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極悪皇女の結婚
プロローグ
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かつてここは、皇帝ヘルメスが最愛の皇后アリージェンナに求愛した場所で、皇族以外の者の出入りは禁じられている。
その大切な場所に大雨の中、傘も差さずに佇む一人の少女がいた。侍女らしき人物もいない花園に…。
いくら、夏が近付く季節だとしても長時間も雨に打たれたら体を壊すことは誰にでも理解できるだろう。
なのに彼女は、その場から動こうとはしなかった。足に根が生えたかの如く…。何かにしがみ付くような必死の願いを胸に抱いていた。
──今日だけよ…今日で終わらせるから…。お願いだから、来てちょうだい。エディ……。
何が彼女をそうさせたのか。少女は雨の中、祈る様に両手を組んでいる。
気が付くと随分、長い間そこにいたようで少女の体は氷の様に冷え切っていた。意識が段々と遠のく中、誰かが少女の名を呼んで倒れ逝く少女の体を優しく抱きとめる。
「…グレーテル皇女殿下。しっかりしてください。早く誰か…皇宮医を」
「あ…あなたはだれ…?」
耳触りの良い低い声に漆黒の髪、金色の瞳を持つ青年は、まるで闇夜に照らす月の様に思えた。薄れゆく意識にしっかりと刻まれた真新しい記憶は、少女の心に深く刻まれる。
皇女であるにも拘わらず存在すら気にされない冷たい皇宮で、自分の身を案じてくれたのは、恋しいエドモンド・グラッセではない他の誰か。
それがおかしかったのか。皇女は自分に魔法をかけた。誰にも知られず…。
───どうか、神様…目が覚めたら、私を愛してくれなかった人々の記憶が無くなりますように……。
少女は、そのまま深淵の眠りに落ちて行った。
自らの記憶を捨てて……。
その大切な場所に大雨の中、傘も差さずに佇む一人の少女がいた。侍女らしき人物もいない花園に…。
いくら、夏が近付く季節だとしても長時間も雨に打たれたら体を壊すことは誰にでも理解できるだろう。
なのに彼女は、その場から動こうとはしなかった。足に根が生えたかの如く…。何かにしがみ付くような必死の願いを胸に抱いていた。
──今日だけよ…今日で終わらせるから…。お願いだから、来てちょうだい。エディ……。
何が彼女をそうさせたのか。少女は雨の中、祈る様に両手を組んでいる。
気が付くと随分、長い間そこにいたようで少女の体は氷の様に冷え切っていた。意識が段々と遠のく中、誰かが少女の名を呼んで倒れ逝く少女の体を優しく抱きとめる。
「…グレーテル皇女殿下。しっかりしてください。早く誰か…皇宮医を」
「あ…あなたはだれ…?」
耳触りの良い低い声に漆黒の髪、金色の瞳を持つ青年は、まるで闇夜に照らす月の様に思えた。薄れゆく意識にしっかりと刻まれた真新しい記憶は、少女の心に深く刻まれる。
皇女であるにも拘わらず存在すら気にされない冷たい皇宮で、自分の身を案じてくれたのは、恋しいエドモンド・グラッセではない他の誰か。
それがおかしかったのか。皇女は自分に魔法をかけた。誰にも知られず…。
───どうか、神様…目が覚めたら、私を愛してくれなかった人々の記憶が無くなりますように……。
少女は、そのまま深淵の眠りに落ちて行った。
自らの記憶を捨てて……。
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