【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

文字の大きさ
22 / 61

過去の思い

しおりを挟む
 あれは、19年前の暑い夏だった。

 この国では、入学式が秋にある為、2ヶ月間の夏休みがある。

 ヴィオレットと妹のアルメリアは、その時の夏無事学園を卒業した。

 卒業パーティーでは、ヴィオレットのエスコートをして、会場に入った。

 彼女のドレスは、光沢のあるシルクを主軸に金の刺繍を施し、青のレースで縁取りし、アクセサリーは、アクアマリンのイヤリングと首飾りをつけていた。

 自分の色を身に付ける彼女は、息を飲む程美しかった。

 元々、卒業したら直ぐに結婚する予定だったから、新居の用意も出来ていた。

 後は、秋に結婚式をあげるだけとなっていた。全て順調だった。

 パーティーが終わると、途端に忙しくなった。

 結婚と同時に正式に家督を継ぐことになっていたので、目まぐるしい毎日を過ごしていた。

 実は、この時既に隣国の使節団に派遣される事が決まっていた。だから、結婚を急いでいた。彼女を誰にもとられたくなかった。

 騎士団も退職する予定だったので、引き継ぎをした後、たまっていた休暇届けを出し、一月程を別荘で、彼女と過ごした。

 まだ正式に御披露目はしていないが、彼女は、実質俺の妻だった。

 甘い新婚生活のつもりで、毎晩彼女を抱いた。最初は、戸惑っている姿が愛しかった。その内、快楽に慣れた彼女が、俺に甘えねだりそして、溺れていく様は、欲望を更なるに掻き立てた。

 自制が効かず、己の性を彼女の中に飲み込ませた事は、何度もあった。

 嫌がる彼女を説き伏せ、「もう結婚するのだから、後でも先でも構わないだろう」
そんな身勝手な言い訳をしながら、彼女を抱く。最後には、彼女も俺の全てを受け入れた。

 幸せな時間は長くは、続かなかった。

 この時の俺は浮かれていて、普段なら見逃さない些細な事を見逃していた。

 何故なら高位貴族にとって、情勢を見誤れば、行き着く先は破滅のみ。

 その巧妙に仕掛けられた罠は、俺達を既に絡めとっていた事にこの時、俺は全く気づかなかった。

 「初恋は実らないものだ」

 誰かがそう言っていたのを思い出す。

 確かにそうだと…

 俺の判断が遅れたことで、彼女を永遠に喪った。

 あの暑くて長い一日のせいで、俺は全てを失い、絶望に堕ちていった。

 

 
 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

女性執事は公爵に一夜の思い出を希う

石里 唯
恋愛
ある日の深夜、フォンド公爵家で女性でありながら執事を務めるアマリーは、涙を堪えながら10年以上暮らした屋敷から出ていこうとしていた。 けれども、たどり着いた出口には立ち塞がるように佇む人影があった。 それは、アマリーが逃げ出したかった相手、フォンド公爵リチャードその人だった。 本編4話、結婚式編10話です。

【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。 流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。 ザマアミロ!はあ、スッキリした。 と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?

唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。 けれどその幸せは唐突に終わる。 両親が死んでから何もかもが変わってしまった。 叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。 今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。 どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥?? もう嫌ーー

燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。 夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。 気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……? 「こんな本性どこに隠してたんだか」 「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」 さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。 +ムーンライトノベルズにも掲載しております。

【完結】 表情筋が死んでるあなたが私を溺愛する

紬あおい
恋愛
第一印象は、無口で無表情な石像。 そんなあなたが私に見せる姿は溺愛。 孤独な辺境伯と、一見何不自由なく暮らしてきた令嬢。 そんな二人の破茶滅茶な婚約から幸せになるまでのお話。 そして、孤独な辺境伯にそっと寄り添ってきたのは、小さな妖精だった。

【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました

紬あおい
恋愛
姉の恋人に片思いをして10年目。 突然の婚約発表で、自分だけが知らなかった事実を突き付けられたサラーシュ。 悲しむ間もなく攫われて、溺愛されるお話。

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

【完結】 君を愛せないと言われたので「あーそーですか」とやり過ごしてみたら執着されたんですが!?

紬あおい
恋愛
誰が見ても家格の釣り合わない婚約者同士。 「君を愛せない」と宣言されたので、適当に「あーそーですか」とやり過ごしてみたら…? 眉目秀麗な筈のレリウスが、実は執着溺愛男子で、あまりのギャップに気持ちが追い付かない平凡なリリンス。 そんな2人が心を通わせ、無事に結婚出来るのか?

処理中です...