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御前試合の噂
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コーネリアと婚約してから、毎日が充実していた。だがそれと同時に
早く結婚したい。
僕のものにしたい。
彼女を一日中、堪能したい。
片時も離れたくない。
そんな愚かな欲望が頭を悩ます様にもなっていた。そろそろやせ我慢も限界に近い。
もうそろそろ、いいだろう。
結婚する意志を固めていた僕に朗報が齎される。
この頃は騎士の仕事も順調で、五年位勤めていると新人後輩の指導も徐々に任されて来るようになっていた。そして、ある噂が流れ始めていた。
それは近衛親衛隊という騎士なら誰でも憧れる花形。その『増員が決定した』という事だった。ここに配属が決まれば、引退しても安定した生活が保障される為、皆の目の色が変わって行くのが分かる。
「おい、聞いたか?」
「何をだ」
「今度の御前試合の結果で、親衛隊空きを選ぶって」
「本当か?」
「ああ、団長らが言っていたのを聞いたんだ。間違いない」
各騎士団ではその噂で持ち切りだった。斯く言う僕も御前試合で勝って、コーネリアにプロポーズをすることを決意したのだ。
理由は騎士の間では、勝利者のオリーブの冠を恋人に捧げてプロポーズするという事が、最高のシチュエーションとされていた。実際に騎士団長らも実行した事から、更に拍車がかかっている。僕以外にもそうしたいと考える同僚は多いはず。しかも今回は、親衛隊に入隊できるというご褒美付きだ。
薄給の下級騎士にとって、この上もない餌だったに違いない。昇進と言う名の餌に誰もが食いついた。皆、誰も彼も必死になって試合まで鍛錬に励んだ。
僕は試合前日にコーネリアを訊ねて、
「リア、明日の御前試合は是非、君に見に来て欲しい」
「はい、必ず行きます。アレク様、応援しますから、頑張って下さいね」
二年前から愛称呼びをして欲しいと頼み、初めはシドロモドロで呼び合っていたが、いまでは自然と呼べる仲になった。彼女に応援され、喜びを噛みしめながら帰途に着いた。
こうして騎士たちの様々な思惑をのせて、御前試合は始まった。
早く結婚したい。
僕のものにしたい。
彼女を一日中、堪能したい。
片時も離れたくない。
そんな愚かな欲望が頭を悩ます様にもなっていた。そろそろやせ我慢も限界に近い。
もうそろそろ、いいだろう。
結婚する意志を固めていた僕に朗報が齎される。
この頃は騎士の仕事も順調で、五年位勤めていると新人後輩の指導も徐々に任されて来るようになっていた。そして、ある噂が流れ始めていた。
それは近衛親衛隊という騎士なら誰でも憧れる花形。その『増員が決定した』という事だった。ここに配属が決まれば、引退しても安定した生活が保障される為、皆の目の色が変わって行くのが分かる。
「おい、聞いたか?」
「何をだ」
「今度の御前試合の結果で、親衛隊空きを選ぶって」
「本当か?」
「ああ、団長らが言っていたのを聞いたんだ。間違いない」
各騎士団ではその噂で持ち切りだった。斯く言う僕も御前試合で勝って、コーネリアにプロポーズをすることを決意したのだ。
理由は騎士の間では、勝利者のオリーブの冠を恋人に捧げてプロポーズするという事が、最高のシチュエーションとされていた。実際に騎士団長らも実行した事から、更に拍車がかかっている。僕以外にもそうしたいと考える同僚は多いはず。しかも今回は、親衛隊に入隊できるというご褒美付きだ。
薄給の下級騎士にとって、この上もない餌だったに違いない。昇進と言う名の餌に誰もが食いついた。皆、誰も彼も必死になって試合まで鍛錬に励んだ。
僕は試合前日にコーネリアを訊ねて、
「リア、明日の御前試合は是非、君に見に来て欲しい」
「はい、必ず行きます。アレク様、応援しますから、頑張って下さいね」
二年前から愛称呼びをして欲しいと頼み、初めはシドロモドロで呼び合っていたが、いまでは自然と呼べる仲になった。彼女に応援され、喜びを噛みしめながら帰途に着いた。
こうして騎士たちの様々な思惑をのせて、御前試合は始まった。
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