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第二章
プロローグ
木陰で休んでいるわたしにいつもの様に声をかけるあなた…。
「おーい、お嬢。もうすぐ閣下が帰って来るぞ」
「分かったわ。今行くから」
大きな声で返事をして、彼の傍に行こうとしたら、悪戯な風がお気に入りの帽子を奪って行った。
「あっ…」
「おっと、ほら。しっかり被り直せよ」
「ありがとう」
風で飛ばされた帽子を、意図も容易くキャッチして、わたしの頭に深く被せるあなた…。
いつの間にこんなに大きくなったのだろう。
数年前までは、わたしよりも少し背が高かった位なのに、今は見上げる程になっている。
男性と女性とではこんなに成長速度が違う物なのか。
大公家の騎士団長を務めるレジェスに数年、鍛え上げられた体は、同年代の男性よりも逞しく感じた。
誰よりも努力家で、家族思いの優しい人。
でも、わたしに対してはちょっぴり意地悪な気がする。
「まったく、お嬢は何時までたってもお転婆なままだな。そんなんじゃあ、嫁に行けないぞ」
「そうなっても構わないわ、だってお父様が何時までもここにいていいって言ってくれているから」
「馬鹿だな。親は何時までも生きてはくれないぞ」
「なら…」その先の言葉は云えない。
「大丈夫よ。わたしならきっと素敵な人に出会えるから」
「そうなればいいな」
もう出会っているとは言えないわたしは何処か臆病だ。
いつも、悪い夢を見るの。
その夢の中のわたしは、愛する人を手に入れる為に、多くの人に罵声を浴びせ、貶める。
結果、わたしは捨てられた。
押しつけるだけの愛情は、やがて私自身を狂気の炎で焼き尽くしていった。
だから、怖い…。
あなたにこの想いを告げて、失うことが……怖くてたまらない。
悪夢を見るせいで、わたしは異性を愛する事に躊躇いを見せるようになっていった。
やっていることは先延ばしの逃げだとは分かっているけれど、夢のように誰かを傷付けるかもしれないと考えたら、今のままの関係をずっと続けた方がいいと考えてしまう。
「ほら…」
差し出された手に自分の手を重ねると、そこから熱を孕んで体中が熱くなるのを感じる。
きっと俯いているわたしの顔も火照っているだろう。
誰にも聞こえない様に、心の中で呟く。
──誰も好きにならないで、このまま私の傍にいて…永遠に──
この想いをいつか伝える日が来るのだろうか?
その時、わたしはどうなるんだろう…。
夢に怯えながら、毎日わたしは願う。
──どうか、この幸せな想いが狂気に変わりませんように…
と…。
「なにか言ったか?」
「いいえ、なんでもないわデミオン」
「じゃあ、行こうか。閣下が首を長ーくしてお待ちかねだぞ。ベアトリーチェお嬢様。俺だけの姫様」
そう呼ばれて、わたしは満足そうに花様な笑みを綻ばせた。
一瞬彼の顔が赤くなったのは見なかった事にした。
今はまだその時ではない、
いつか、全ての記憶が戻った時にわたしから貴方に聞かせたい言葉。
『愛してるわ。デミオン…』
例え、貴方が呪われた者だとしても、わたしの想いはきっと変わらないだろう。
「おーい、お嬢。もうすぐ閣下が帰って来るぞ」
「分かったわ。今行くから」
大きな声で返事をして、彼の傍に行こうとしたら、悪戯な風がお気に入りの帽子を奪って行った。
「あっ…」
「おっと、ほら。しっかり被り直せよ」
「ありがとう」
風で飛ばされた帽子を、意図も容易くキャッチして、わたしの頭に深く被せるあなた…。
いつの間にこんなに大きくなったのだろう。
数年前までは、わたしよりも少し背が高かった位なのに、今は見上げる程になっている。
男性と女性とではこんなに成長速度が違う物なのか。
大公家の騎士団長を務めるレジェスに数年、鍛え上げられた体は、同年代の男性よりも逞しく感じた。
誰よりも努力家で、家族思いの優しい人。
でも、わたしに対してはちょっぴり意地悪な気がする。
「まったく、お嬢は何時までたってもお転婆なままだな。そんなんじゃあ、嫁に行けないぞ」
「そうなっても構わないわ、だってお父様が何時までもここにいていいって言ってくれているから」
「馬鹿だな。親は何時までも生きてはくれないぞ」
「なら…」その先の言葉は云えない。
「大丈夫よ。わたしならきっと素敵な人に出会えるから」
「そうなればいいな」
もう出会っているとは言えないわたしは何処か臆病だ。
いつも、悪い夢を見るの。
その夢の中のわたしは、愛する人を手に入れる為に、多くの人に罵声を浴びせ、貶める。
結果、わたしは捨てられた。
押しつけるだけの愛情は、やがて私自身を狂気の炎で焼き尽くしていった。
だから、怖い…。
あなたにこの想いを告げて、失うことが……怖くてたまらない。
悪夢を見るせいで、わたしは異性を愛する事に躊躇いを見せるようになっていった。
やっていることは先延ばしの逃げだとは分かっているけれど、夢のように誰かを傷付けるかもしれないと考えたら、今のままの関係をずっと続けた方がいいと考えてしまう。
「ほら…」
差し出された手に自分の手を重ねると、そこから熱を孕んで体中が熱くなるのを感じる。
きっと俯いているわたしの顔も火照っているだろう。
誰にも聞こえない様に、心の中で呟く。
──誰も好きにならないで、このまま私の傍にいて…永遠に──
この想いをいつか伝える日が来るのだろうか?
その時、わたしはどうなるんだろう…。
夢に怯えながら、毎日わたしは願う。
──どうか、この幸せな想いが狂気に変わりませんように…
と…。
「なにか言ったか?」
「いいえ、なんでもないわデミオン」
「じゃあ、行こうか。閣下が首を長ーくしてお待ちかねだぞ。ベアトリーチェお嬢様。俺だけの姫様」
そう呼ばれて、わたしは満足そうに花様な笑みを綻ばせた。
一瞬彼の顔が赤くなったのは見なかった事にした。
今はまだその時ではない、
いつか、全ての記憶が戻った時にわたしから貴方に聞かせたい言葉。
『愛してるわ。デミオン…』
例え、貴方が呪われた者だとしても、わたしの想いはきっと変わらないだろう。
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