうぞ。  
お前、初めて会った時言ったよな?  
エディ様を追い越す事はありませんって」

 会場は大爆笑。

 「約束破ったんだから罰金だぞ」 

「日本円で払うよ」

 「なんで?」 

「今安いんだよ」 

大爆笑と観客からは「three~3~」との声が。 
2人のやり取りが「ハリウッドコップ」そのまま。
 早く続編3を撮ってくれという歓声。 

「え?3?DVD買えよ?  
売ってない?ロッキー3だろ?」

 MCが頼むから先へ進んでくれとエディに懇願。
 会場は大爆笑と拍手が止まない。 
エディは続いてマリーに声をかける。

 「初めまして。話題のマリー噂のマリー」

「Hello 」

 照れくさそうに挨拶するマリー。 

「かわいいよな?クラ、おい」 

そう言いながら倉田につんつんする。 

「マリーの事、どう思う?ん?」 

「アイ、アイ。あ。アイキャンノット 
アンダースタンド イングリッシュ」 

「おいおい何だ急に?」   

今度はマリーに近づき倉田を指さしながら。 

「ねえ?マリー。この態度はダメだよ、ね?」

 「アイ キャンノット イングリッシュ」 

「あ”~ こいつらダメだー」

 床に寝転がって駄々をこねるようなしぐさ。
 会場はさらに大爆笑。 
その雰囲気のまま2人が順に感謝のスピーチ。 

「さすがエディね?」 

ガミラがビルにささやく。
ビルは大きくうなずいた。
 
笑いでスキャンダルを煙に巻く。
誰も傷つけずに会場を沸かすトーク。 
倉田とマリーの2ショットに注目されたが
何事もなく式は無事幕を閉じた。 

********* 

授賞式も終わり23時。 
倉田もやっと部屋に戻る。 

「ガミラ、すまない、いいか?」

エリックが帰ろうとしていた背中に声をかける。 

「あら?私を覚えてたんだ?」 

「おいおい、手厳しいな、勘弁しろよ」 

アメリカでは大人しいのね?こいつ…
笑いそうになりながらガミラは尋ねた。

「どうしたの?」 

「実は…」

オレたちは明日朝一の便で帰る。 
マリーが倉田と話がしたいという。 
少しでもいい時間を取ってほしい。 
なんとかならないか? 

「マリーが…」 

ガミラはなんとかしてやりたいと思った。 
マリーの事は好きだった。 
でもホテル内で会うのは記者の目もある。 
絶対に倉田を守らなければならない。 
ビルに相談したが、難しいという。 
場所のセッティングもできないし時間もない。
 
ガミラは会わせてやりたかった。 
マリーの願いをかなえてやりたかった。 
同性でもついほだされてしまうほど 
彼女は魅力的な女性だった。 

ビルは反対したがガミラは強く出る。 

「なんとなくこれが2人の最後だと思うの。 
お願い、ビル、話をさせてあげて」 

悩んだあげく、ビルはこう提案した。 
まずホテルに報告、内緒はだめ。 
ここの支配人はMPSのホルダー(株主)だ。 
相談して、OKをもらおう。 
そして1時間でいい、部屋を提供してもらう。
そこで2人を会わせる。 

あとガミラ、エリックも交えて4人で。
2人だけはマスコミにバレた時言い訳できない。
臨時の対談を組んだ態にしよう。 

「わかったわ、そうしましょう」 

「セッティングしてやる」 

エリックはマリーに電話で連絡。 
部屋を用意してもらえるまで待機だ。 

「あ!クラに言わなきゃ…」 

ガミラはあわてて倉田に電話する。 
彼は部屋に戻って風呂の用意をしていた。 

「え?マリー?さっき会っただろ?」 

「違うのよ、マリーと時間をとって  
話をしてあげて、おねがいだから」 

「いつ?」 

「今からよ、用意してるから」

 「おいおい、式は終わっただろ?  
何のインタビューなんだ?」 

「バカ!」

 「マリーはあなたが好きなのよ」 

「せっかくこうして会えたんじゃない?  
あなたは女の気持ちがわからないの?」 

「ガミラ…」 

「オレだって馬鹿じゃない。  
人の気持ちくらい分かるさ」 

「映画と現実は違うんだぞ。  
オレとマリーの関係はビジネスさ」 

「マリーの事きらいなの?」 

「嫌いじゃないけど、そんな関係じゃない。  
だから話すのはいいけど、それだけだよ」

 「クラ…女の気持ちわかってないね」 

「会えば未練が募るだろう?」

「クラ、考えすぎよ。もっと自然でいいんじゃない?」 

倉田は渋々了解した。

これはこの男の性格なのかな? 
嫌いじゃないなら付き合えばいいのに?
サムライの心はそういうものかしら? 

ガミラはそう思いつつスマホを切った。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~

スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。 何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。 ◇◆◇ 作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。 DO NOT REPOST.

ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています

木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。 少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが…… 陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。 どちらからお読み頂いても話は通じます。

お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚

ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。 五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。 ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。 年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。 慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。 二人の恋の行方は……

27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。 結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの? もう、みんな、うるさい! 私は私。好きに生きさせてよね。 この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。 彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。 私の人生に彩りをくれる、その人。 その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。 ⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。 ⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

婚約破棄後のお話

Nau
恋愛
これは婚約破棄された令嬢のその後の物語 皆さん、令嬢として18年生きてきた私が平民となり大変な思いをしているとお思いでしょうね? 残念。私、愛されてますから…

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...